研究チーム紹介/研究紹介
研究チーム紹介/研究紹介
  超臨界流体は、臨界点近傍での特異的な物性の変化により、今までにない反応を引き起こすことが知られています。特に超臨界二酸化炭素や超臨界水は、無毒で不燃であるた め、これまで反応に用いられた有害な有機溶媒に替わる、環境に優しい反応媒体としても注目されています。

  超臨界流体研究センターは超臨界流体プロセス技術の実用化を目指し、流体特性解明、有機反応、材料合成、プロセスと幅広い領域の研究を行うチームから成っています。こ の中で私たちのチームは最も基礎的な領域を担っています。これらの超臨界流体プロセス技術の実用化を進める上で、効率の良い反応を見つけ、どんな効果が現れるのかを知る ためには、超臨界流体中で何が起こっているかを知る必要があります。超臨界流体、特に超臨界水は臨界点温度 (374℃) と圧力 (22.1MPa) が高いために、新たな測定のための in-situ(その場) 測定システムの開発から始める必要があります。私たち流体特性解明チームでは、これまで赤外・ラマン分光測定、紫外・可視分光の過渡吸収測定、核磁気共鳴 測定をはじめとする in-situ(その場) 測定機器の開発を行い、それを用いて観測を行ってきました。これによって超臨界流体の密度揺らぎをはじめとする溶媒特性、反応中間体 の解析などの反応ダイナミックス、溶質周辺の局所構造をつかさどる溶質−溶媒の相互作用を明らかにしてきました。

  当チームのメンバーは、常勤職員3名、非常勤職員4名、フェロー1名で、この内2名の外国人研究者を迎えています。チームは広い基礎的分野を担当し、それぞれの研究者 の課題が大きく異なっているため、相互の理解と意思の疎通が欠かせません。時には得意料理を披露するパーティも開いて親睦を深めています。

  私たちは「楽しくて明るい研究環境」を作りながら、超臨界流体プロセス技術の実用化に向けた世界に先駆けた研究を進めていく予定です。
(倉田良明 記)
研究チーム
( 左より位置順に)
マヤ、 ラビ、 劉〔手前〕 (現米国)、 倉田、 比江嶋、 相澤〔手前〕、 澤田、 金久保、 佐藤(正)


メンブレン科学研究ラボ
  本来、産総研のラボには内部組織はないのですが、メンブレン化学研究ラボではラボ長の運営方針のもと、4つのチームをおいて研究活動などを行っています。本プロセス開発チームは常勤職員5名、非常勤職員6名からなっており、常勤職員のうち、2名は昨年度、1名は本年度入所で、全体に若めの年齢構成となっています。

  当チームでは、膜を利用した選択的酸化反応や水素化反応、水和反応などの、省エネと環境負荷低減につながるプロセス開発を目指しています。主な研究テーマとしては、1)膜利用反応プロセスの開発(パラジウム膜を利用した芳香族化合物水酸基化、セラミックスメンブレンリアクタ
ーを用いた天然ガスの変換、無機膜から発生する酸素マイナスイオンの利用、など)、2)マイクロリアクターの開発と利用 ( Micro-Electro-Mechanical Systems ( MEMS)) 技術を利用したマイクロメンブレンリアクターの作製と水素利用反応への適用、マイクロチューブリアクターを利用した選択的酸化反応、など)、3)新しい膜型触媒の開発と反応への応用、が挙げられます。

  それぞれのテーマについては、ラボの標榜する膜素材の研究から部材開発、応用・利用と一貫した研究開発とい う流れで取り組んでいます。例えばパラジウム膜反応器を利用したベンゼンの直接水酸基化によるフェノールの一段製造法開発では、膜を透過した解離水素を利用した酸素の活性化が鍵となっています。このため、パラジウム膜素材の開発、水素透過能の評価、表面状態の解析等を行っているチームと協力しつつ、反応プロセスの最適化や機構の解明をすすめているほか、東北大学などの大学や企業との共同研究も積極的に行っています。

  今後はラボの自前の技術を軸に、産学官の密接な連携も重視し、実用化への取り組みを進めていきたいと考えています。
(花岡隆昌 記)
ラボ
(後列左より) 井上、濱川、佐藤(剛)
(前 列左より) 西岡、花岡