【 炭素繊維 ・炭素繊維強化複合材料 】

炭素繊維の製造は,我が国が世界のなかで高い競争力を有している。
その理由として実用化された炭素繊維の製造方法が日本人の発明であることがあげられる。

◆ 1959年 PAN系炭素繊維 の発明特許: 進藤昭男 (大阪工業技術試験所)

◆ 1965年 ピッチ系炭素繊維の発明特許: 大谷杉郎(群馬大学)

これまでに 産総研では,炭素繊維の材料力学的特性に影響を与える因子を調べてきた。また, 種々のマトリックスからなる炭素繊維強化複合材料の破壊メカニズムを探るためのモデルコンポジットを調製し,微細な破壊現象を研究してきた。

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産総研の前身の一つである大阪工業技術試験所の進藤氏によって発明されたPAN系炭素繊維の炭素繊維の製造時のエネルギー・CO2排出量の半減および生産性の大幅向上(約10倍の生産量)を実現するための基盤技術の開発プロジェクトが開始された。

当研究グループでは,炭素繊維1本における様々な方向の材料力学的特性を評価する手法を開発し、手法を標準化する方針です。また、炭素繊維の前駆体や炭素化構造形成段階に由来する微細な構造・組織が繊維の材料力学的特性に与える影響を調べ,新規複合材料の微細な破壊メカニズムの設計等に活用されるデータを蓄積することを目標としております。

【 工業用カーボン材料 】

工業用カーボン材料は、シリコン半導体製造、電炉製鋼、アルミ精錬工業など高温・還元雰囲気でかつ導電性を必要とする製造業に必要不可欠な材料です。

ただし、目的製品を製造するにあたって、消耗していくだけのスポットライトの当たらない材料で、まさに 黒衣(黒子) のようであるが重要な存在です。

製品には、「高温で強い」「電気を通しやすい」「熱衝撃(温度変化)に強い」という性質が望まれます。 そのため、高温下における炭素材料の物性の評価技術を開発し、材料設計の最適化に資する技術データ(情報)を得ることが求められます。

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産総研では,工業用カーボン材料が実際に使用される高温環境および製造される高温での材料特性を計測できる装置を開発し,様々なカーボン材料の2000℃を超えた高温物性を評価してきた。民間企業との共同研究によって,高温物性に影響を与える因子を調べて,工業用カーボン材料の高度化,如いては製鉄やシリコン製造等の低炭素化に繋げていく。

★計測できる高温物性

2000℃以上の材料力学的強度,弾性率,電気抵抗,熱伝導性,熱膨張率

 

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