理研・産総研共同シンポジウム

(会場:産総研つくばセンター共用講堂、1F講堂)   

<参考PDF>

LS-BT2016シンポジウム (2016年2月2日)
  ビッグデータとビッグシミュレーションによる生命医科学の未来
    ~人工知能はビッグデータ時代に新しい生命医科学を生み出せるか?~

開会挨拶
 10:00-10:05                                        理化学研究所 統合生命医科学研究センター
統合細胞システム研究チーム チームリーダー  岡田  眞里子 
講演1
 10:05-10:25 
「ビッグデータ時代の知識を支える情報技術」
  Intelligence and Information Technology in the Era of Big Data
産総研 人工知能研究センター 主任研究員 的野  晃整 
《講演概要》近年のビッグデータとそれに続く人工知能の流行は、情報技術の学術分野だけにとどまらず、他の学術分野へと広がり、さらに産業界をも巻き込む大きな波 となって押し寄せている。その理由の一つとして、人工知能が本質的に他の情報技術とは異なる点になる。 極論を言えば、従来の情報技術は単にコミュニケーションを便利にするだけであるのに対し、人工知能は新たな知識を生み出す点が本質的に異なる。 これまで知識は生み出すのも、利用するのも人であった。 人工知能によって知識を生み出すことの一部は機械が代用できるようになった。 今後は利用においても機械が人を代理することが期待されている。
講演2
 10:25-10:45 
「生命科学研究を加速するためのAIを計測と計算の融合から考える」
  AI for Acceleration of High-throughput Life Science
理化学研究所 情報基盤センター バイオインフォマティクス研究開発ユニットリーダー 二階堂  愛 
《講演概要》超並列型短鎖DNAシーケンサーの登場により、1細胞レベルであらゆるセントラルドグマの計測ができるようになりつつある。 これまでは生命現象を細胞集団の平均として観測してきた。しかし、多細胞生物の個体や臓器などは、個性豊かな1細胞が協調して生命現象を実現する。 これを1細胞の振る舞いから計測し解釈できれば、生命現象のより深く本質的な理解に繋がる。
 10:45-10:55 
 休憩        
講演3
 10:55-11:15 
「AIで楽しく健康! ”Empowerment ⇒ Outcome”」
  AI based Empowerment Makes People Healthier !
株式会社ディー・エヌ・エー ヘルスケア事業部 ビジネスディベロップメントディレクター 佐野  毅 
《講演概要》情報技術×生命科学によるイノベーションを創出し、人々の健康と幸せな生活に貢献することを目的に、2014年4月1日にDeNA100%子会社として㈱DeNAライスサイエンスを設立、 2015年3月4日に住友商事との合弁子会社DeSCヘルスケア㈱を設立しました。 DeNAはIT企業ですが、ヘルスケア事業に参入するにあたり、製薬企業等のヘルスケア事業者と同等、もしくはより厳しい姿勢で子会社の事業を運営しています。
基調講演1
 11:15-11:55 
「データサイエンスから人工知能へー新しい科学の方法論を目指して」
  From Data Science to Artificial Intelligence: A New Methodology for Big Sciences
産総研 人工知能研究センター 研究センター長 辻井  潤一 
《講演概要》生命や医療の分野では、種々のコホートのデータが生産され、そのデータに基づいて様々な科学的な仮説を論述する論文が膨大に生産されている。 しかしながら、その一方で膨大なデータと論文のために、生命現象を全体として把握することを困難にしている側面も大きい。
 11:55-12:55 
 昼休み        
基調講演2
 12:55-13:35 
「数理生命医科学が拓く個別化・未病医療」
  Personalized and Preemptive Medicine Based on Mathematical Life and Medical Sciences
東京大学 生産技術研究所 教授 合原  一幸 
《講演概要》最近のAI研究を支えているビッグデータとビッグシミュレーションは、生命医科学分野で早い時期から積極的に活用されてきたものである。 そしてさらに、数理工学や数理科学とこれらビッグデータやビッグシミュレーションが結びつくことによって、大きな相乗効果が生み出され、数理生命医科学とも呼ぶべき新しい学問分野が創発されつつある。
講演4
 13:35-13:55 
「個人ゲノムシーケンシングデータからゲノム変異を検出する情報解析技術の開発」
  Computational Methods to Detect Mutations from Personal Genome Sequencing Data
産総研 創薬基盤研究部門 首席研究員 Paul Horton 
《講演概要》ゲノム情報の潜在価値は極めて大きい。ヒトやチンパンジーといった生物種の違いはそのゲノム配列によって決定されている。 また、罹患リスクなどの個人差の約半分も、ゲノムによって決まると考えられており、癌もゲノム変異により引き起こされる。幸い測定技術の進歩により、ゲノム情報は溢れだしてきている。 昨年世界で20万人以上の個人ゲノム配列決定は行われ、2017年までにその数は百万人を優に超えるとされている。 しかし、現在の情報解析技術ではゲノム配列が有する意味を読み解くことは困難であり、ゲノム情報にある潜在価値の僅かな一部しか活用できていない。
講演5
 13:55-14:15 
「ヘテロビッグデータとしての革新脳データベースの構築」
  Development ob Brain Database as Hetero-Big-Data in Brain/MINDS
理化学研究所 脳科学総合研究センター 神経情報基盤センター長 山口  陽子 
《講演概要》現在脳科学では、国家ないし国際連携でのデータベース構築を含むプロジェクトが進行している。 ヨーロッパのHuman Brain Project、米国のBrain Initiative などに続いており、日本では「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」(革新脳)が2年前より開始した。 理研が中核拠点となり、臨床研究グループ、技術開発個別課題と全国規模の活動として展開している。
 14:15-14:25 
 休憩        
パネルディスカッション
 14:25-15:25 

司会: ソニーコンピューターサイエンス研究所 シニアリサーチャー    茂木  健一郎 

総合討論
 15:25-15:30 
産総研 ライフサイエンス分野 研究統括 松岡  克典 


産技連 研究成果・実用化事例発表会(2016)のプログラム→こちら