孫 略/SUN Lue
健康医工学研究部門
Health and Medical Research Institute
生体材料研究グループ 主任研究員
- ナノマテリアルを用いた放射線治療の高度化
- 光照射に対する生体応答の研究
- 抗酸化能測定/評価
①放射線治療の予後改善や治療効果向上を可能にする多機能ナノマテリアルの開発、②光照射による健康増進/軽度な障害からの回復に関する研究、③全血抗酸化能の測定評価に関する研究を行っております。また、各種バイオマテリアルの橋渡し研究や自由診療の開発支援等も行っております。
放射線治療の予後改善や治療効果向上を可能にする多機能ナノマテリアルの開発
がん治療の中でも、放射線治療は働きながら治療できるなど、患者負担が小さいことが知られている。我々は、放射線治療の予後向上、適応拡大を目指して、多機能ナノマテリアルを基盤とする新規放射線増感技術の研究開発を行っている。従来の高原子番号元素や触媒活性を有するナノ粒子は、照射時の二次電子・活性酸素種(ROS)生成を増強し、放射線によるDNA損傷を効率的に誘導するが、正常組織のダメージも増加するといった副作用を有する。我々は、放射線抵抗性に寄与する腫瘍微小環境(低酸素性・酸性)の制御、薬剤徐放、免疫賦活化が期待できる、多機能ナノマテリアルの開発を通して、副作用を抑えて、がん細胞のみを死滅される放射線増感剤の研究開発を行っている。具体的には、腫瘍の酸性条件で溶解するマテリアルや酸素を放出することで低酸素環境を解除するマテリアルを作成し、動物実験により放射線増効果を確認している。
- 特願2025-154128( 2025/09/17):放射線増感剤
- 特願2025-084793(2025/05/21):放射線増感剤
光照射による健康増進/軽度な障害からの回復に関する研究
本研究は、低レベルレーザー治療(LLLT)を含む光照射が生体に及ぼす生理作用に着目し、健康増進および軽度な障害からの回復を促進する作用機序の解明と、その安全かつ効果的な応用技術の確立を目的としています。LLLTや特定波長の可視光・近赤外光は、ミトコンドリア機能の活性化、ATP産生促進、血流改善、炎症反応の抑制、細胞修復応答の誘導などを介して、生体恒常性の維持や回復を支援すると報告されています。本研究では、光の波長、出力、照射時間などの条件と生体応答との関係を定量的に評価し、再現性と安全性を担保した光照射プロトコルを構築します。得られた知見は、疲労回復、皮膚や筋骨格系の軽度障害、加齢に伴う機能低下に対する非侵襲的ケア技術としての応用が期待されます。
酸化ストレス、抗酸化能の測定評価に関する研究
本研究は、酸化ストレスおよび抗酸化能の測定・評価手法の高度化と検証を目的としています。生体内では活性酸素種の過剰生成により酸化ストレスが生じ、老化や炎症、生活習慣病など多様な病態と関連することが知られています。一方で、生体は抗酸化酵素や低分子抗酸化物質による防御機構を有しており、酸化ストレスと抗酸化能のバランス評価が重要です。本研究では、細胞、血液、組織試料を対象に、活性酸素生成量、酸化損傷指標、総抗酸化能を定量的に評価する手法を開発、評価しており、特に全血の抗酸化能を評価できる独自技術を有しています。
- 特許第6889439号(2017/2/21):放射線被ばくの判定方法
- L. Sun et al., scientific reports, 2018, [doi/10.1038/s41598-018-25650-y]
- L. Sun et al., scientific reports, 2021, [doi/10.1038/s41598-021-86187-1]