定量NMR

定量NMR法を高度化するために、分析法の高精度化と適用範囲の拡大を目的とした研究に取り組んでいる。また、定量NMRクラブを運営し、開発した分析法の普及活動も実施している。

高純度有機化合物の純度評価法におけるプロトコルの確立

分析対象成分と同一の標準品を必要としない一次標準測定法(図)としての確立を目指した、本定量技術の高精度化に関する研究を行っている。本法の成果として高純度有機化合物の純度校正サービスの供給を実施している。これまでに、純度評価における調製法・測定法・解析法を高度化するために国際比較や共同試験を実施してきた。現在は、さらなる高精度化を目指し、不確かさの低減を目指した研究に取り組んでいる。

標準液濃度を決定するための定量NMR法の開発

標準液における濃度の直接評価技術としての分析法の研究・開発を行っている。これまでに、実用化の上で障害となっていた軽溶媒の影響を前処理によって軽減することで、アミノ酸標準液や貝毒標準液のNMRによる濃度評価技術を確立してきた。さらに、混合標準液の濃度を簡便に決定するための、重溶媒で調製した混合標準液原液のNMRによる濃度評価法の研究に取り組んでいる。

多核(13C, 19F, 31P等)を利用した定量NMR法の開発

定量対象核種の拡大を目指して多核NMRを用いた定量分析法の研究・開発を行っている。多核種NMRでは、1H NMRと比較して感度・測定周波数範囲・信号幅等の影響が大きく異なるため、これらを最適化することで1H NMRと同等の精度を目指し、定量NMR法の適用範囲拡大や1H NMRでは評価できない分析対象成分の分析を実現するための研究に取り組んでいる。