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松田地元の企業をよく知っているという点では、産総研は今年度から各県の公設試験研究機関のOBや現役の方に委嘱型のイノベーションコーディネータになっていただいています。そういう方々といっしょにやっていくと、我々だけでは拾いきれなかった各県の中堅中小企業さんのお話を聞く機会も増えてきます。ぜひ産総研のそういう体制も活用いただいて、いっしょに活動できればと思います。

進藤自分から地元の企業さんを探していく力は私どももまだまだ弱いので、産総研のイノベーションコーディネータと連携して、企業に対してどんなお手伝いができるかを共に探していくというのは参考になりそうですね。
 また、東北に人を呼んでくるという意味では、大きなイベントの開催も大事だと思います。昨年度ご一緒した「日本が誇るマテリアルの世界材料フェスタin仙台」などは、まさにそういうものかなと。材料は普段あまり目立たないですが、実はすごく大事で、しかも日本が誇れる技術だということを若者に強く印象付ける、さらに仙台がその一つの有力な場所であることもアピールするという、面白い経験をさせていただきました。

松田材料フェスタでは、東北大の里見総長に私どもの理事長とイベントを主導していただいて、かなり盛り上がりました。

進藤中鉢理事長はすごくお話が上手なので、皆のせられて(笑)。合宿もやったんですよね、前夜に。すごく楽しげに学生も理事長もやっておられているのを見て、やっぱりこういうのを企画するのはいいものだなと思って見ておりました。

震災からの復興

松田この3月でいよいよ東日本大震災から区切りの5年です。次は、震災復興に対して東北地域に拠点を構える研究機関としてどんな形で貢献できるかというところをお話できればと思います。

進藤東北大は被災地の中心エリアにいたということもあって、復興に向けた大きな「8つのプロジェクト」など、かなり組織的な取組みを行っています。災害科学国際研究所の構築をはじめ、医療やエネルギー、情報通信、水産などをどう復活させ、かつ自立的にまわしていけるか、災害に対してどう強くなれるかといった様々なプロジェクトに取り組んできました。
 そういった活動の中で、産学官連携についても、先ほど挙げた素材技術先導プロジェクトや、自動車・医療機器に関する研究集積拠点を作って産業集積を図る取組みなどを、政府の復興予算の支援をいただきながら進めています。
 また、イノベーションプロデューサー塾のような人材育成も、地域産業の復興支援という問題意識を持って取り組んでいます。復興の次のステップとして、今後被災地が力強く成長していくための中核を担える人材を育てるという視点ですね。

東北大進藤理事の写真

松田震災復興では、産総研も、冒頭の進藤理事からのお話にも出てきました福島再生可能エネルギー研究所を福島県郡山市に新設しました。その他の研究現場でも、それぞれの得意分野で震災に対する貢献をしています。ただ、なかなか産総研としてまとまった形で見えてこないところがあるので、少し工夫が必要かなと思っているところです。


これからの研究機関に必要なこと

進藤いま松田所長が指摘されたことは、研究機関にとってすごく重要なことだと思います。最初に少し触れましたが、これまでも、学内では研究者が企業と個々に繋がってはいます。大学として、いろいろな専門家がいて研究していますよということは言えるんですけれども、大きな流れを踏まえた大学自身の提案力とか、体系的に技術を語る力というのは、意外と磨かれてきていないところがあると思うのです。
最初に申し上げた連携の大型化・本格化という話にも繋がるのですが、単に自分の知的好奇心のみを掘っていく研究だけではなくて、社会へのインパクトある研究を念頭に置いて学内の研究者を組織化・体系化して、将来の社会像やそこに向かうために必要な技術のイメージや具体的なアプローチを大学自身も考えて、企業や自治体などと議論していけるようにしたいと考えています。例えばいま学内ではエネルギー研究に関する教員が部局の壁を越えて集まって連携委員会というのを作っているんですよ。将来に向かってどういう方向性を提案したらよいかを検討しています。他の分野も順次やっていきたいですね。

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