フロー合成システムグループ
精密なマイクロ波照射技術によるエレクトロニクス産業のGX化への取り組み
- 『必要な個所に必要な熱を』。マイクロ波の加熱選択性を利用した熱処理技術
- 磁場・電場成分が分離されたマイクロ波環境を精密に制御
- マイクロ波「磁場」で物質内のキャリアを励起し、はんだや半導体を急速加熱する技術開発に成功
磁場・電場成分を分離したマイクロ波照射プロセスの開発
- 独自開発したマイクロ波照射技術とマイクロ波照射空間(共振器)の設計ノウハウを合わせることで、対象物を磁場または電場成分のみの環境に配置することが可能なマイクロ波加熱技術の開発を進めています。
- 物質の発熱に関係する物理量は、磁場では複素透磁率と導電率、電場では複素誘電率と導電率が関係します。
- これら磁場・電場成分と物質の物理量を鑑みることで、位置的・物質的選択性のあるマイクロ波加熱プロセスを開発することに成功しました。
電子部品のはんだ実装への応用
- クリームはんだによる電子部品(MOSFET)のプリント基板への接合に関して、磁場・電場成分内でのマイクロ波加熱特性を評価しました。
- 磁場を利用した場合、目的箇所のクリームはんだ(mp.220℃)を選択的に加熱でき、電子部品を接合することができました。対して、電場を利用した場合、基板端部が加熱され、目的箇所の加熱を行うことができませんでした。
- 電子部品実装において、磁場を利用する重要性を明示することができました。
窒化ガリウム基板の急速アニールへの応用
- 窒化ガリウムは結晶内部に自発的な誘電分極を持ちます。結晶の分極方向と磁場・電場の振動方向との重なりが加熱特性に与える影響を調べました。
- 磁場では分極方向と振動方向(面)とが鉛直の関係のとき(①)、電場では分極方向と振動方向面と平行のとき(②、③)、試料が効率よく加熱されることが分かりました。
- 磁場ではサンプルの支持体(アルミナ)が加熱されず、窒化ガリウム基板のみを選択的に加熱でき、10秒以内に1400℃まで急速昇温できることを見出しました。
主任研究員 中村 考志