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特集

コンパクト化学プロセス研究センター受賞報告

シンプルでコンパクトな化学プロセス技術を開発し、分散適量生産方式ひいては物質循環システムの確立に資することをミッションとして、平成17年4月に発足した「コンパクト化学プロセス研究センター」は、グリーンコンパクト化学プロセスのモデル構築に向けて、「分散型プロセス技術の開発」と、これを補完する「分散型プロセスの工程管理技術の開発」を重点研究課題として設定し、7研究チームにより研究を進めています。

ニュースレター21号では、コンパクト化学プロセス研究センターの研究成果の一端として、各賞を受賞した研究者および研究業績の概要について紹介します。

第2回ものづくり日本大賞・優秀賞

受賞者:

水上富士夫(コンパクト化学プロセス研究センター長)
蛯名武雄(コンパクト化学プロセス研究センター材料プロセッシングチーム長)
塚本勝朗、佐倉俊治、中村雄三(ジャパンマテックス株式会社)
宇治田隆造、井内謙輔、矢野和夫(丸善石油化学株式会社)
業績: アスベスト代替ガスケットの開発

ンパクト化学プロセス研究センターの水上富士夫センター長および蛯名武雄チーム長は、ジャパンマテックス株式会社および丸善石油化学株式会社とともに、「アスベスト代替ガスケットの開発」により、第2回ものづくり日本大賞の製品・技術開発部門で優秀賞を受賞しました。

のづくり日本大賞は、日本の産業・文化を支えてきた「ものづくり」を継承・発展させることを目的に、製造・生産現場の中核を担う中堅人材や、伝統の「技」を支える熟練人材、将来を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材を表彰する内閣総理大臣表彰制度です。


名チーム長らは、従来からガスケットに用いられてきた膨張黒鉛製品に、耐熱粘土膜を複合化させることにより、既存の非アスベスト製品よりも耐熱性、耐久性、耐薬品性に優れ、さらにアスベスト製品と同等の優れた取扱性を実現したガスケット製品「クリアマテックス」の開発に成功しました。

製品には、産総研が開発した粘土膜「クレーストR」が使用されています。クレーストは、主原料の粘土結晶に樹脂を少量添加して作られるピンホールのない均一な厚みの粘土膜であり、厚さ約1nmの粘土結晶を緻密に積層した柔軟で耐熱性に優れたガスバリア膜材料です。


リアマテックスガスケットは、-240℃〜420℃の温度範囲で使用可能であり、アスベスト製品に近い取扱性を有しており、さらに耐薬品性にも優れていることから、製油所などの化学プラント、火力発電所など広範囲に適用可能であり、アスベストシートガスケットの約70%を代替することが可能です。

来のアスベスト代替製品に比べて耐久性に優れていることから、交換サイクルの長期化が図られるとともに、焼き付きが解消されたことにより、交換作業の迅速化が図られることから、多くの化学産業におけるプラントの生産性向上に貢献することが期待されています。


クレーストR

クリアマテックス
クレーストR クリアマテックス


http://unit.aist.go.jp/tohoku/ UP