独立行政法人産業技術総合研究所
事業目的 サービス産業の抱える課題 課題解決のためのアプローチ 顧客モデル化技術 日本語行動観測技術 サービスプロセスの可視化 成果物としての技術パッケージ 今後の課題

課題解決のためのアプローチ
サービス産業が抱えるこれらの課題を技術的に解決するため、本事業では経済産業省が提唱するサービス工学技術マップに基づく枠組み(図1)に基づいて基盤技術を整備する。これは、サービス産業の生産性を向上させるための研究開発が、観測(理解、センシング)→分析(大規模データモデリング、プロセス可視化)→設計(シミュレーションによる支援)→適用(従業員のトレーニング、現場でのサービスオペレーション支援)→観測・検証(センシングによる検証)の最適設計ループによって構成されるという枠組みである。

サービス工学研究の枠組み

本事業では、上記の枠組みに基づいて、顧客のモデル化、従業員スキルのモデル化、プロセスのモデル化の3つの中核技術課題と、これらの共通基盤となる人間行動観測技術、可視化技術に対応した研究を実施する(図2)。人間行動観測技術は、サービスを介した顧客、従業員の行動観測技術からなる。従業員の行動観測技術では、単に位置を計測するにとどまらず、そこに行動の意味情報を自動的に付加する技術(行動アノテーション技術)を開発する。3つの中核課題のうち、顧客のモデル化技術では、行動観測技術によって得られた顧客データから、顧客の行動をカテゴリ分類し、そのカテゴリと状況に応じた顧客行動を予測することで、需要予測を実現する。これらの技術は、先に掲げた第一の課題の解決に資する。従業員スキルのモデル化技術では、経験のある従業員のスキル獲得の過程を理解し、それを反映した従業員教育システムを開発する。また、サービスを通じてその教育コンテンツを蓄積する技術も開発する。これらの技術は、先に掲げた第二の課題の解決に資する。プロセスのモデル化技術では、人間行動観測技術によって得られた顧客と従業員の行動データを用いて、一連のサービスプロセスを資金、物資の流れとともにモデル化してデジタル記述する。これらの中核技術で得られたモデルは、可視化技術を通じて、顧客、従業員、経営者に提示され、サービス設計、および、現場でのサービス運用に役立てられる。提示すべき対象者によって、可視化するべき情報の質が異なる。これに柔軟に対応できるような可視化ツールキットを整備する。これらの技術は、先の第三の課題解決に資する。 これらの3つの中核技術課題と、2つの共通基盤技術を開発するに当たって、本事業では3つの研究チームを設定した。第一は顧客モデル化技術で、中核技術課題としての顧客のモデル化と、共通基盤としての顧客の観測技術と経営者向けの可視化技術を包含する。第二は行動観測技術で、中核課題としての従業員スキルのモデル化と、共通基盤技術としての従業員の行動観測技術、従業員教育を目的とした可視化技術を包含する。第三はサービスプロセスの可視化で、中核技術課題としてのプロセスのモデル化と、共通基盤として従業員・経営者向けの可視化技術を包含する。

技術の構成

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