小関 準/KOSEKI Jun
細胞分子工学研究部門
Cellular and Molecular Biotechnology Research Institute
生物データサイエンス研究グループ 主任研究員
- 理論構造解析に基づく創薬支援技術の開発
- 分子構造変化と機能変化に関する理論予測・解析
- 機能性タンパク質構造予測・設計
疾患関連タンパク質の多くが創薬標的には適していない構造であることが知られています。これらのタンパク質から隠れた相互作用部位(クリプティックサイト, アロステリックサイト, タンパク質相互作用界面 等)を見つけ出す手法を開発し、その機能を制御するための分子を自動的に設計する手法の確立を目指しています。
DAIS: 微小構造変化解析および機能変化に対する計算予測法
生体内分子の『構造と機能』の間には非常に強い相関がある。アミノ酸変異や核酸やタンパク質に置換基修飾が入ることで、自身の構造変化や結合分子との結合構造変化(相互作用変化)が誘導され、結果として生体内機能が変化することが知られている。DAISは、タンパク質のアミノ酸変異やタンパク質や核酸の置換基修飾がもたらす『構造変化』と『機能変化』を予測する手法である。 本手法では構造変化を検出するために、Topological data解析法の一つであるPersistent Homology法を適用することで、構造解析の専門家でなくとも、解析者が意識することなく有意な構造変化部位を自動的に抽出することが可能である。 この手法を適用して事例として、ウイルスの感染力・毒性予測や薬物耐性要因の解明、タンパク質機能変化解析がある。これらの適用例では、従来法による代替は不可能であり、本手法でのみ可能な解析例である。
- J. Koseki et al., Computational and Structural Biotechnology Journal, 2023, [doi/10.1016/j.csbj.2023.05.009]
- J. Koseki et al., Journal of Chemical Information and Modeling, 2025, [doi/10.1021/acs.jcim.4c02111]
CrypToth: 隠されたリガンド結合部位探索法
タンパク質の『機能性部位』には、周囲の環境変化に応じて極めて特徴的な熱力学的挙動が観測される。結合リガンドの接近によって初めて結合空間が解放される『クリプティック サイト』やタンパク間相互作用を形成するために自身の構造を柔軟に変化させる『タンパク間相互作用界面』は典型的な例である。逆にこのような特徴的な熱力学的挙動変化が生じる部位を理論的に予測することができれば、未知のタンパク質に対してもこのような『機能性部位』が存在する可能性を判断することができる。 本手法では、理論科学に基づいた分子動力学計算と位相幾何学に基づいたDAIS解析から『構造と機能』の関係性を見るだけではなく、分担者の今井 博士に疾患関連遺伝子における変異箇所がタンパク質構造のどの部位に収束しているのかを網羅的に調査し、機能性部位との関係性を明らかにすることが可能である。結果として、最新のAI手法でも予測困難であるタンパク質内に隠されたくりクリプティック サイトやアロステリック サイト、タンパク質間相互作用部位を予測することが可能である。
- J. Koseki et al., Journal of Chemical Information and Modeling, 2025, [doi/10.1021/acs.jcim.4c02111]