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産業技術総合研究所 東北センター

どんなに素晴らしい研究でも売れてなんぼ

地方独立行政法人岩手県工業技術センター 理事長 斎藤紘一


公設試の役割


題は、私が平成14年4月、民間企業を退職し、当センターで勤務するようになって以来、全職員に対し、愚直なまでに言い続けてきた言葉である。その心は、公設試の役割が「企業様支援による産業振興」にあるにも係わらず、当センターの研究が必ずしもそれに直結していないと感じたからである。論文を書き、学会で発表したら終わり。中には、研究成果を企業移転するまでは自分の仕事と考える人も居たが、そこから先は企業責任であると考え、販売まで支援しようとする人は殆どいなかった。

こで、「論文や学会発表も重要だが、それは途中経過でしかない」「研究は、それが販売を通して、企業様の利益になって初めて成功と言える」「研究員が苦労して出した特許の見返りは、その商品が売れてこそ入ってくる」等を訴えた。これを後押ししてくれたのは、企業様へのアンケート結果である。質問項目の一つに「当センターの利用で御社が得られたメリット金額」というのがあり、金額高の大きなものの殆どが、共同研究の末、販売まで支援した研究であったからである。

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くの公設試のメニューには「技術相談」「依頼試験」「機器貸出」「共同研究」が並んでいるが、当センターはそれらに加え、平成18年度から、行政と一体となり販売まで踏み込んだペレットストーブ開発のような「市場化支援」を掲げ、取り組みを強化している。


産総研の役割


図は、10月12日〜13日に開催した当センターの一般公開で、産総研東北センターと当センターとの関わりを示したパネルである。今年のテーマを「広がり(連携)」におき、各機関との連携を見てもらいたくて、産総研さんには、「癒しロボットパロ君の出張」を、無理を承知でお願いした。その結果、二つ返事で受けてもらえただけでなく、当日は、支援担当者にまで来て頂いた。その甲斐もあり、今年の来場者数は1,426名と昨年の過去最高記録を再び塗り替えることができた。産総研さんと公設試は『地域貢献』という同じミッションを有しており、それだけに、今回の事例のような支援は大変有り難い。

た、60年ぶりに生まれ変わった産技連活動にも大いに期待している。他県の技術との連携、コーディネート、共同研究、人材育成、情報提供等について、常に、日本全体そして世界を視野に入れた上でのご支援をお願いしたい。

総研東北センターの吉田所長さんの言を借りれば「広域連携のエンジン役」として、これからも我々公設試を力強く引っ張っていって頂きたい。


 



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