研究内容Research
海洋鉱物資源開発に関する環境影響評価
深海底に分布するコバルトリッチクラストやマンガン団塊、海底熱水鉱床は、新たな鉱物資源として注目されています。本グループではこれらの海洋鉱物資源の開発を想定し、国際海底機構(ISA)の基準に基づく環境ベースライン調査や環境影響評価を行っています。関連して、海洋鉱物資源の形成についての基礎研究も実施し、環境影響評価への応用を目指しています。
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表層型メタンハイドレート開発に関する環境影響評価
海底面付近に存在する表層型メタンハイドレートは、天然ガス資源として期待されています。本グループは、日本沿岸域における表層型メタンハイドレートの開発を想定した環境影響評価に取り組んでいます。化学分析装置や遺伝子解析装置、物理環境計測機器を用いた環境調査手法の高度化を進めるとともに、水槽などの陸上施設を用いた疑似現場環境試験も実施しています。

ネイチャーポジティブの科学的支援
「ネイチャーポジティブ」とは、人間活動による自然の損失を食い止めて、回復軌道に乗せることを意味します。本グループのメンバーは、2025年に設立された産総研の「ネイチャーポジティブ技術実装研究センター」における中心的役割も担っています。人間活動が自然に及ぼす影響を診断・緩和する技術や、生物多様性をモニタリングする技術を組み合わせ、企業や自治体のネイチャーポジティブに向けた活動を科学的に支援しています。
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サンゴ礁生態系の保全および地球環境問題の解明
高CO2時代に対応したサンゴ礁生態系の保全のための取り組みを推進しています。陸域からの環境負荷の緩和に向けた技術開発や、海洋酸性化と貧酸素化の複合影響の評価を行っています。さらに、サンゴ骨格などを用いて過去数百年間の気候・海洋変動を復元する研究を実施しています。
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「海域地質図プロジェクト」および「沿岸域プロジェクト」への貢献
地質情報研究部門の「海域地質図プロジェクト」に参加して、日本周辺海域の地質情報の整備に協力しています。また、人口が集中する都市沿岸域における地質災害の軽減を目指す「沿岸域プロジェクト」に参加し、海域-沿岸域-陸域をつなぐ地質情報の整備を支援しています。
