産総研 東北 Newsletter
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研究情報
 コンパクトシステムエンジニアリングチームは、グルコース、フルクトース等の糖類から5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の高効率な合成に成功しました。HMFは、鎌状赤血球症の特効薬として期待されるとともに、メタボリック症候群、高血圧、糖尿病などへの予防効果も期待される物質です。従来の合成法では、HMFの収率が低い、収率の向上には遷移金属触媒や特殊な溶媒の使用が必要であるなど、改善すべき問題点がありました。
  開発した合成法では、原料のグルコースを溶かした水溶液をマイクロリアクター研究キーワード内で高温高圧の条件に瞬時に昇温、反応後直ちに冷却するというシンプルな方法で、高収率かつ副産物の発生を抑えた、環境にやさしい製造プロセスを実現しました。
  今後は、省エネ型・デスクトップ型など、小型で安価なHMF製造装置の開発を目指します。
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研究キーワード 新連載となるこのコーナーでは
今号に掲載された専門用語を簡単に解説します。
キーワード
 タンパク質は、生体を構成する主要な物質であると共に、体内における化学反応に深く関わっている有機化合物です。たとえば、タンパク質の一種である酵素は、少ないエネルギーで化学反応を促進したり、特定の物質のみと反応したりする性質があるため、省エネルギーで生産物の純度が高い化学反応に向いていると考えられています。一方、タンパク質は、熱やpH の変化を受けて立体構造が壊れることにより、本来の活性が失われます(タンパク質の変性)。また、タンパク質の生産過程においても、変性したタンパク質が多く生産されます。そのため、変性したタンパク質を本来の立体構造に修復する方法の実用化が期待されています。

キーワード
 ゼオライトは、0.3〜2nm 程度のサイズの“ 孔”が規則的に並んだ構造を持つ鉱物で、天然にも産出するほか、人工的に合成することも可能です。ゼオライトは、組成や合成方法により様々な構造を持つことが知られており、既に190 種以上の構造が確認されています。ナノレベルで均一な孔を持つゼオライトの構造を分子フィルターとして利用し、ゼオライトの持つ孔より大きな物質と小さな物質を分離する操作への応用が試みられています。また、ゼオライトのもつ物質を吸着する性質を利用して、水質浄化材や脱臭剤としても広く利用されています。
キーワード
 トルエン、キシレンなどの有機溶剤を使う代わりに、高圧の二酸化炭素で塗料を希釈し、対象物にスプレー塗装する方法です。塗料の希釈に用いる有機溶剤を節約できる上、工場で排出した二酸化炭素を再利用するため、環境への負担が少ない塗装法です。

キーワード
 揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。VOCは、光化学スモッグの原因となったり、シックハウス症候群に代表される健康被害の原因物質です。代表的なVOCとしては、接着剤に利用されるホルムアルデヒドや、塗料の溶剤として使われるトルエン、キシレンなどが挙げられます。

キーワード
 化学反応に用いる反応空間の幅が、数マイクロ〜数百マイクロメートル程度と非常に狭い化学反応器のことです。一般的に生成物の収率(生成率)が高く、加えて、化学反応条件の制御が容易といった特徴を持ちます。


http://unit.aist.go.jp/tohoku/ UP