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DIC株式会社執行役員川島清隆R&D本部長の写真

“ こうだったらいいな” を実現可能に

―「化学ものづくり連携研究室」企業第1号であるDIC 株式会社に本日はお話を伺います。これまでも貴社と産総研は研究を行っていたそうですが、今回の連携研究室は従来と比べて、どのような点が異なると思いますか?

 化学ものづくり連携研究室は企業側が非常に“ 使いやすい”かたちだと思います。まず資金面で、企業側の投資額がそれほど大きくなくとも、産総研の実験スペースや設備、技術等を活用できることは、企業として大きなメリットです。また、個々の企業対産総研で研究を行う“ 場” が産総研内に設置されることは、企業が今まで「こうだったらいいな」と思うことを様々な面で実現可能にすると思います。

―企業側の「こうだったらいいな」とは、どんなことですか?

 1点目は、産総研の施設や技術等を、今まで以上に総合的に当社の研究開発に活かせる点です。2点目は、産総研の研究者が当社のいわばブレインとなり、当社技術者にご助言いただきながら、新しいものを開発できる点です。3点目は、産総研の有する幅広い情報のネットワークの一部を共有化させていただける点です。つまり、“ 場” があることで、頻度も高く密度も濃い。これによりどんな問題でも解決できると期待しています。

企業の成長シナリオに活用

―貴社の中長期計画では、化学ものづくり連携研究室をどのように位置づけていますか?

 当社の3 カ年の中期経営計画である「DIC108」では、その基本戦略を[4つの事業施策][キャッシュフローマネジメント][経営インフラの整備]の大きく3つで捉えています。この[4つの事業施策]のうち、①成長牽引事業の拡大、②戦略的投資機会の追求、③次世代事業の創出で、すでに産総研との連携研究がいくつも織り込まれています。

―産総研との研究テーマや今後の展望をご紹介ください。

 産総研との研究テーマは、実はすでに10 以上もあります。さらに次世代事業創出への取り組みとして、自前主義から脱却し、化学ものづくり連携研究室を活用しながら、果敢にオープンイノベーションに取り組むとともに、技術領域を拡張し、プリンテッドエレクトロニクス材料や 次世代パッケージ材料等、社会要請にマッチした新たな価値創造を目指します。また、次世代事業のみならず、例えば、液晶パネルのカラーフィルタ用顔料といった成長牽引事業に関しても、化学ものづくり連携研究室を活用する計画です。

ブレインからパートナーへ

―これから産総研に期待することはありますか?

 産総研は、日本の技術の柱であることは間違いなく、我々企業にとっては限りなく広がる宝の山です。それと同時に、今後は「ブレイン」というより、事業の「パートナー」として、産総研を捉えていくべきと我々は考えています。今回の化学ものづくり連携研究室を機に、これから産総研と当社の連携はますます強化されるでしょう。今後の要望としては、さらに大学等とも連携し、我々と産総研と大学の三者で強く結びつきたいと考えています。
 また、これからは、サステナブルな社会を実現する化学への転換が、化学企業の社会的責任であると私は考えています。サステナビリティを追求し、環境問題に寄与する技術を目指す産総研とのオープンイノベーションにより、社会と地球環境の持続可能な発展に貢献する企業であり続けたいと思います。


連携研究室の主な効果の図

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