研究者紹介

柿澤 茂行/KAKIZAWA Shigeyuki

モレキュラーバイオシステム研究部門

Molecular Biosystems Research Institute

バイオシステム多様性研究グループ 主任研究員

研究テーマ
  • 微生物の培地の改良
  • 微生物の全ゲノムクローニング
  • 長鎖DNA操作技術
研究内容
研究紹介図

微生物用の無血清培地の開発を行っている。マイコプラズマなどの病原性微生物の培地の無血清化に成功し、さらなる培地の改良を行っている。加えて、長鎖DNA操作技術の開発を行っている。難培養細菌のゲノムを丸ごと操作する系の確立や、難培養細菌の持つ遺伝子の機能解明に向けた研究を行っている。

キーワード

微生物ゲノム共生微生物微生物進化培地開発・改良細胞培養

微生物用の無血清培地の開発

技術内容

病原性微生物の検査やワクチン開発・製造には大量の培地を必要とする。多くの微生物の培地には血清が含まれているが、血清は高価であり、ロット差のため無駄が生じ、動物愛護の懸念も大きい。そのため近年、培養細胞等においては世界的に無血清化の流れが強い。 我々は、微生物の培地中の血清を、他の物質で代替する方法を新たに開発した。ヒト・家畜・鶏などの病原細菌であるマイコプラズマに対して開発に成功し、特許を申請した。これにより、培地が劇的に安価となり、ロット差がなくなり、動物保護の懸念が少なくなり、培地中の余計なタンパク質成分が低減された。 本技術は、マイコプラズマの検査用培地やワクチン開発・製造、研究用試薬等において有用である。特に鶏のマイコプラズマのワクチンは、先進国ではほぼすべての鶏個体に接種しており、その製造には多量の培地を使用している(生ワクチンもしくは不活化ワクチンのため、菌体の培養が必要)。その培地を低コスト化しロット差をなくすことが可能である。 本研究成果は、他の微生物や細胞にも応用可能と考えられる。

関連知財
  • 2024-032968(2024/03/05):マイコプラズマを培養するための無血清無タンパク質培地
応用可能な産業分野キーワード

微生物・酵素・菌糸体飼料・動物薬畜産業検査機関・サービス

長鎖DNA操作技術

技術内容

近年の合成生物学の勃興と進展により、より巨大なDNAをハンドリングする技術が求められてきた。通常の遺伝子工学や遺伝子クローニング法では数キロから数十キロbp程度のDNAを扱うことが多く、それ以上の長さのDNAには人工染色体(BAC, YAC, HAC等)が用いられることが多い。しかし1 Mbpを超える巨大なDNAを扱うには依然として技術的な困難が伴い、容易ではなかった。 今回、酵母の人工染色体(YAC)を用いて、1 Mbpを超える微生物のゲノムをハンドリングする技術を開発した。スピロプラズマという細菌ゲノム全長は1,123 kbpであるが、これを高効率に丸ごとクローニングすることに成功し、クローニング後のDNAには変異がほとんどなかったことから、元のゲノム配列を保持したまま酵母細胞においてゲノムを保持することが可能となった。本研究成果は、他の微生物ゲノムや巨大DNA断片にも応用可能と考えられる。合成生物学においてより大きなDNAが必要となるニーズが高まっているため、そのニーズに対応できる可能性がある。

関連文献
応用可能な産業分野キーワード

微生物・酵素・菌糸体