一つは、技術シーズを技術プラットフォームの形にまで高めて、どんな技術ニーズに対しても、どこまで有効か答えを出せるようにしておくことが重要であると思います。現在、産総研で作成しているものづくりソフトである「ものづくりMZプラットフォーム」は、現在までに知られている種々の加工条件が備えられていて、それに
企業独自のノウハウの加工条件を入れることが出来、自社だけで閉じた形で使うことが出来ます。また、工程管理の最適化を各社に合わせて構築できますので、インターネット時代の競争力あるものづくりを支援できます。現在、種々の技術ニーズに対応することにより、成功例を積み重ねる作業を続けております。
二つめは、技術開発の早い段階から、経済性の議論が出来るようになることです。「死の谷」を越えるには、技術ニーズ側と技術シーズ側が、同じ課題で議論することが重要であり、経済性や環境性の議論は、最も重要な課題の一つです。産総研では、バイオマス利用システムの経済性を算出する技術を確立しましたが、種々のバイオマス利用のアイデアに対して、その経済性を推定し、アイデアがどの程度有効であるか、また、経済性に効果のある基礎研究課題を選択することも可能です。エネルギーシステムは、経済性で実用化できるかどうかが決まりますので、経済性の議論を早い段階から実施することは有効です。
このように技術シーズを技術プラットフォームの形にまとめ上げることにより、ノウハウや経済性に関する技術ニーズとの議論を活発化し、死の谷越えを加速することを、一つの重要な手法として提示していきたいと思います。 |