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研究トピックス

マグネシウム(Mg)二次電池構成材料の探索

蓄電池

軽くて多価の金属であり資源的にも豊富なマグネシウム(Mg)を負極として利用できればエネルギー密度が高くコストが安くて比較的安全な電池が構成できる可能性があります。しかしMgは使い切りの一次電池ならできても、充放電可能な二次電池として利用するには課題が多く現在はまだ基礎研究段階で、充放電が可能な正負極材料の開発ならびに両極に適合した電解液を探索しなければならない状況です。産総研ではある種の有機物がMg電池の正極材料として可逆に反応し、二次電池として室温で作動できることを見出すとともに、この電池系に適する電解液を探索し充放電特性を改善しました。

■グライム系電解液を用いる有機物-Mg二次電池の充放電特性

"Charge-Discharge Performance of Rechargeable Organic-Magnesium Batteries Using Glyme-Based Electrolytes"
Hiroshi Senoh, Hikari Sakaebe, Haruki Tokiwa, Makoto Uchida, Hikaru Sano, Masaru Yao and Tetsu Kiyobayashi
ECS Transactions, 69 (19) 33-39 (2015).

有機物がマグネシウム二次電池の正極に使えることを初めて報告しました。この有機正極と金属マグネシウム負極にグライム系のマグネシウム電解液を組み合わせると、図1に示すように室温で約2V近い放電電圧を示しつつ、充放電を繰り返すことを見出しました。

説明図

※本研究の一部は山梨大学大学院グリーンエネルギー変換工学特別教育プログラムのインターンシップによる成果

【関連論文】
"Sulfone-Based Electrolyte Solutions for Rechargeable Magnesium Batteries Using 2,5-Dimethoxy-1,4-benzoquinone Positive Electrode"
Hiroshi Senoh, Hikari Sakaebe, Hikaru Sano, Masaru Yao, Kentaro Kuratani, Nobuhiko Takeichi and Tetsu Kiyobayashi
Journal of The Electrochemical Society, 161 (9) A1315-A1320 (2014).

【その他、関連書籍】
4. マグネシウム二次電池
妹尾 博
Handbook of Surface and Interface Technology :表面・界面技術ハンドブック ~ 材料創製・分析・評価の最新技術から先端産業への適用、環境配慮まで~、
第2節 レアメタルフリー二次電池を目指した研究、エヌ・ティー・エス(2016)

次世代蓄電池研究グループ
分子応用エネルギーデバイス研究グループ