Domestic Bases拠点紹介

Domestic Bases

catalyst

TSUKUBA

つくばセンター

茨城県つくば市

実験棟の1、2階を拠点として整備 総床⾯積︓約520 m²

Introduction

化石燃料やバイオマスなどを原料として、あらゆる化学品の製造に欠かせないものが触媒です。触媒の定義としては「欲しいものを効率的につくる道具や手段」と考えられており、その実用性が鍵となります。すなわち、触媒研究開発にはその具体性と基本的な実装可能性の議論を常に必要とされます。現在の触媒化学技術を用いた“もの作り”は極めて高いレベルに達しているとはいえ、マイクロプラスチック問題やCO2排出などの地球温暖化問題に直面した世界で、資源循環に根差した持続可能な社会の実現を目指すには、本質的に省エネ・省資源・低廃棄物を可能とする触媒科学技術をさらに発展させる必要があります。一方、情報科学をマテリアル開発に適用させていく流れの中で、産総研・触媒化学融合研究センターにおいては、触媒と情報科学の融合、すなわち、触媒インフォマティクスの重要性を認識し、インフォマティクスによる触媒開発に、世界に先駆けて着手しています。

拠点のバーチャル見学も可能です

Purpose

先進触媒拠点の目的は、さまざまな民間企業に対して、高度な機械学習機能に基づいて触媒を設計、触媒探索と製品製造探索を一体的に行うことが可能な触媒研究に特化したプラットフォームを提供し、CO2やNO2の回収・再資源化に必要な触媒の実用化に取り組む企業を支援することです。そのため、触媒インフォマティクスを活用した触媒設計システムやハイスループットでの触媒探索を行う自動合成システム、触媒を用いた機能性化学品の連続生産に関する最先端の装置を導入し、プロセスインフォマティクスの一層の活用も見据えた研究開発の支援を実施します。また、データ科学を利用した触媒プロセス開発の専門人材育成を、産学官が一体的に行うことが可能な拠点であることも特長です。

つくばセンター

Cases活用事例と装置紹介

Cases

計算科学的アプローチに加え,触媒の自動合成,迅速触媒性能評価,触媒物性迅速測定等の触媒化学に重要な実験をハイスループット化し,大量のデータを迅速に取得することで,データ駆動型触媒インフォマティクスを実施し、短時間で高性能触媒の開発するための基盤技術を開拓しました。この基盤技術は、これまでの触媒開発時間を大幅に短縮するもので、様々な触媒反応にも応用可能です。さらに、触媒反応プロセス実証のための設備の整備も行っています。また、本プラットフォームにおいて、触媒を熟知した研究者とのコンサルティングや共同研究を通じ、企業ニーズに対応した触媒開発やプロセス開発を促進するためのアドバイスを行うことも可能です。

先進触媒拠点紹介ビデオ

バイオエタノールからのブタジエン合成触媒の開発

触媒の全自動調整
触媒の性能評価
高性能触媒の選定
高性能触媒によるブタジエン大量合成
タイヤの試作による触媒プロセスの実証
本成果は『超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)』によるものです。

触媒自動合成装置および触媒活性迅速評価装置を用いて、多量の触媒のハイスループットスクリーニングを実施しました。また、第一原理計算で得られた触媒データなどから触媒活性の予測を行い、高活性な触媒の開発を短時間で実施しました。さらに得られた高性能触媒を用いて触媒反応プロセス開発も行い、スケールアップした反応装置によりエタノールから大量のブタジエン合成し、実際のタイヤを製造できることを実証しました。

Institution利用可能な装置群と特徴

Facility

利用可能な装置一覧はこちらをクリック

触媒調製

ハイスループット触媒自動合成装置

触媒ハイスループットスクリーニング、
さらに工業触媒開発に向けた触媒製造プロセスの最適化を行います。

  • • 装置名称 触媒自動合成装置 S/N:YH-0003、S/N:YH-0005 Chemspeed社
  • • ロボットによる触媒自動合成を目的とし、粉末状固体の正確な秤量、金属化合物水溶液等の正確な分注、それらの混合・攪拌・濾過洗浄および加熱作業を連続的に自動で行うことが可能です。
  • • 1回で、0.5g〜1kgの触媒が調製可能です。
  • • 1日、6個〜100個程度の触媒サンプルの調製が可能です。
  • • 含浸法、共沈法などさまざまな触媒調製法に対応可能です。
触媒自動合成装置
触媒自動合成装置

触媒活性
試験

ハイスループット触媒活性評価装置

ハイスループット触媒自動合成装置により大量に調製された触媒
を多数の並列フロー反応器により迅速に活性評価を行います。


  • • 装置名称 迅速プロセス評価装置 THE社製 触媒物性評価装置 マイクロトラック・ベル社製
  • • 16個のフロー反応器が並列で配置され、触媒反応の同時測定が可能です。
  • • 反応圧力は0.1〜10MPaの範囲で高圧反応に対応しています。
  • • 反応温度は、最大600℃まで対応しています。
  • • ガス成分だけでなく、液体成分の供給も可能です。
  • • 反応生成物はオンラインガスクロマトグラフで自動分析します。
  • • 全自動で運転可能です。
触媒活性評価装置
触媒活性評価装置

迅速分析
先端計測

触媒構造分析・先端計測

各種触媒分析装置をハイスループット化し迅速に触媒構造分析を行います。
また先端計測を取り入れ、高速かつ高分解能で触媒表面の構造解析を行います。

  • • X線解析装置をハイスループット化して、触媒構造の分析を高速で行うことが可能です。
  • • 赤外分析装置をハイスループット化して、触媒分子構造スペクトルを高速で取得可能です。
  • • 発光分光分析装置をハイスループット化し、触媒構成成分を高速解析が可能です。
  • • 動的核偏極核磁気共鳴装置により、高速かつ高分解能で触媒表面構造の解析が可能です。
  • • 超高分解能走査電子顕微鏡装置により、高速で触媒表面の観察が可能です。
触媒構造分析・先端計測
触媒構造分析・先端計測
装置名称

触媒構造解析装置 【電界放出形走査電子顕微鏡 日立ハイテク社製 エネルギー分散型X線分析装置 OXFORD社製】

装置の機能

触媒構造の解析を行う。

装置の仕様

・各種材料のナノ構造を視覚的に評価するために用いる「超高分解能走査電子顕微鏡」
・材料の組成を分析するための「エネルギー分散型X線分析装置(EDX)」
・材料の特性に応じて加速電圧(照射電圧)を調節(0.1kV~30kV)
・材料のナノ構造評価を100~2,500,000倍以上の倍率での観察

装置でできること

幅広い材料について、材料の特性に応じて照射電圧を調節し、材料のナノ構造評価を100~2,500,000倍以上の倍率での観察により行える。また、インレンズ方式の対物レンズにより、透過錯乱電子の検出角度を任意に変更するとともに、適切な試料ホルダーを用い、表面構造観察、内部構造観察(STEM透過像)、組成評価(反射電子像、EDX分析)を同時に行うことで、材料評価を効率的かつ多角的に行い、AI用データとして蓄積できる機能を備えていることを必須とする。

装置名称

触媒固定床型連続流通式有機反応・分析装置(2台)【東京理化機器社製】

装置の機能

固体触媒を用いる連続フロー反応において種々の反応様式の実施検討に最適。

装置の仕様

・固体触媒を用いた種々の反応で運用に最適な円筒型反応器
・反応器の精密温度制御を行う恒温槽
・条件検討のための送液ポンプ、ガスコントローラー等から成る反応試料流通制御機構
・反応パラメーター取得のための温度計、圧力計、流量計等の計装部
・反応試料の自動分析モニタリングを実現するガスクロマトグラフ分析装置(GC)
・ガスクロマトグラフへの自動サンプリング機構
・フラクションコレクター
・分画データ処理装置

装置でできること

固体触媒を用いる連続フロー反応において、様々な反応様式(液一相系、液液・気液2相系等)での実験検討・分析評価が行える装置。 円筒型反応器のサイズは、内径が23、37、55mm、長さが300mmの3種類を取り揃えており、スケールアップ検討も可能。恒温槽温度、反応器内部温度、圧力等の運転パラメーターをデータロガーに収集可能。 反応後のサンプル溶液を自動で分画・サンプリング・ガスクロマトグラフ分析へインジェクションを行う機能があるため、作業員が、定時サンプリングやガスクロマトグラフィー装置の運転操作をする必要がない。定時分析サンプルの保管とサンプル溶液の大容量分画にも対応。

装置名称

触媒・機能性化学品製造後段プロセスのICM(Integrated Continuous Manufacturing)モジュール一式(装置類は全部で7種あり、それらを繋ぐシステムオーケストレーションにより連続化する。内訳は下記のとおり)

装置の機能

システムオーケストレーションにより、反応処理~晶析、ろ過、乾燥、パッケージングまでの中量自動連続生産のプロセスを実現する装置群。

装置の仕様

・溶媒を連続で濃縮することのできる連続濃縮装置【東京理科機械】
・粒形制御された結晶を連続的に製造できる連続晶析装置【チップトン】
・得られた固体を連続でろ過することができる連続ろ過装置【三菱化工機】
・ろ過で得られた固形物を連続で乾燥できる連続乾燥装置【パウレック】
・得られたサンプルを自動で分析できる装置【島津製作所】
・得られた乾燥固体を非接触で分注できる連続充填装置【大成建設】
・各単位操作の自動制御可能なバルブを備えた用役システムユニット【横河ソリューションサービス】

装置でできること

本モジュールは、触媒・機能性化学品製造の後段プロセスである精製の単位操作(濃縮、晶析、ろ過、乾燥、分析、分注)を連続で実施するための装置一式およびそれを自動で制御するためのシステムで構成されている。 有機反応の後工程プロセスにおける連続化プロセスを実験室レベルで検討することができる。すなわち、連続化プロセスに資する各単位操作を、企業の実製品を用いて検証することができ、開発段階から省エネ・省人化・低コスト化を指向し、シームレススケールアップで連続的商業生産へとつなげることができる。

拠点を利用した開発事例

  • カーボンリサイクルによる芳香族化合物等の製造プロセス開発
  • カーボンリサイクルによる基礎化学品等の製造プロセス開発
  • 多様なペプチド類の連続精密生産による創薬探索と製造
  • 金属ナノ粒子触媒の連続精密製造プロセスの開発
  • 植物由来原料からの基礎化学品の連続製造プロセスの開発
  • 植物由来原料からの医薬品中間体の連続合成および連続精製プロセスの開発

拠点導入装置

  • 触媒自動合成装置
  • 迅速プロセス評価装置
  • 触媒物性評価装置
  • 触媒構造解析装置
  • 触媒固定床型連続流通式有機反応分析装置
  • 機能性化学品製造後段プロセスのICM (Integrated Continuous Manufacturing) モジュール
  • 連続向流抽出洗浄装置
  • 連続濃縮・溶媒置換システム装置
  • 連続晶析システム装置
  • 連続ろ過システム装置
  • 連続乾燥システム装置
  • 自動サンプリング分析装置
  • 連続分注システム装置
  • システムオーケストレーション
※ 他にも触媒開発に関連した各種装置が利用可能です