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特集
超臨界流体場反応チーム チーム長 生島 豊
  研 究 員 川 波 肇
■ 受賞にあたって
  去る平成 17 年3月7日に、 「超臨界流体を利用した環境調和型化成品製造技術の 創成 」として 第4回グリーンサスティ ナブルケミストリー (GSC) 賞 経済産業大臣賞を受賞し、大変光栄に感じております。本賞は、GSCネットワークと ( 財 ) 日本産業技術振興協会が主催するGSCシンポジウムにて表彰される賞で、毎年、各技術の中から、グリーン度、科学的 妥当性、新規性、経済性・実現性、発展性、社会へのインパクト&波及効果等を総合的に評価し決まります。これまでは、 経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞の3賞でしたが、今回は新たに特別賞としてGSC賞が加わり、4賞にな りました。
表彰式の様子
表彰式の様子 : 生島 チーム長 ( 前列左端 ) , 川波研究員 ( 後列左端 )
■ 受賞研究の内容について
  受賞した開発技術は、超臨界水 と超臨界二酸化炭素を用いた超高速かつ高選択的な革新的物質合成技術であります 。     まず、超臨界水法として、今回超臨界水が酸・塩基両機能を有することを実証し“超臨界水無触媒有機合成法”を開発 しました。本法は、有機溶媒中で強酸、強塩基、あるいは貴金属触媒を必要とする有機反応を、超臨界水だけで、触媒や 有機溶媒を一切使用・排出することなく、超高速かつ高選択的に様々な有機化学反応を進行させるもの です。 また、超臨界二酸化炭素の場合は、石化原料代替として超臨界二酸化炭素を利用する「超臨界CO 2 +イオン性液体」の 多相系反応プロセス、“超高速超臨界二酸化炭素固定化法”を開発しました。本法は、毒性の極めて高いホスゲン の 代わ りにCO 2 を媒体かつ原料として用い、カーボネート・ウレタン等を超高速、高収率で合成する技術です。これ に より 、 グ リーン度の高い省エネルギープロセスが構築 でき、 CO 2 排出削減にも大きく寄与出来ます。 そして「超臨界 CO 2 +AOT マイクロエマルジョン」の多相系ナノリアクターを開発し、無機物製造にも新境地を拓きました。本法は、 CO 2 中で AOT 逆ミセル分散系の構築に成功し、硫化銀などの量子ドット金属微粒子が合成できるばかりでなく、従来不可能であった極性有機化合物の溶解も可能であるため、新たな物質合成反応場として有望です。  以上の成果は、今後の化学工業の発展に大きく貢献すると同時に、溶媒や触媒を使用・排出せず、人と環境への影響を著しく低減できる次世代の製造法と言えるでしょう。

■ 今後の抱負
  近年、加速的に地球環境問題が深刻化しております。この問題解決のためにも、産総研は重要な役割を担っています。これまで超臨界流体研究センターのミッションから、超臨界水と超臨界二酸化炭素を活用する低環境負荷でありながら、高原子化効率しかも省エネルギーである、次世代に向けた化成品製造プロセス技術の開発、そしてこれらを支える高度な測定技術開発を行ってきました。これらの技術は、現在のコンパクト化学プロセス研究センターでも受け継がれ、生産効率を維持向上させつつ、コンパクトなプロセスを構築し、適材適所で物質生産を行うための実用化技術を展開しています。 更に様々な環境調和技術と超臨界技術とのシナジー効果により発現する新たな技術開発も遂行し、今後、東北センターが地球環境問題克服のための一大拠点として、持続的発展可能な社会に貢献すべく、更なる発展を目指したいと考えています。
(川波 肇 記)
表彰式の様子
表彰式の様子 : 生島 チーム長 ( 中央 ) , 川波研究員 ( 右隣 )


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