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松田その共同研究の成果を実際に産業につなげるところはお互いもう一歩という印象でしょうか。

進藤技術を社会に出していく下地はそれなりにあると思います。産総研も東北大も両方とも技術シーズの提供機関で、自力で大きく資金をつけて事業化する形にはしづらいですが、逆に両者が手を携えて大きな研究資金を獲得しながら、事業化への道を探していくというのは重要な方向性です。産総研と東北大との間でシステマティックに技術シーズを育てていくために、2年ほど前からプレマッチングファンド事業を行っていて、少しずつですけれども次のステップに繋がっています。ぜひそういったところから成功に結びつけていきたいですね。

東北大 進藤理事の写真

研究集積から産業集積ヘ

松田産学連携という意味では、東北大学も日本全国、あるいは世界と連携を展開していますが、特に東北地方に絞って考えたときには、何か工夫をされているところはあるのでしょうか。

進藤そうですね。まず全国的な産学連携については、個々の研究者と企業とで単発に連携するよりも、組織的かつ大型の連携に取り組もうという方向性を模索しています。一方、「地方に」といったときには、東北地方の既存の企業さんと個別に連携することに加えて、全国の企業さんに東北に集まっていただき一緒に研究をするだけでも地方への波及効果があります。可能であれば研究集積から産業集積を作って雇用の場も確保、というのが目指す道の一つかなと思います。いわば「起業や立地に繋がる産学連携」が私どもの考えているポイントです。
 反省をこめて言うと、本学は学生さんを全国から宮城の地に引っぱってくる力はすごく高い。ただ、卒業生が県外に出て行ってしまう率も高くて、平成26年度に本学を卒業した学生さんで県内に就職したのは17%です。この状況が、拠点を作って産業を引っぱってきたいという問題意識に繋がっています。東北大学の強みである材料はもちろん、医療機器、次世代自動車やスピントロニクスなど、強みのある技術に関連して政府資金も得ながら研究集積を作って、県内の企業や団体、行政機関などと連携しながら産業集積の可能性を広げて行くというような議論をしています。

松田東北大学伝統の起業という面ではどうでしょうか?

進藤ベンチャーも頑張っています。最近では出資事業を開始してベンチャーキャピタルを創設し、昨年11月に第一号の企業(TMI)への出資ができました。材料関係のナショプロ(素材技術先導プロジェクト)に関連する大学発ベンチャーで、まさに研究集積から地元企業を生み育てようとする取組みです。
 また、地域人材の育成として、「地域イノベーションプロデューサー塾」という、地元の企業の二世経営者の方が新しい事業を考える力をつける、あるいはその支援のためのアドバイザーを育成する取組みもやっています。
 さらに、もっと本学の敷居を下げるべく、学内で地元との交流に関心の高い教員をリストアップし、技術指導・相談に対応する地域産業支援アドバイザーのような制度も作る予定です。
 これらの活動は、大学全体の動きからみると目立たないかもしれませんが、きちっと実績を作っていきたいと思っています。

地元に根ざした取組み

松田連携を考えるとき最近「産学官金連携」というキーワードをよく耳にするようになりました。先日東北経済産業局の協力を得て東北地域の金融機関との会合を持つなど、産総研も金融機関との連携に取り組みはじめているのですが、東北大はいかがですか。

進藤産学官金連携は確かに重要です。本学も例えば七十七銀行と組織的な連携をしていて、ラボツアーなどもやっています。

松田銀行にラボツアーのお客さんを連れてきてもらうということですか?

産総研東北センター松田所長の写真

進藤そうです。地域へのアプローチとして、金融機関さんと組むのは実はかなり効率的で効果的です。地元の企業さんをよくご存じですから。
 ラボツアーの場合は、まず銀行のお客様向けにセミナーを開催して、その後イノベーションフェアでいくつかのブースを紹介し、面白そうだなと思った教員を選んでもらって顧客の方々にラボッアーに来ていただく。そこから技術指導なり共同研究に結び付けば、顧客も銀行も東北大も嬉しい。そういう感じですね。これは結構うまい仕組みではないかと思っています。

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