計測標準フォーラム第14回講演会
参加御礼
去る2016年9月29日に東京ビッグサイトにて催された計測標準フォーラム第14回講演会では、約155名の皆様にご参加いただきました。 講演会幹事・事務局一同、心より厚く御礼申し上げます。
講演会は2018年に予定されている国際単位系 (SI) の定義改定によって開かれる新技術の将来展望などについて紹介するもので、 国際度量衡委員会の委員長であるBarry Inglis博士が講師として招待されました。Inglis博士は講演の中で、SIの歴史を簡単に紹介した後、 7つの基本単位の基礎物理定数に基いた定義改定について述べられました。加えて、定義改定の理由や、 国際的な計測標準への生じうるインパクトなどについて紹介されました。 また、首都大学東京の内山教授からはキログラムの定義改定後の技術展望として、インクジェットを用いた分析化学などについてにご講演いただきました。 産総研からは、アボガドロ国際プロジェクトを担当する藤井および光格子時計の専門家である安田が、 それぞれ質量および時間周波数に関するSI改定の最新動向と期待される将来技術を紹介しました。
各講演のスライドを掲載いたしましたので、ご参考になれば大変幸いです(講演タイトルをクリックしてください)。 今後とも計測標準フォーラム講演会へのご支援・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
計測標準フォーラム第14回講演会
新時代を迎える計量基本単位 −新SIと将来技術−
19世紀末から質量の基準となってきたキログラム原器の廃止を伴う、極めて普遍性の高い物理定数に基づく国際単位系(SI)への定義改定が2018年に予定されています。 また、時間についても、従来のマイクロ波時計よりも2桁程度高精度な光時計による秒の再定義が議論されています。 本講演会では、特に質量と時間に関して、SI改定の最新動向とともに、これらによって開かれる新技術の将来展望などについて紹介いたします。
開催概要
主催 |
計測標準フォーラム (一社) 日本計量機器工業連合会 国立研究開発法人産業技術総合研究所(計量標準総合センター) |
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日時 場所 |
平成28年9月29日(木)13:00-16:00 東京ビッグサイト会議棟605・606会議室 (INTERMEASURE2016の会場に隣接) |
申込方法 | 参加費:無料 |
参加費 | 無料・事前登録制 |
お問合せ先 |
計量標準総合センター 研究戦略部 計量標準調査室 Eメール:jmf-2016-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。) |
プログラム
時間 | 講演タイトル・概要 | 講演者 | 所属・役職 |
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13:00-13:05 | 開会挨拶 | 後藤 一夫 | 計測標準フォーラム 代表 |
13:05-13:10 | 来賓挨拶 | 吉岡 勝彦 | 経済産業省 産業技術環境局 計量行政室長 |
13:10-13:25 |
【イントロダクション】 「本講演会の背景とねらい」 SI改定に向けた取り組みの体制や今後予定される主な検討事項の全体像を紹介する。併せて本講演会の概要を紹介する。 |
臼田 孝 |
産業技術総合研究所 計量標準総合センター 研究戦略部長 (国際度量衡委員) |
13:25-14:10 |
【招待講演】 “Towards a Revised International System (SI) of Units of Measurement”
A brief history of the SI will be presented, together with a proposal for its revision based on the redefinition of the seven base units in terms of fundamental constants. The proposal will be recommended by the International Committee for Weights and Measures (CIPM) for adoption by the 26th General Conference on Weights and Measures (CGPM) in 2018. The proposed new definition of base units, reasons for the revision and the likely impact on international metrology will be discussed. |
Barry Inglis | 国際度量衡委員会・委員長 |
14:10-14:40 |
【講演】 「キログラムの定義改定がもたらす新しい質量計測技術」 人工物によって定義されている現在のキログラムがプランク定数によって定義されると、これまで測ることができなかったナノグラム領域の質量をトレーサブルに測定することが可能になる。 この新しい質量計測技術とその応用について紹介する。 |
藤井 賢一 |
産業技術総合研究所 工学計測標準研究部門 首席研究員 |
14:40-14:50 | 休憩 | ||
14:50-15:20 |
【依頼講演】 「インクジェットを用いる微小液滴生成と分析化学的応用」 インクジェットを利用したピコリットル〜ナノリットルの定量的試薬送達を行い、分析化学へ応用した。 微小液滴を利用した定量的キャピラリー電気泳動法、酵素免疫測定法、単分散高分子微粒子の生成と応用などについて紹介する。 |
内山 一美 |
首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 分子応用化学域 教授 |
15:20-15:50 |
【講演】 「SI 『秒』の改訂に向けた最新の動向」 現在のSI秒の定義である、マイクロ波領域で動作するセシウム原子時計よりも、2桁程度高精度な光時計が実現されつつある。特に、SI秒再定義の最有力候補と目されている、 我が国発の光格子時計を含め、SI秒の改定に向けた最新の動向について紹介する。 |
安田 正美 |
産業技術総合研究所 物理計測標準研究部門 時間標準研究グループ 主任研究員 |
15:50-16:00 | 閉会の挨拶 | 三木 幸信 |
産業技術総合研究所 理事 (計量標準総合センター長) |