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人類を滅亡から救いたい

―蛯名さんの研究の原点を教えてください。

高校生の頃に決意

1979年、神奈川県立橋本高校の生物科学研究部に入部しました。谷戸(谷間)水田におけるトンボの個体群生態学研究をフィールドワークで行い、学会等でも発表して、ここで一連の研究の仕方を学びました。
当時は、国際的な研究・提言機関「ローマ・クラブ」が「成長の限界」という報告書を1972年に発表してから7年程経った頃でした。人間の活動が地球レベルで生態系に大きな影響を与えることや、資源の枯渇につながることを、皆が考え始めた時期でした。その頃に高校生だった私は自分の将来について考え、「人類を滅亡から救う仕事をしたい」と決めました。
18歳の頃、「人類と環境 ―地球システムの平衡―」という8ミリ映画を制作しました。当時、「夢の島」と呼ばれていた埋立地(現在の新木場付近)へロケに行き、リサイクルの考え方を映像化しようと制作したもので、基本は「人類を滅亡から救う」ことがテーマです。

自主映画撮影中の蛯名少年の写真

▲自主映画撮影中の蛯名少年。

「人類を滅亡から救うことに目覚めた頃の写真です」


自然の恵みを生かしたものづくり

―その原点が現在の研究指針になっているのですね。

「めぐみものづくり」の提唱

地球の平均組成を計算すると私が開発している材料とほぼ同じです。したがって、採る時も地面から採るだけ、捨てる時も地面に捨てるだけでよく、環境負荷がありません。サスティナブル社会の実現を志向し、そのような天然無機素材の組成・機能・形状を生かしたものづくりを「めぐみものづくり」として2010年に提唱しました。
たとえ日々取り組んでいる問題解決の仕事は表層でも、研究者は灯台のように、遠くを照らすことができます。その照らす先が「めぐみものづくり」です。そのように自分の中では意識しながら日々の研究を行っています。

「Clayteam」設立10周年

2003年に開発した粘土膜は一定のレベルに達し、実用化に至ったものもありますが、汎用材としては技術的・経済的な課題が残されていました。この状況を打破すべく、2008年に「クレースト連絡会」を設立し、2010年に「Clayteam」という産総研のコンソーシアムを設立して今年度で設立10周年を迎えます。この間、粘土などのナノ材料を用いた多くの製品開発に成功してきました。ナノに基づく機能を付加価値としたナノテクビジネスは、今後本格的成長を迎えると予想されています。
最後に、産総研関係者とは多くの方々と出会い大変お世話になりました。しかし現役の方々については毎日会うため恥ずかしいですし、また別の機会もあると思いますので、ここでは触れないでおきたいと思います(笑)。

-蛯名さん、ありがとうございました


お気軽にお問い合わせください

産業技術総合研究所化学プロセス研究部門Clayteam事務局

〒983-8551 仙台市宮城野区苦竹4-2-1
電話・FAX:022-237-3057
Eメール:clayteam-aist-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信下さい。)

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