平成 29 年 12 月 1 日、TKP ガーデンシティ仙台にて、「国立研究開発法人産業技術総合研究所東北センター創立 50 周年記念シンポジウム」を開催しました。本シンポジウムは、東北センターの前身にあたる通商産業省 工業技術院 東北工業技術試験所(東北工試)が昭和 42 年に設立されてから、50 年の節目を記念して行われたものです。当日は、232 名の方にご参加いただきました。
中鉢良治 産総研理事長
中鉢良治産総研理事長は、東北センターの創立・発展に東北六県の産学官関係各位からご尽力を賜ったことに謝意を述べ、産総研は地域産業の発展に向けた取り組みを更に推進すると決意表明しました。次に、来賓の相樂希美東北経済産業局局長、矢島敬雅東北大学産学連携機構機構長、海輪誠東北経済連合会会長から、ご祝辞を賜りました。進藤秀夫内閣府大臣官房審議官(科学技術・イノベーション担当)からは「日本の科学技術政策の動向」と題し、サイバー空間と現実空間を融合させたシステムによる人間中心の新たな社会 -Soceity 5.0- の実現について、基調講演いただきました。
進藤秀夫 内閣府大臣官房審議官
濱川聡産総研化学プロセス研究部門長は、東北工試が創立当初、秋田県北鹿地方で新鉱床が発見された黒鉱の選鉱を中心とする資源開発技術を、研究開発の柱に据えたことを紹介しました。以来 50 年、東北センターは「化学ものづくり」技術を発展させてきました。「東北センターは、東北地域の地の利と、全国 10 拠点の産総研の強みを活かし、東北とともに世界を牽引するイノベーションを推進する」と語りました。続いて、宮城県に拠点を置く3 社から、東北センターとの連携成果をご講演いただきました。宮城化成(講演者:小山昭彦代表取締役)の不燃透明照明カバー「EXVIEW」には、東北センターの粘土膜素材「クレースト」の技術が使用されています。「EXVIEW」は、鉄道車両の材料として不燃認定を取得し、列車の照明カバーなどに採用が決まっています。加美電子工業(講演者:早坂宜晃専務)からは、塗装品質を維持しながら、揮発性有機化合物(VOC)を削減し、コストダウンも可能な超臨界 CO2 塗装システムをご紹介いただきました。本技術は、同社、宮城県産業技術総合センター、東北センターの 3 者共同で研究開発が進められてきました。新東北化学工業(講演者:佐藤徹雄会長)の呼吸性内装材は、東北センターのゼオライト研究の成果が原点になっています。同製品は、現在では東京の目黒雅叙園をはじめ国内外 600 以上の物件に採用されています。
後半は、「東北地域産業の発展に向けた産総研への期待」と題し、パネルディスカッションを行いました。「つながり」をキーワードに、今後の東北産業の発展のために、産総研が企業のニーズに如何に応え、産総研のポテンシャルを如何に活用していただけるか、会場からの発言も含めた意見交換が行われました。松田宏雄東北センター所長は「IoTや AI など、モノとモノがつながる豊かで便利な時代こそ、人と人とのつながりが重要だ」と指摘し、「5 年、10 年、20 年後の歴史を皆さんと一緒に築いていきたい」と抱負を述べました。
ソニー仙台テクノロジーセンター 代表 大崎博之様
アスター 代表取締役 本郷武延様
東北電子産業 代表取締役社長 山田理恵様
東北経済連合会常務理事事務局長 齋藤幹治様
東北経済産業局地域経済部長 蘆田和也様
産総研イノベーション推進本部長 渡利広司
産総研化学プロセス研究部門長 濱川聡
産総研東北センター所長 松田宏雄