東北センターは、平成15年4月に循環型社会対応産業の実現を目指し、産学官連携強化・推進による「グリーンプロセ ス・プログラム」をスタートさせました。その一環として、超臨界流体利用技術の実用化促進のための共同研究組織とし て、 “ 超臨界インキュベーションコンソーシアム (SIC) ” を設立いたしました。引き続き、昨年平成16年4月には、膜利用 技術の実用化拡大を目指した “ メンブレンインキュベーションコンソーシアム (MIC) ” を設立し、それぞれ精力的な活動を 積み重ねてまいりました。
SICは、超臨界流体研究センター長、新井邦夫会長(併任
・東北大学大学院環境科学研究科教授)の下、産総研、東北大等、25研究機関61名の研究者と47企業の研究者、技術者 143名が結集し、発足以来、月一度の研修セミナー活動を主体とした情報交換・意見交換、あるいはテーマごとの分科会活 動などを行ってまいりました。その成果として、この3月に完成予定の「超臨界水連続反応試験装置」および「超臨界二 酸化炭素循環試験装置」を OSL棟高温高圧実験室に設置する運びとなりました。さらに、具体的な応用プロセスに関して は、企業会員による、3つの “ 共同研究プロジェクト ” がスタートしており、その他にもいくつかの共同研究プロジェク トが検討されているところであります。
一方、MICは、昨年4月の発足以来、メンブレン化学研究ラボ長、水上富士夫会長の下、産総研、東北大等、25研究機関 54名の研究者と49企業の研究者、技術者132名が登録、さらには東北地域の産学官の連携強化を目指して、東北経済産業 局など3団体21名の特別会員としての参加など、短期間に、SICと同様の規模の組織を構築することができました。そして、 MICは昨年竣工のOSL棟において隔月開催された研修セミナーによって、研究シーズと産業ニーズのマッチングの場として の目的を果たしてまいりました。さらに、研修セミナー討議後の産総研研究員による手作りの懇親会における、和やかな 交流の場は、会員同士の親密さと信頼関係の醸成につながり、その後の多くの研究室訪問見学にも表れ、それらがいくつ かの共同研究プロジェクト成立へとつながってきたものと思われます。
これまでのSIC および MICの活動成果および会員の参加動向は、研修セミナーによるシーズとニーズのマッチング、あ るいは実用化推進の共同研究方式の有効性が実証されたものと認識されるものであります。
ご案内の通り、本年4月より、超臨界流体研究センターおよびメンブレン化学研究ラボの2つの研究ユニットは、統合 され、 “ 新しい研究センター ” として、生まれ変わります。東北センターにおきましては、この「新研究センター」の設立に 伴い、SIC および MICを発展的に解消し、これまでの基本コンセプトおよび活動成果を継承の下、新たな『GATEインキュ ベーションコンソーシアム (GIC)・仮称』の設立、企画準備を進めているところであります。また、
超臨界流体研究に関しましては、これまでのSIC活動成果を基に、更なる実用化研究推進を図ることを目的に、超臨界流体 技術の汎用的実用化のためのプラットフォームとして、『超臨界流体実用化推進研究会(産総研コンソーシアム)』の4月発足に向け、日々準備を進めて いる次第です。さらには、具体的な研究組織として「超臨界水連続反応試験装置」および「超臨界二酸化炭素循環試験装 置」の運転活用を中心として、超臨界流体エンジニアリング研究をテーマとした「連携研究体」の設立準備も進めており ます。
本年4月以降、「新研究センター」の下に、2つのコンソーシアム、「GATEインキュベーションコンソーシアム(仮 称)」および「超臨界流体実用化推進研究会」が設立され、産総研の目指す “ 本格研究 ” の実現を目指して、新たな活動が 始まります。
これまでの2年間にわたるSIC および MIC活動は、それぞれの研究ユニットにおける研究者の精力的活動があっての成 果であることはもとより、研修セミナーの企画・準備などの運営にあたっては、試行錯誤を重ねながらではありますが、 事務局メンバーを中心として、各研究ユニットのスタッフ、産学官連携センターのスタッフの協力の下に、東北センター 全体の組織的運営の成果であると自負しております。ここに、SIC および MICの運営に携わっていただきました関係各位 に厚く御礼申し上げます。そして、来る新年度における2つのコンソーシアムに関しても、つつがなく運営・活動される よう引き続き一層のご指導・ご協力をお願い申し上げます。
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《SIC・MIC事務局メンバー》
(後列 左から) 濱川、花岡、尾形、伊藤(由)、田中、佐藤(賢)
(前 列左から) 松永、真田、小野、森、南條 |
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