地層の採取(人の力を使った方法)
枯れた植物、砂、泥などが数十年、数百年、数千年以上という時間をかけて積もって地層ができます。
この地層からは、たまった当時に生きていた生物の遺骸(化石)や、津波の痕跡である津波堆積物が発見されることがあります。その土地の地層をきれいに採ることは、過去の津波を知る第一歩と言えます。
地層の採取には、その土地の環境(何もない湿原なのか、道路脇の田んぼなのか)や地層の種類(堅いのか軟らかいのか、砂なのか泥なのか)によって様々な方法があります。
ロシアンサンプラーによる掘削
塩ビパイプによる採取
シンウォールサンプラーによる掘削
ハンディジオスライサーによる掘削
地層の採取(重機を使った方法)
ジオスライサーによる掘削
機械ボーリングによる掘削
トレンチ・ピット調査
地層の採取方法
調査で使用する重機
積載型トラッククレーン
通常のトラックを補強してクレーン装置を搭載したもの。ジオスライサーや機械ボーリングの調査の際、資材の搬入・搬出のために使用する。軽トラック以上の大きさの様々なタイプがある。つり上げ荷重(つり上げのためのフック等を含めた最大荷重)が3トン未満のものが多い。クレーン装置を使用する際は、転倒防止のためにアウトリガー(横側に張り出す足)を使うため、運用の際はある程度のスペースが必要となる。
クローラークレーン
大型ジオスライサーを用いた調査の際、最も頻繁に運用される重機。クローラーで走行することができるため、未舗装地や軟弱地でも走行が可能。つり上げ荷重が5トン未満のクレーンを使用することが多い。
小型クローラークレーン
クローラーで走行するクローラークレーンの一種。未舗装地や軟弱地でも走行が可能。アウトリガーが、本体の四隅から「カニ」あるいは「クモ」のように張り出す。アウトリガーを収納すると非常に小さくなるため、幅の狭い農道などでも走行することができる。タイヤ付き車両で行けないような場所で大型ジオスライサーを運用する際に使用する。
ホイールクレーン
タイヤで移動するため、公道を走行することができる。特に、カニ走行などもできるホイールクレーンを「ラフターレーンクレーン」と呼ぶことがある。転倒防止のためのアウトリガーを使用するため、ある程度のスペースが必要となる。大きな道路沿いで大型ジオスライサーを運用する際に使用する。
掘削以外の調査方法
地中レーダー探査
電磁波をアンテナから地下に放射し、その反射波の走時(ある場所を出発して、ある観測点に到着するまでの時間)を計測することで地下の様子を知ることができる。
フォトグラメトリ
ドローンなどで撮影した複数のデジタル写真と、ドローンが衛星から取得した位置情報から、地形などの情報を読み取り、コンピュータ上で画像を合成・構築し、解析する方法。
本頁は、澤井・田村(2022)GSJ研究資料集 no.741に加筆・修正したものです。写真の説明に(*)を付したものは同資料集より転載したものです。