安部 博子/ABE Hiroko
健康医工学研究部門
Health and Medical Research Institute
細胞機能解析研究グループ 研究グループ長
- 免疫制御機能性を示す天然由来成分の探索
- 免疫機能性・有用成分強化酵母の開発
- 発光レポーター搭載免疫系細胞の開発
免疫系細胞反応の可視化を目的に発光レポーター搭載免疫系細胞の開発を行う。本開発細胞を利用し免疫制御活性を示す機能性素材の探索を行い、機能性食品等への展開を目指す。加えて、パン酵母の多糖構造を変化させることで、アレルギー改善効果やワクチンアジュバント効果などの免疫増強効果の高い酵母株の開発を行う。
免疫制御活性を示す天然由来成分の探索
生活習慣病や炎症性疾患、感染症など多様な病態において免疫制御の重要性が高まる一方で、安全性と有効性を両立する免疫調節素材は十分に見出されているとは言えません。こうした背景のもと、本研究では、植物・微生物・食品素材などの天然由来成分に含まれる免疫制御活性を探索するため、免疫活性化シグナルに応答して発光するレポーター遺伝子を搭載したマクロファージ細胞を開発しました。本評価系により、炎症促進および抑制の両側面から免疫機能性を定量的に評価でき、候補成分を効率的に選抜することが可能となります。さらに、当研究グループが保有する酸化ストレスや各種刺激に応答する発光細胞の解析結果と組み合わせることで、天然由来成分の機能を多角的に評価することも可能です。得られた有望成分については病態モデルマウスを用いた検証を行い、in vitroとin vivoを連結した信頼性の高いデータ取得が可能です。本技術は、機能性食品、医薬・化粧品原料、飼料添加物開発などへの応用が期待されます。
- 特願第2025-108345(2025/06/26):腸内細菌叢改善剤及び炎症性腸疾患改善又は抑制剤
- H. Abe et al., Journal of Oleo Science, 2018, [doi/10.5650/jos.ess17184]
酵母を利用する経口ワクチンプラットフォームの開発
近年、注射に依存しない簡便かつ低コストなワクチン技術として、経口ワクチンへの期待が高まっています。一方で、腸管内での抗原分解や免疫誘導効率の低さが実用化の課題です。本技術は、安全性が高く食品利用実績を有する出芽酵母を基盤とし、独自に開発した細胞壁β-グルカン増強酵母を利用する点に特長があります。これまでに、β-グルカン増強酵母を多数取得しており、これを宿主としてモデル抗原を発現させた抗原発現酵母を構築しています。さらに、抗原を酵母細胞表層に提示する技術を組み合わせることで、抗原提示効率を高める新しい経口ワクチンプラットフォームの実現を目指しています。さらには、遺伝子組換え技術を用いない機能性強化酵母の開発を目指しています。本技術は、ヒト感染症ワクチンのみならず、家畜・水産動物向けワクチンや機能性飼料、免疫賦活素材への応用が可能であり、食品・医薬・アグリ分野との幅広い連携が期待されます。
- 特許第5885191(2011/12/28):糖鎖改変酵母及びそれを用いた糖タンパク質の製造方法
- H. Abe et al., Glycobiology, 2016, [doi/10.1093/glycob/cww071]
- H. Abe et al., Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2009, [doi/10.1271/bbb.90069]