重錘形圧力天びん |
液体圧力標準 |
気体圧力標準 |
光波干渉式標準気圧計 |
中真空標準(膨張法) |
高真空標準(オリフィス法) |
リーク標準 |
分圧標準
圧力の定義を実現する装置で、圧力を精確に発生・測定することができます。 主に、精密に作られたピストンとシリンダ、質量が既知のおもり(重錘)からなります。 信頼性が高く、多くの国で国家標準として用いられています。 ピストンと重錘の質量によって発生する圧力 (Mg/A) が測定圧力 (p) と釣り合うと、 ピストンがシリンダの中で浮き上がります。このとき、測定圧力 p を正確に決めることができます。 右の図では、発生圧力は p = Mg/A + p0 と書くことができます。ここで、 M はピストンと重錘をあわせた質量、g は局所重力加速度、 A はピストン・シリンダの有効断面積、p0 は周囲の圧力(参照圧力)です。 |
液体圧力では、1 MPaから1 GPaまでの圧力範囲で、重錘形圧力天びんを用いて圧力の 国家標準を整備しています。近年、材料開発や製造の分野だけでなく、生物学や食品科学など 多くの分野で100 MPaを超える高い圧力が利用されるようになってきました。高圧力では、圧力 天びん内にあるピストン・シリンダの変形量が大きくなり、発生圧力の不確かさが増大します。 現在、高圧力領域での不確かさ低減を目指して、隙間制御型重錘形圧力天びん(右の写真)の 開発を進めています。 |
気体圧力では、重錘形圧力天びんを用いて絶対圧力・ゲージ圧力の5 kPaから 100 MPaを、また、2台の重錘形圧力天びんによる差圧発生法によって 100 kPa(絶対圧力)をライン圧力とする差圧1 Paから10 kPaの国家標準を整備し、 供給を行っています。現在は供給範囲拡大のため、圧力天びんを用いる 低圧力標準の開発もすすめています。 気体圧力の利用分野も大変広く、空調制御や気象観測のための大気圧計、 航空計器、ボイラーの圧力管理など、低圧力から高圧力まで様々な圧力範囲で 利用されています。 |
光波干渉式標準気圧計は、U字管内の水銀柱の高度差を、白色光干渉を 用いてレーザー測長することで、1 kPaから113 kPaまでの圧力を非常に小さな 不確かさで、測定できます。 計量法で定められた圧力の特定標準器であり、特定副標準器となる圧力 天びんの有効断面積を決定するために使用します。 |
膨張法は、ボイルの法則に基づいて、小型の基準真空容器内に閉じ込めた気体を 大型の真空容器に膨張させて、低圧を発生する方法です。膨張前の基準容器の 圧力と真空容器の容積比を求めることにより、膨張後の圧力を正確に決定する ことができます。こうして発生した標準圧力を基準に被校正真空計を校正します。 校正圧力範囲は、スピニングローター真空計に対して10-4 Pa〜10 Pa、 隔膜真空計に対して0.1 Pa〜2 kPaで、校正ガスはN2です。 |
オリフィス法は、分子流が成立する条件で、コンダクタンスCのオリフィスを備えた 真空容器に流量Qの気体を導入した時、真空容器内の圧力Pが、流量とコンダクタンスの 比で表されることを利用して、標準圧力を発生する方法です(P = Q/C)。 コンダクタンスCは、オリフィスの形状から気体分子運動論を用いて計算で求め、気体の 流量Qは、リーク標準で使用する定圧流量計で測定します。こうして発生した標準圧力を 基準に被校正真空計を校正します。 校正対象は電離真空計で、圧力範囲は10-6 Pa〜10-4 Pa、校正ガスはN2です。 |
リーク(漏れ)試験は、自動車、半導体、原子力など日本の基幹産業における 安全・安心を確保するために重要な非破壊検査の一つです。当研究グループでは、 リーク試験の基準となるヘリウム標準リークの校正サービスを行っています。 校正方法は、定圧流量計とヘリウム標準リークの置換比較法です。定圧 流量計では、真空容器内に試料気体を封じ込め、金属細管を通して、気体を 放出します。すると、真空容器内の圧力は低下しようとするので、真空容器に 付属したベローズを収縮させて容積を小さくし、真空容器内の圧力を一定に 保つようにします。放出した気体流量は、ベローズの移動速度と真空容器内の 圧力から、正確に求めることができます。 校正対象は透過型ヘリウム標準リークで、流量範囲は、10-10 Pa m3/s〜10-4 Pa m3/sです。 |
真空中の状態を把握するには、全圧だけでなく分圧の測定が重要です。 この校正装置では、上流室と校正室の間を焼結フィルターで区切ることで、 上流室から校正室に流れる気体を分子流にします。これにより、校正室の 圧力が上流室の圧力に比例するようになるので、上流室の圧力から校正 室の圧力を求めることができます(二段式流量分配法)。校正気体の種類 を変えることが容易なので、分圧真空計の校正に使用しています。 校正対象は四極子形質量分析計、圧力範囲は10-6 Pa〜10-4 Pa、 校正ガスはN2, Ar, He, H2です。 また、分圧真空計を”その場”校正するためのガス導入素子(標準コン ダクタンスエレメント)を開発しました。その頒布と校正サービスも行っております。 |