迎 武紘/MUKAE Takehiro
モレキュラーバイオシステム研究部門
Molecular Biosystems Research Institute
バイオ分子評価研究グループ 主任研究員
- 金の卵を産む!?鶏卵バイオリアクターの開発と高度化
- ゲノム編集技術によるオボムコイドノックアウトニワトリの開発
- デジタルヘルスケア技術の開発研究(『聴く薬』、所内共同研究)
本研究は、ゲノム編集によるニワトリ開発技術に基づく卵白成分の制御をコア技術としています。ニワトリを生体工場として利用する「鶏卵バイオリアクター技術」により、高効率・低コストな組換えタンパク質の生産や、卵白の主要アレルゲンであるオボムコイドを欠失させる低アレルゲン化技術の開発に取り組んでいます。
金の卵を産む!?鶏卵バイオリアクター(ニワトリ生産系)の開発と高度化
ニワトリを用いた独自の組換えタンパク質生産技術である『鶏卵バイオリアクター』の開発と高度化研究に取り組んでいます。医療、環境、農畜水産、食品といった様々なバイオ分野では、組換えタンパク質を安定かつ低コストで供給できる生産技術が求められており、その実現に向けた新たな基盤技術の開発が課題となっています。 本研究のコア技術は、ニワトリのオボアルブミン遺伝子座に外来遺伝子を正確にノックインするゲノム編集技術です。卵白の主要タンパク質であるオボアルブミンの発現制御系を活用することで、目的タンパク質を卵白中に安定かつ高効率に生産することが可能となります。 これまでに、サイトカインや組換え抗体等を対象とした生産実績があります。現在は鶏卵由来組換え抗体を用いた検出技術の開発や、細胞産業の実現を見据えた高効率な組換えタンパク質生産に取り組んでいます。さらに、甘味タンパク質の産業化など、産業ニーズに応じた実用化研究も進めています。テーマ検討段階からでもOKです。まずはお気軽にご相談ください!
- 特願2016-529678(2015/06/26):家禽始原生殖細胞の遺伝子改変方法、遺伝子改変された家禽始原生殖細胞、遺伝子改変家禽の生産方法及び家禽卵
- I. Oishi et al., Scientific Reports, 2018, [doi/10.1038/s41598-018-28438-2]
- T. Mukae et al., Genes (Basel), 2020, [doi/10.3390/genes12010038]
- T. Mukae et al., Biological and Pharmaceutical Bulletin, 2024, [doi/10.1248/bpb.b24-00175]
ゲノム編集技術によるオボムコイドノックアウトニワトリの開発
遺伝子改変ニワトリの作出を基盤技術として、卵白アレルゲンの主要因子であるオボムコイドを欠失させたオボムコイドノックアウトニワトリの開発と、その応用可能性に関する研究に取り組んでいます。卵白アレルギーは乳幼児を中心に社会的な課題となっており、特にオボムコイドは加熱耐性が高く、加工食品においても問題となる主要アレルゲンです。 本研究では、ゲノム編集技術を用いてオボムコイド遺伝子を標的にノックアウトすることで、卵白中のアレルゲン組成を根本から改変するアプローチを採用しています。従来の加工や除去工程に依存するのではなく、生体レベルでアレルゲンを欠失させる点に本技術の特徴があります。 本技術は、低アレルゲン食品原料としての利用に加え、医療・栄養分野や研究用途への展開が期待されます。また、鶏卵バイオリアクター技術と組み合わせることで、アレルゲンリスクを低減したバイオものづくり基盤としての応用も視野に入れています。
- 特願2017-558320(2016/12/22):遺伝子改変家禽卵
- I. Oishi et al., Scientific Reports, 2016, [doi/10.1038/srep23980.]
- T. Mukae et al., Poultry Science, 2021, [doi/10.1016/j.psj.2020.10.026. Epub 2020 Nov 2.]
『聴く薬』 デジタルヘルスケア技術の開発研究
本研究では、「聴く薬」という考え方に基づき、音刺激を用いた低侵襲なデジタルヘルスケア技術の開発に取り組んでいます。これまでの創薬研究は、原因や作用点が明確な疾患を中心に進められてきましたが、加齢、肥満、メンタルヘルスのように複数の要因が関与し、副作用の許容度が低い領域では、従来型の薬剤開発が難しいという課題があります。そのため、薬剤に依存しない介入手法が求められています。 本研究では、創薬研究で用いられる評価手法に基づき、精神ストレス病態マウスモデルを用いて抗ストレス効果を示す音を選別し、エビデンスに基づいたメンタルヘルス介入手法の確立を目指しています。これにより、主観的とされがちな音の効果を、動物モデルを用いて定量的に検証することが可能となります。これまでに、人とマウスに共通して抗ストレス効果を示す音の探索に成功しています(産総研単独知財)。 本技術は、メンタルヘルス分野での補完的な介入に加え、畜産分野でのストレス低減や住環境分野での快適性向上など、幅広い用途への展開が可能です。テーマ検討段階からの情報交換や共同研究のご相談も歓迎しておりますので、お気軽にお問い合わせください!