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1】米国におけるBrownfields問題 最近の政策動向 

公開日:2022年3月15日
執筆者:地圏化学研究グループ 鈴木寿一、保高徹生
キーワード:土壌汚染、ブラウンフィールド、米国 
    土壌汚染対策のために1990年に施行された米国連邦法「包括的環境対策・補償・責任法(CERCLA)(別名スーパーファンド法)」は、土壌汚染疑いのある土地の再開発・再利用を妨げる意図せぬ副作用「ブラウンフィールド」問題をもたらした。ブランフィールドの定義は国ごとに違うが、例えば日本では、「土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本 来、その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地」との定義がなされている(環境省、ブラウンフィールド潜在的規模の試算,2007))。
 我が国でも、2000年代後半からブランフィールド問題に注目が集まり、環境省による「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド対策手法検討調査検討会」が開催され、2007年には「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド問題の実態等について中間とりまとめ(環境省, 2007)」が公表された。また、同時期に、筆者らは「日本におけるブラウンフィールド発生確率の推定(保高ら2008)」の研究を進め、我が国における潜在的なブラウンフィールド数の推定した。一方で、ブラウンフィールド問題は環境問題だけでなく、都市としての問題でもあるため、都市計画の視点からも多数の研究が進められた。(例えば、平野ら(2010)「地方都市におけるブランフィールドサイトに関する考察」や黒瀬ら(2014)「米国におけるブラウンフィールド再生に対する公的支援の研究」、黒瀬(2019)「米国のブラウンフィールド再生 ─工場跡地から都市を再生する」などを参照されたい。
 米国におけるブラウンフィールド問題対策としては、主に経済・社会問題として法の運用の工夫や調整、さらに法改正による改善の取り組みが進められてきた。また、浄化作業に関わる環境問題として多面的な環境負荷に考慮するグリーンレメディエーションの取り組みが導入され、近年は特に気候変動問題の観点での取り組みが強化されている。
 本報告ではCERCLA主管官庁である米国環境保護庁のウェブページ”Superfund”及び”Brownfields”を参考に、ブラウンフィールド問題の概要及びブラウンフィールド再開発促進に関する最近の政策動向を、経済・社会政策及び気候変動政策の文脈で簡単に紹介する。筆者も米国の最近のブラウンフィールド政策を久々に眺めると、2018年 法改正によるブラウンフィールド再開発の促進(Brownfields Utilization, Investment and Local Development (BUILD) Act of 2018)や2019年の Land Revitalization Toolkit発表、2016年のBrownfield Revitalization in Climate-Vulnerable Areasなど、様々な新しい取り組みがなされている。「経済発展」、「社会的公平性」及び「環境保護」は国連持続可能な開発における「3本柱」そのものであり、ブラウンフィールド問題は持続可能な開発と密接に関係した課題と理解することができる。これらの考え方は、Sustainable Remediationの概念にもつながるものである。本報告が皆様の参考になれば幸いである。。
Superfund
Brownfields

ブラウンフィールド(Brownfields)とは何か

定義: 「有害物質、汚染物質あるいは汚染物が存在または存在する可能性がある事によって、再開発あるいは再利用が困難になっている不動産」の事(包括的環境対策・補償・責任法(CERCLA)Section 101(39)(A))。現在全米で450,000を超えるブラウンフィールドがあり、その開発は地域の税収、雇用増、既存のインフラ活用、未開発地への開発圧力低減及び環境保全に役立つ、とされている。

背景: ブラウンフィールド問題は米国連邦法「包括的環境対策・補償・責任法(CERCLA)」(1980)によって意図せずもたらされたものである。CERCLA立法のきっかけは埋め立てられた有害化学物質によって土壌・地下水が汚染され、人への健康影響が表面化したため連邦政府による除染作業が行われた「ラブカナル事件」(1978)であり、緊急時対応の趣旨をもつため大統領に土壌汚染に関する調査・除染作業の実施及び土地の所有者・運営者からの費用回収の権限を与えている。法の施行後、化学物質取り扱い工場であった土地や鉛塗料を使用した住宅の跡地などは潜在的にCERCLAの対象である事から、そうした土地に関わることでCERCLAを根拠に連邦政府から汚染土壌浄化費用負担を求められる可能性を嫌って再利用・再開発が進まない状況が発生し、これがブラウンフィールド問題と呼ばれる様になった。1990年には全米市長会議がブラウンフィールドについて「環境責任が再開発を阻害し空き地や荒廃が不動産価値を下げ地方の税収を悪化させる」と、社会問題化しているとして懸念を表明している。また同年経営破綻した印刷工場の土壌汚染をEPAがCERCLAに基づき浄化して発生した費用の回収に関し、「ファクタリング契約」を通じて工場の運営に関与した債権者は浄化費用負担を負うべき、とした連邦裁判所判決(United States v. Fleet Factors Corp. No. 89-8094 (11th Cir. May 23, 1990))が下され、費用負担責任が思わぬ範囲に及ぶ事が明らかになった。 これらの懸念、課題に対し、連邦環境保護庁(EPA)はブラウンフィールド再開発促進のために責任範囲の明確化、CERCLAに基づくブラウンフィールドサイト評価実施、州の自主的浄化対策への資金提供や人材教育、州が浄化済みのサイトはCERCLA対象とは見做さない事の明確化等州政府との協調など一連の施策を打った。 またこれら運用上の工夫に留まらず、2002年には連邦法Small Business Liability Relief and Brownfields Revitalization Actの成立によりCELCRAが改正され、汚染に対する寄与が一定未満の小規模企業を法の対象から除外する事、汚染発生に関与していない汚染発生地の隣接地の免責の明確化、将来のブラウンフィールド購入者の保護、州の浄化プログラムに対する資金提供などを通じて、ブラウンフィールド問題解消への取り組みが進められている。
Superfund: CERCLA Overview
42 U.S.C. CHAPTER 103—COMPREHENSIVE ENVIRONMENTAL RESPONSE, COMPENSATION, AND LIABILITY
Superfund History
Brownfields and Land Revitalization Program History
CERCLA Amended-Brownfields Law Passed
Small Business Liability Relief and Brownfields Revitalization Act

近年の動向

1. 経済・社会政策としての取り組み
  • 2009会計年度に連邦政府による不況対策の一環として土壌浄化予算倍増
    リーマンショック後の経済回復政策として2009年オバマ政権が成立させたAmerican Recovery and Reinvestment Act of 2009 (ARRA)ではCERCLA/ブラウンフィールド関係の予算として、2009年通常予算への追加措置として

    * Superfund Remedial program: $6億(3%までの管理費用含む)
    * CELCRAに基づくブラウンフィールドプロジェクト:$1億(州及び居留地補助金の一部として)

    が計上された。 なお土壌汚染対策としては他に

    * 漏洩地下タンク信託基金:Solid Waste Disposal Actに基づく浄化活動資金として$2億

    が計上されている。EPAが策定した2009会計年度予算では、土壌浄化プログラム全体(Superfund, ブラウンフィールド、RCRA修復、地下タンク)予算が$9.148億であり、ほぼ同額がARRAによって上乗せされたことになる。
    ARRA Passed; Superfund Sites to Receive Funding
    American Recovery and Reinvestment Act of 2009
    FY2009 EPA Budget in Brief
  • 2010年Environmental Workforce Development and Job Training Program開始
     有害廃棄物による影響を受けた地域社会に対し、浄化、排水処理、化学物質の安全、環境分野での持続可能な雇用を創出するための、低所得者、失業者に対するトレーニングと就労を支援する助成金プログラム。先住民政府、先住民間コンソーシアム、地方自治政府、NPO、大学などが対象。典型的助成額は一件あたり最大$20万。

    【助成対象活動の例】
    * ブラウンフィールド有害廃棄物トレーニング
    * 固形廃棄物管理とリサイクル
    * 緊急管理と石油流出クリーンアップ
    * 革新的で代替処理技術を使ったスーパーファンドクリーンアップ関連のトレーニング
    * 廃水処理と雨水管理
    * 統合害虫管理
    * 代替エネルギー技術
    * 化学安全
    * 強化された環境安全トレーニング
    Environmental Workforce Development and Job Training Program

  • 2018年 法改正によるブラウンフィールド再開発の促進
     Brownfields Utilization, Investment and Local Development (BUILD) Act of 2018によりCERCLAのブラウンフィールドサイト規程を改定。
    主要な変更点は

    *行政機関に対する再開発の確実性向上:汚染サイトを管理する地方政府はもう「止むを得ず」取得する必要はない
    *アラスカ先住村落及び先住民企業の責任軽減:新たに汚染に関与しない限りは、Alaska Native Claims Actに基づき取得した施設についての責任は免除される
    *石油関連ブラウンフィールドへの対応強化:石油関連フラウンフィールドを基金の対象とするため「比較的低リスク」でなければならないとする要求事項を削除
    *非営利組織について適用を拡大:非営利組織(有限責任会社及びNPOである地域開発組織)もブラウンフィールドリボルビングローンファンド(RLF)助成金の対象
    *ある種の公的所有ブラウンフィールドサイト:2002年1月11日以前に取得された公的所有地も、所有者が汚染に関与しない限りRLF及び浄化助成金の対象
    *除染の助成金増額:浄化助成金がサイト当たり$50万に増額、さらに汚染の程度、規模、サイトの所有状況に応じてサイト当たり$65万までの免除を要請できる
    *多目的のブラウンフィールド助成金:評価と除染の組み合わせである多目的助成金が最大$100万まで増額、総予算の15%を超えない額が多目的助成金として与えられる
    *管理コストとして助成金を利用:助成金の5%までを管理コストとして利用可能になる
    *助成金申請:再生可能エネルギーあるいはエネルギー効率化プロジェクト及び沿岸地域の開発を対象とした新しい格付け基準
    *小規模コミュニティに対する技術支援助成金:州や先住民地区が小規模コミュニティ(人口15000以下)、先住民居留地、郊外地域、及び貧困地域に対し訓練、技術支援あるいは研究を提供する新たな助成金プログラムを創設
    Brownfields Utilization, Investment, and Local Development Act (BUILD Act) [Bill Summary]

  • 2019年 Land Revitalization Toolkit発表
     汚染された、または汚染の可能性がある土地の浄化に際して地域社会が再利用の可能性を探る事を支援するための、ガイド文書及び評価ツール群。再利用のフェーズを「再利用の計画立案」、「再開発前」、「再開発」及び「再利用管理及び操業」の4つに分け、ガイダンスやツールを公開。 Land Revitalization Toolkit

    【再利用計画立案】
    ガイド Community Actions that Drive Brownfields Redevelopment guide 浄化と再利用のための準備、投資を容易にするための対策
    10 specific planning activities 地域の経済、インフラ、社会、環境条件と再利用の目標とを整合させ、どのような再利用が可能かを判断
    Preparing Your Plan for Site Reuse 種々のブラウンフィールド活性化シナリオの、財政的実現可能性を評価
    Using sea-level rise models, coastal or inland flood estimates 海面上昇モデルを利用して洪水の可能性を評価、再利用プロジェクトを保護
    Stream Daylighting at Brownfield Sites 地上に川の流れが再生された際の、日光が地域社会に与える影響を評価
    Revitalizing Brownfield Sites into Electric Vehicle Charging Stations ブラウンフィールドを充電ステーションに再開発するための利点と考慮事項を詳述
    Brownfields Stakeholder Forum Kit 議題の例、招待状、ロジスティクスなど、コミュニティが利害関係者を引き付け、ブラウンフィールドの活性化の課題に対処するためのパートナーシップを確立する会合のためのツール群
    Brownfields Road Map 6th Edition サイトの調査とクリーンアップについて幅広い利害関係者に向けて情報提供する際に利用できる、わかりやすいステップバイステップのプロセス解説
    Brownfields Grant Recipients' Road Map to Understanding Quality Assurance Project Plans ブラウンフィールズ評価助成金受給者が品質保証プロジェクトプラン(QAPP)を策定、利用するための一般的なプロセスを説明
    Climate Smart Brownfields Manual is a resource 気候変動の緩和、適応、レジリエンスのベストプラクティスについてのガイダンス
    Brownfield Revitalization in Climate-Vulnerable Areas 建築基準、ゾーニング、細分化規制を更新する際に考慮すべき規制基準、インセンティブ、ガイドライン
    ツール Public Infrastructure Coordination Assessment and Planning (short how-to video and tool)インフラストラクチャ資産管理の協調的なアプローチ開発に役立つ説明ビデオとツール
    Residential Demolition Tool解体中の環境目標達成に役立つツール
    【再開発前】
    ガイド Revitalization-Ready: A Guide for Revitalizing Land in Your Community 汚染されたサイトの再利用可能性を特定するためのステップバイステッププロセス
    Anatomy of Brownfields Redevelopment guide不動産開発の観点からブラウンフィールドの浄化と再利用プロセスを解説
    RE-Development Academies (2019, 2021 versions)開発者が汚染されたサイトの再開発にどのようにアプローチするかを学びたいコミュニティメンバー向け教育資料
    Setting the Stage for Leveraging Resources for Brownfields Revitalizationサイトの位置を変更、リスクを管理、ブラウンフィールドサイトへの投資を引き付けるための課題を克服する方法を学びたいコミュニティメンバー向け教育資料
    Setting the Stage for Leveraging Resources for Brownfields Revitalizationコミュニティがブラウンフィールド再開発プロジェクトのための十分な資金を得る事を支援
    Creating a Brownfields Investment Package関連するサイト情報を分かりやすい視覚的コミュニケーションとマーケティング文書にまとめる方法を説明
    ツールCommunity Reuse Property Prioritization Tool土地を再利用計画に基き優先順位付けするツール
    【再開発】
    ガイドCleaning Up Brownfields under State Response Programs- Getting to "No Further Action" 州の対応プログラムに基づく浄化において「これ以上の対応不要」とされる状況の認定を達成する要件
    ツール Deconstruction Rapid Assessment Tool 構造物を分解することでリサイクル可能な材料を得る可能性についての迅速評価手法
    Deconstruction Tools for Tribes and Rural Communities
    • Checklist for Assessing the Feasibility of Building Deconstruction for Tribes and Rural Communities
    • Building Material Reuse and Recycling Estimating Tool
    先住民及び地方のコミュニティ向け解体ツール
    Urban agriculture & aquaponics
    • Urban Farm Business Plan Handbook
    • Urban Farm Business Plan Worksheets
    • Urban Farm Business Plan Financial and Planning Spreadshee
    • Aquaponics Business Plan User Guide
    • Aquaponics Business Plan Worksheets
    • Aquaponics Business Plan Spreadsheets
    都市農業及びアクアポニック(魚介類養殖と水耕栽培の組み合わせ)に関する手引き及びツール類
    【再利用管理及び操業】
    ガイド New Manufacturing on Old Brownfields 製造業でのブラウンフィールド活用事例
    ツールBrownfields and Urban Agriculture: Interim Guidelines for Safe Gardening Practices農業での再利用プロジェクト開発向けガイドライン

2. 環境政策としての取り組み
  • 2010年Green Remediation Strategy and Principles for Greener Cleanup発表
     浄化作業に関わる環境負荷削減と天然資源保全のために策定されたもので、9項目の重要措置と40項目の特定措置を記述。戦略に含まれる活動として以下が挙げられている。

    * 現場での100%再生可能エネルギー使用を目標として、再生可能エネルギー使用最大化とエネルギー効率向上の手法を特定
    * 2010会計年度以降グリーンレメディエーションの要素を浄化最適化評価に組み込む
    * 浄化作業実施及び代替浄化手法開発に際して天然資源とエネルギー使用の削減を検討ル
    * クリーンで再生可能、革新的なエネルギー源の利用と高度なディーゼル技術を組み合わせ、適正操業を行うことで総排出量を最小化
    * 飲料水保全、処理水の再利用および帯水層の涵養のための追跡と強化のツール策定
    * 現場内外で廃棄物以外の資材あるいはエネルギーの使用を特定
    * 除去作業手順、除染デザイン及び除染作業契約の中にグリーンレメディエーション作業の利用を特定しエネルギー・燃料使用とコストについて独立した報告を求める文言を含める
    * 地域社会がネットワークを設立し地域の労働者がグリーン浄化に必要な経験を積むことができる訓練プログラムを支援
    Superfund Green Remediation
    Superfund Green Remediation Strategy

  • 2014年EPA Brownfield and Land Revitalization teamsが気候変動に関するレジリエンスについてのチェックリストを発表

    *How to Address Changing Climate Concerns in an Analysis of Brownfield Cleanup Alternatives (ABCA)
    *How to Address Changing Climate Concerns in Your Brownfields Area-Wide Planning Project

  • 2016年Climate Smart Brownfields Manual発表
     ブラウンフィールドサイトの評価、浄化、再開発に際しての、気候変動緩和、適応、レジリエンスのベストプラクティスについてのガイダンス。
    Climate Smart Brownfields
  • 2016年 Brownfield Revitalization in Climate-Vulnerable Areas発表
     気候変動の影響を受けやすい地域におけるブラウンフィールド再開発について、地方政府が経済と気候変動とのバランスについて考慮する際の実務や、規制、インセンティブ、プロジェクトやプログラムの実例を紹介。
    Brownfield Revitalization in Climate-Vulnerable Areas
3. これまでのブラウンフィールドプログラムの成果

 2021年10月1日時点でのブラウンフィールドプログラム成果として以下が公表されている。

評価指標 目標 達成 累積
評価済みの土地の数1,3001,69134,276
浄化済みの土地の数 130 170 12,261
雇用創出 7,000 8,940 180,205
経済効果 $13億 $21.3億 $346.28億
再利用可能な土地の数 684 616 9,237
再利用可能と期待される面積(エーカー) NA 11,470 144,276
 その他州及び先住民パートナーにより達成された成果

終わりに

 国連持続可能な開発目標(SDGs)では、持続可能な開発を概略「世代間公平性(国連報告書 Our Common Future (1987))を経済(開発)・環境(保護)・社会(的公平性)の3本柱の調和(国連報告書 The Future We Want(2012))を通じて実現する事」、と定義している。この観点でブラウンフィールド問題を見た場合、埋め立てられた有害化学物質によるヒト健康・環境保護のための法規制CELCRAが、土壌汚染疑いのある土地の再開発・再利用を意図せず妨げた事で地域の経済開発に悪影響を及ぼし、所在地周辺の先住民コミュニティや低所得者コミュニティに健康影響リスク及び経済リスクを偏在させて社会的公平性を損なうという、3本柱のバランスをどのように取るのか/リスクトレードオフ関係をどう調整するのかという、優れてSDGs的な課題である事が理解される。
 本報で紹介した米国EPAにおけるブラウンフィールド再開発・再利用促進や浄化作業における環境問題全般への配慮、特に気候変動問題への取り組みの強化といった変遷は、土壌汚染対策がSDGsの世界観を背景として変化を続ける社会的要請にどう応えて行くのか、というケーススタディとして非常に興味深いと思われる。
 国連SDGsに先行して取り組みが始まったSustainable Remediationにおいても、実現したい未来への展望含め米国ブラウンフィールド問題から示唆が得られるのではないかと考える。

-------引用・参考文献-------

〇 U.S. EPA, Superfund
〇  U.S. EPA, Brownfields
〇  42 U.S.C. CHAPTER 103—COMPREHENSIVE ENVIRONMENTAL RESPONSE, COMPENSATION, AND LIABILITY
〇  United Nations, Report of the World Commission on Environment and Development: Our Common Future
〇  United Nations, Resolution adopted by the General Assembly on 27 July 2012 The future we want (A/66/L.56)

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