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プリズムペア干渉計

概要

光学ガラスの屈折率は光学機器の性能に直接影響する物性値です。光学機器の高性能化への要求が年々高まるに伴い、 屈折率測定の高精度化に対する要求も増えています。産総研では、 三角プリズムの屈折率を高精度に校正するプリズムペア干渉計を開発しています。

プリズムペア干渉計による屈折率の標準供給については、固体屈折率標準供給のページもご覧下さい。

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原理

図1に産総研で用いているプリズムペア干渉法の原理を示します。 校正器物の三角プリズム(被測定プリズム)を、 測定装置の一部である入射プリズムに向かい合わせで配置し、 その隙間に屈折率マッチング液を満たします。干渉計は2つ用いており、 干渉計1は被測定プリズムの内部の長さを、 干渉計2は外部(空気中)の長さを測定します。被測定プリズムを図1の矢印方向に移動させると、 干渉計1では被測定プリズム内部の長さの変化量が、干渉計2では空気中の長さの変化量が得られます。 これらを割り算することで被測定プリズムの空気に対する相対屈折率が得られ、 これに空気屈折率を掛け算することで、被測定プリズムの絶対屈折率が得られます。 空気屈折率は気温、気圧、湿度測定で得られた値と、経験式とから求めています。

本手法は産総研で独自に研究開発した校正技術であり、プリズムペア干渉法と呼んでいます。 図2には、プリズムペア干渉計の写真を示します。本手法は、 長さ測定に基づいていることから国際単位系(SI)へのトレーサビリティが容易に確保できます。 また、被測定プリズムの移動距離を大きくすると不確かさが小さくなるという長所もあります。 光学ガラス産業界では最小偏角法という屈折角を利用した測定法が多く用いられていますが、 上記の理由から本手法を産総研の校正技術として採用しています。現在は、 光源に波長633 nmのHe-Neレーザーと、波長546 nmの水銀ランプe線を使用し、 それぞれの波長での屈折率を測定しています。

プリズムペア干渉法では、干渉計の光軸アラインメント、被測定プリズムのアラインメント、 移動ステージのピッチングやヨーイングなどが装置の不確かさ要因となっています。 また、繰り返し測定を行った結果のばらつきも不確かさとして見積もっています。 屈折率測定不確かさ(最高測定能力)は、波長633 nmで2.2x10-6(k =2)、 波長546 nmで1.4x10-5(k =2)です。

図1 プリズムペア干渉法の原理
図1 プリズムペア干渉法の原理
図2 プリズムペア干渉計
図2 プリズムペア干渉計

参考

  1. Yasuaki Hori, Akiko Hirai, Kaoru Minoshima, Hirokazu Matsumoto "High-accuracy interferometer with a prism pair for measurement of the absolute refractive index of glass," Appl. Opt., Vol. 48, No. 11, 2045-2050 (2009)
  2. 堀 泰明 "光学ガラスの屈折率標準〜プリズムペア干渉法による精密測定", 産総研 TODAY,Vol.8(別ウィンドウが開きます), No. 9, p. 24 (2008). [PDFファイルはこちら、869KB]

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