本文へ

化学反応場設計グループ

CO2分離回収技術の省エネ化に向けたイオン液体の開発

  • 不揮発性・熱的に安定なイオン液体を用い、省エネCO2分離回収技術を開発
  • イオン液体の分子設計により、消費エネルギーを商用吸収液の半分程度に低減
  • 大気中と同じ濃度のCO2を、従来高分子膜の約500倍高い選択率で濃縮

CO2分離回収の省エネ化に向けたイオン液体の開発

  • イオン液体は揮発せず、熱的に安定であるため、有機溶媒の代替として多様な分野への応用が期待。
  • 産総研では、イオン液体をCO2等の各種ガス分離材料として捉え、イオン液体を設計・合成・部材化し、ガス分離性能を評価するとともに、省エネルギーなガス分離プロセスを開発。
  • イオン液体の分子設計により、CO2分離回収の消費エネルギーを低減できるイオン液体や、希薄なCO2を高選択率で濃縮するイオン液体膜を開発。

図. イオン液体を用いた化学反応場設計と応用

イオン液体吸収液を用いた省エネCO2分離回収技術

  • 化学吸収液を用いたCO2分離回収プロセスでは、吸収したCO2の回収に多量の熱エネルギーを消費。
  • イオン液体の塩基性及び化学反応機構の制御により、CO2回収温度の低下とCO2吸収熱の低減を達成。
  • 高炉排ガスからのCO2分離回収において、消費エネルギー量を半分程度に低減可能(シミュレーションによる試算)。

図. CO2分離回収に必要なエネルギー量 (産総研 片岡GLによる試算)
高炉排ガス(CO2濃度21%)、回収CO2濃度98%(回収率90%)を想定した試算

希薄なCO2を高選択率で分離回収するイオン液体膜

  • CO2分離膜の高性能化に向けて、希薄なCO2を強力に捕捉しつつ、捕捉したCO2を容易に放出する材料が必要。 
  • 役割の異なる2種類のイオン液体を混合することで、CO2の捕捉能力と放出能力の両立を実現。
  • 大気相当のCO2(0.04%)を70%以上に濃縮することに成功。
  • DAC用イオン液体膜モジュールを開発中。

図. 左:イオン液体を用いたCO2分離膜の写真、
右:イオン液体分離膜のCO2透過選択性(40℃).実線: 従来高分子膜の性能上限


主任研究員 河野 雄樹

▲ ページトップへ