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研究チーム紹介/研究紹介
超臨界流体研究センター プロセスチーム
  超臨界流体研究センタープロセスチームは、センター設立1年後に出来たチームであり今年で3年目となります。ミッ ションは「超臨界流体の特性を最大限に引き出すプロセスの構築」であり、早期に同プロセスを実用化する、ということ です。したがって、センター4チームの中で一番マーケットに近いところにおり、「本格研究」という産総研の大きなテー マの中で重要な役割を担う立場にいると考えております。ここ数年、超臨界流体に関する研究が進み、実用化の可能性の 高い分野も多く生まれてきています。当チームではそのような分野に対し、高度な装置要素開発技術と数値解析技術を駆 使して、実用化を目指しています。今年度はそれまでの常勤職員3名の体制だったチームに若い優秀な非常勤職員3名が 加わり、実験装置や様々なソフトウエアを整備することが出来たため研究能力が大幅に向上致しました。現在当チームで は、東北センターNC化構想の一環として導入されるパイロットプラント(超臨界水と超臨界二酸化炭素利用の大型汎用 装置)の計画設計、建設を担当しております。この超臨界水装置は、世界に類をみない条件 (600℃・300MPa) で連続操作 が可能であり、一方、超臨界二酸化炭素装置は国内初となる多目的用途の連続試験装置として実用化に向けて適用拡大が 期待されます。また、当チームは超臨界インキュベーションコンソーシアムの活動に積極的に関与し、複数の企業、大学、 産総研内の他研究ユニットとの共同研究を拡大しており、その活動は非常にアクティブであると自負しております。さらに、当チームでは独自の高温高圧マイクロ装置(マイクロリアク ター・マイクロ熱交換器)の開発にも注力しており、従来型のマイクロリアクターでは操作できない高温高圧場で、熱効 率が極めて優れたマイクロ装置の確立に取り組んでおります。

 今後はさらなる実用化研究を模索し、このチームでの研究の実用化、さらにはエンジニアリングベンチャーの立ち上げ を視野に入れて、活動を推進していきます。
(鈴木 明 記)
プロセスチーム
(後列 左から) 若嶋、奥野、鹿内、若生
(前 列左より) 畑田、鈴木明、増田



分離・反応機能膜の開発
  無機系膜は、耐熱性や耐薬品性に富むなど適用環境が広く、選択分離機能に加えて触媒反応場の提供など、有機膜にはない優位性を有しています。私たちは、水素や酸素の高効率分離と、反応膜・触媒膜としての応用を目指し、貴金属膜や無機複合膜の作製に取り組んでいます。

 パラジウム膜は、クリーンエネルギーである水素を高純度で分離する膜材料として着目されています。透過速度の向上とコストの点から、薄膜化が望まれています。最近、ナノ粒子を核とした化学メッキ法により、多孔質アルミナ支持体の表面に厚さ5μ m 以下のパラジウムと銀の合金薄膜を形成させる技術を開発しました。銀の添加によりパラジウムの水素脆性が緩和され、耐久性が向上します。2元素同時の化学メッキでは、微細な種核の存在と、キレート形成による金属イオンの析出過程の制御が鍵となります。

 また、金属キレート形成を利用して多孔質アルミナ管に銀とストロンチウムを担持した複合触媒膜の作成に取り組んでいます。反応プロセスグループでは、この触媒膜を用いて、プロピレンと酸素からのプロピレンオキシドの直接一段合成に成功しました。膜触媒を用いた低環境負荷プロセスの典型例として期待されています。

  酸素の分離と効率的な利用を目指して酸素透過膜の開発を行っています。酸素透過膜材料には過酷な利用環境に使用できるよう化学的安定性を考慮した材料設計をもとに、新規の複合系材料を探索しています。

 以上の研究を基盤として、企業との共同研究や連携大学院など産学官の連携にも務めています。
(鈴木敏重 記)
メンブレン化学研究ラボ
( 左から) 岡崎、アルフレド、マルゴット、小林、和久井、鈴木(敏)