国立研究開発法人産業技術総合研究所【地圏微生物研究グループ】
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用語解説

五十音順


IODP (アイオーディーピー)


日本語訳は、国際深海科学掘削計画。海洋底の掘削調査により、地球の現在の姿や成り立ち、過去の歴史を理解することを目的としている国際協力プロジェクト。地下圏微生物の解明やメタンハイドレートの調査が、主な研究課題の一つとして選ばれています。


ガス田 (がすでん)


地下に天然ガスが存在している地域。地層の褶曲構造に濃集して形成されます。油田と重複することが多い。千葉県や新潟県には地層水に天然ガスが溶存している水溶性天然ガス田があります。


揮発性有機塩素化合物 (きはつせいゆうきえんそかごうぶつ)


テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンなどのように炭化水素化合物において水素原子の一部が塩素原子で置き換わった化合物の中で、揮発性の高い物質の総称。その多くは、人体に有害であり環境汚染として問題となっています。


嫌気性微生物 (けんきせいびせいぶつ)


無酸素の条件で生育する微生物。酸素に対する感受性により以下の2つに大別できます。
1)酸素を使えるが、使わなくても増殖できる。
2)酸素を使えないし、増殖にも有害である。
我々のグループでは、主に2)の種類の微生物を対象としています。


嫌気的メタン酸化古細菌 (けんきてきめたんさんかこさいきん)


古細菌の中で嫌気的なメタン酸化に関わっているグループ。英語名anaerobic methanotrophic archaeaの略でANMEと呼ばれ、未だに分離培養されていません。ANMEによる嫌気的メタン酸化反応は通常硫酸還元反応とカップリングして生じると考えられていて、特に海底堆積物中では硫酸還元細菌と共生集合体を形成しているのがしばしば観察されます。


枯渇油田 (こかつゆでん)


採掘により原油が生産できなくなった油田。ただし、現在の採油技術で回収可能な原油は埋蔵量の半分ほどです。残された原油を有効に利用するために新たな原油増進回収法(Enhanced Oil Recovery; EOR)の開発が求められています。


古細菌 (こさいきん)


人間や動植物・カビ・酵母などの真核生物と、大腸菌・乳酸菌などのバクテリアと共に生物を3分する分類群のひとつ。バクテリアと同じように目に見えない単細胞の生物ですが、細胞を構成するいくつかの成分がバクテリアとは異なっています。メタン生成古細菌は、この分類に属する微生物です。


酢酸分解細菌 (さくさんさんかさいきん)


正確には酢酸酸化細菌と言われます。酢酸を水素と二酸化炭素に酸化し、メタン生成菌と共生します。近年、地下環境のメタン生成にこの細菌の重要な役割を担っていることが明らかになりつつあります。


脂質 (ししつ)


炭化水素鎖を持つ生物体内に存在、あるいは生物由来の有機化合物。主要な官能基によって、炭化水素、カルボン酸、アルコール、エーテル、エステルなどに区分されます。石油や、堆積物の有機溶媒抽出物も主に脂質からなります。分子中にリン酸や糖を含むものを特に極性脂質といいます。


脱塩素菌 (だつえんそきん)


トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物の塩素原子を一つずつ水素原子に変え,無害化する嫌気性の微生物。特にデハロコッコイデス属細菌がその能力の高さから注目を集めています。


地下微生物 (ちかびせいぶつ)


地下に生息する微生物。岩石、土壌、堆積物等のあらゆるところで微生物が見つかっています。全地球規模では、地下には表層の原核生物全量に匹敵するぐらいの微生物が生息すると推定されています。深いところでは、地下数kmの深度まで微生物が見つかっています。


地質汚染 (ちしつおせん)


土壌や地下水の他,地下空気や地下の堆積物などを含む地下環境の汚染を包括的に表す用語。地下環境の汚染の理解には、地質構造や地下水流動の正確な把握が不可欠です。


沖積層 (ちゅうせきそう)


最終氷期以降の海水準の上昇に伴って形成された堆積物。関東平野や大阪平野など、日本の平野部に多く形成されています。


同位体 (どういたい)


同じ原子番号を持つ元素で質量数(原子核の中性子数)が異なる核種のこと。放射能を持つ放射性同位体と持たない安定同位体が存在します。例えば炭素の場合、質量数が12と13の安定同位体と、質量数が14の放射性同位体があります。安定同位体の存在比(安定同位体比)は、自然界ではほぼ一定ですが、精密に測定すると物質によって差があり、その値は物質の起源や成因を推定する手がかりとなります。


トレーサー実験 (とれーさーじっけん)


微生物が利用する基質(えさ)の成分に、通常とは異なる同位体元素を添加し、一定時間培養した後に、微生物の代謝物にどれぐらい同位体元素が含まれているか調べる実験。質量数14の放射性炭素同位体を用いた場合は、ラジオトレーサー実験といいます。質量数13の安定炭素同位体を用いることもできます。


バイオマーカー


堆積物や石油などの地質試料に含まれる有機化合物(主に脂質)で、その特徴的な炭素骨格構造から、起源となった生体有機物を推定することが可能なもの。ステランやホパンが代表的なもので、それぞれ真核生物、バクテリアのバイオマーカーです。石油と根源岩の対比や、熱変質の程度(有機熟成度)の指標として、石油探鉱において利用されています。


バイオレメディエーション


生物の機能を利用して環境浄化を行う技術の総称。一般的に、低コストかつ低環境負荷の手法として注目されています。地質(土壌・地下水)汚染の浄化手法の有力な一つであり、石油や揮発性有機塩素化合物を対象にしたバイオレメディエーションは実用化されている。


ヒ素蓄積細菌


近年海洋や高塩湖であるモノ湖(アメリカ)からヒ素を体内に蓄積できる細菌が相次いで発見され、バイオレメディエーションなどへの応用が期待されています。特に、2010年に、モノ湖の細菌はリンの代わりにヒ素を利用することができる珍しい細菌と大々的に発表されましたが、異論も多く、現在も議論が続けられています。


物質循環 (ぶっしつじゅんかん)


地球表層の物質は、生物活動や、大気や海洋の流れ、プレートテクトニクスによって長い年月をかけてその形態を変えながら地球表層から地下深部に及ぶ広い範囲で循環しています。特に、生命にとって必須元素である炭素元素の循環は、人間の活動や、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の変動と関連しています。


メタン酸化細菌 (めたんさんかさいきん)


メタンを唯一炭素源・エネルギー源として生育する細菌。水田・湖沼等に生息し、酸素を用いてメタンをCO2に酸化します。


メタン生成菌 (めたんせいせいきん)


水素と二酸化炭素または酢酸、メタノールなどからメタンを作ってエネルギーを得る古細菌。嫌気性の微生物で、水田や湿地、湖沼、海底、地下深部など酸素のない環境に生息しています。正式には、メタン生成古細菌と言います。


メタンハイドレート


水分子が籠のような構造を作り、メタンを内包する固体結晶。低温かつ高圧の条件で安定に存在し、日本近海の深海堆積物の中に見つかっています。石油資源に代わる新エネルギーとして注目されています。


油田 (ゆでん)


地下に石油が存在している地域。大規模な油田は中東に多い。日本では、新潟や秋田、山形、北海道等にあります。


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