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国の高校生対象に、スプリングサイエンスキャンプ「地球の診断〜仙台市郊外で地質の調査〜」を2007年3月26日から28日にかけて実施しました。財団法人日本科学技術振興財団に共催する形で、東北産学官連携センターが企画段階から当日の運営までを行い、また、当日の講義や実習においては北海道産学官連携センター、地質情報研究部門、および加藤碵一理事の協力を得て実施しました。受講生は、男子5名と女子5名で、全国各地から集まり、学年も1年生から3年生まで多岐にわたりました。

3月26日の午後、受講生全員到着後、吉田忠東北産学官連携センター長の開講挨拶から始まり、引き続き、産総研の研究の概要紹介、特に環境負荷の小さい化学産業育成推進の研究に関してコンパクト化学プロセス研究センターの研究者から説明を受けました。受講生の緊張がまだ解けない中、東北大学環境科学研究科にバスで移動し、土屋範芳教授から同研究科の概要説明と研究室で行われている地殻流体の研究の最前線の紹介を行ってもらいました。


台市郊外の秋保の宿に到着し、いよいよ地質調査特訓合宿が始まりました。夕食をとりながら自己紹介を行ったことにより、受講生の緊張もほどよく解れてきたようでした。夕食後は夜間の講義と実習です。所用で遅れ、なんとか夕食までに到着した加藤碵一理事から「宮沢賢治と地質学」の特別講演がありました。続いて岩石の分類の講義と実習を行いました(写真1)。

27日は野外調査実習です(写真2)。名取川沿いに新第三系湯元層の凝灰岩、茂庭層の砂岩と礫岩、それらに貫入する安山岩などを観察し、スケッチマップに表現しました(写真3)。その後、バスで移動して白沢層のシルト岩や広瀬川沿いの段丘面を観察しました。野外調査にもほぼ慣れたところで、産業廃棄物の最終処分場を運営している仙台環境開発株式会社を訪問し、廃棄物発生の現状や管理型最終処分場の現場見学を行いました。


宿に戻り、各自の調査データから地質平面図と地質断面の作成を行いました。夕食後は地質図の基礎と利用の講義と実習です。就寝前に、受講者と講師ともども各自の地元の地質現象の紹介を行いました。これによって、受講者は自分の身の回りの地質現象に興味を持つきっかけを得たようです。

28日は秋保周辺の活断層見学です。どのようにして活断層の活動周期を決定するかの説明を受けた後、受講生自ら露頭の断層面の構造を測定しました。その後、太白山自然の森観察センターで、同センターの概要紹介を受け、レンジャーの案内で森の自然観察を行いました。無機的な地質調査とは異なり、春の生き物の息吹を感じることができました。昼食も屋外でとり、春を満喫しました。昼食後、センターのセミナー室を借りて、修了証授与式を行い、今回のキャンプの全てのプログラムが終了しました。


・写真1宿で岩石の分類法を学ぶ ・写真2名取川河床で地層の観察 ・写真3クリノメーターの使い方実習


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