本文へスキップ

セルロース材料グループでは、「作る」「知る」「使う」のサイクルで研究開発を進めています。


〒739−0046 広島県東広島市鏡山3-11-32
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
中国センター 機能化学研究部門

セルロース材料グループ

技術のポイントPRIVACY POLICY

当研究グループの研究開発の過程で得られた技術のポイントを紹介します。

ディスクミル装置による木粉からの直接的なナノセルロース製造

内容
 ディスクミル(グラインダー)装置は、ナノセルースの製造では良く用いられているナノ解繊装置です。当研究グループにおいても、木粉やパルプを原料として、同装置を用いてナノセルロースを製造しています。パルプはその製造過程で、木質が本質的に持っている強靱化要因が、部分的にでも取り除かれているため、ナノ解繊は比較的効率的に進行します。しかし、木質(木粉)から直接的にナノセルロースを製造しようとした場合、そのままでは効率が低下します。
 木は、古くから建材として用いられているように、強靱なことが歴史的にも実証されています(法隆寺は現存する世界最古の木造建築と言われています。つまり、1300年以上の耐久性が実証されています。)。木質の強靱化要因は色々と考えられますが、ナノセルロースに関連させると、木質の組織構造と木質成分の相互作用が大きく影響していと考えられます。これらの強靱化要因を部分的にも除去・破壊すれば、木質組織は脆弱化して、ナノセルロースの構造効率は向上します。次にその方法の例を紹介します。
○木質の組織構造の部分的破壊:丸太から直接的にナノ化することは困難です。そのため、粉砕等により木粉を製造しますが、その際、より微細化することで木質組織の構造は破壊されます。微細化方法としては、乾式での機械的粉砕やディスクミルで粗目ディスク(砥粒#46など)により湿式で呼び粉砕するなどがあります。
○木質成分の部分的分解・除去:木質の主要成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンです。セルロース成分は、基本単位はグルコース(ブドウ糖)で、ナノセルロースの本質です。ヘミセルロースは、セルロースとは構造が違いますが、基本単位は糖類です。リグニンは、セルロースやヘミセルロースとは全く構造が異なる芳香族系化合物(トルエンやベンゼンの仲間)です。セルロースは水存在下、230℃程度から急激に加水分解が進行します。一方、ヘミセルロースは、耐熱性が低く、140℃程度から加水分解が進行します。このヘミセルロースの特徴を利用して、オートクレーブ(圧力鍋と類似、加圧して100℃以上の水・水蒸気で処理する装置)を用いて、ヘミセルロースを加水分解させると、木質組織を構成する主要成分の一つが壊されるため、木質組織は脆弱化します。
 木質は、大きく分けると針葉樹と広葉樹があります。針葉樹は英語では”softwood”、広葉樹は”hardwood”と呼ばれているように(別の用語あり)、多孔質の比較的柔らかい針葉樹と比較して、広葉樹は、緻密な部分が多く、水の木質組織内部への浸透性が低く、水のクサビの作用が発揮されにくく、ナノ解繊の効率は低下する場合が多くあります。
 木質から直接的に製造したナノセルロースでは、セルロース以外の主要成分(ヘミセルロース、リグニン)はナノセルロースの表面に堆積しています。これら成分の特性を利用することで、機能性材料への展開も期待できます。

参照:「技術のポイント」−「ディスクミル装置を用いたナノセルロース製造の概要」
参照:「テーマ例一覧」−「水晶振動子マイクロバランス(QCM)法によるナノセルロース表面特性解析技術」
プロセスの概要
参考資料
NEDO「セルロースナノファイバー利用促進のための原料評価書」2020年3月公開
装置・設備へのリンク
「微細化装置」
ディスクミル(グラインダー)・小型 / 増幸産業(株) MKCA6-2
カッターミル / 増幸産業(株) MKCM-3 、MKCM-5
気流式気流式微粉砕機 / 増幸産業(株) セレンミラー MKCL8-15J

追記事項

セルロース材料グループ


バナースペース

所在地

〒739−0046
広島県東広島市鏡山3-11-32
国立研究開発法人
産業技術総合研究所
中国センター
機能化学研究部門
セルロース材料グループ




 アクセス 産総研中国センター セルロース材料グループ