産総研トップへ

研究トピックス

分子イオン電池を開発

蓄電池

電池技術研究部門では着色料のインディゴカルミンを使った二次電池を2010年に報告して以来、電極活物質としてレアメタルはじめ金属を全く使用しない有機分子からなる二次電池の研究開発を進めてきました。このほど、電極活物質だけでなく電荷担体としてのリチウム(等の金属)さえも使用しない有機物だけからなる二次電池を開発しました。リチウムは全ての金属の中で最も軽く卑な電位を持つことからリチウム電池が究極の蓄電池と言われていますが、これを超えるポテンシャルを秘めると考えています。

■分子性イオンを電荷担体に用いる新型二次電池

"Molecular ion battery: a rechargeable system without using any elemental ions as a charge carrier"
Masaru Yao, Hikaru Sano, Hisanori Ando & Tetsu Kiyobayashi
Scientific Reports 5, Article number: 10962 (2015)

現行のLi二次電池ではLi+が電荷担体として機能しているため、電圧や安全性などに関してLiの本質的な物性の制限を受けます。そこで、 Li+やNa+を使わない電池系として、分子性イオンが電荷担体として機能することを実証しました。

将来的に期待される利点:
①Liより卑な電位⇒高電圧 ②高イオン伝導度⇒高入出力
③デンドライトが出ない⇒高安全性 ④レアメタルフリー⇒低コスト

説明図

図1 分子性イオンを電荷担体に用いる電池の概念図と実証に用いた高分子型有機活物質の構造
(電荷担体にPF6を選択し、電解液中にLi+もNa+も存在していない。)

分子応用エネルギーデバイス研究グループ