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セルロース材料グループでは、「作る」「知る」「使う」のサイクルで研究開発を進めています。


〒739−0046 広島県東広島市鏡山3-11-32
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
中国センター 機能化学研究部門

セルロース材料グループ

技術のポイントPRIVACY POLICY

当研究グループの研究開発の過程で得られた技術のポイントを紹介します。

ナノ化率
 ・完全にナノ化してないセルロース繊維の指標
 ・一部がナノ化したセルロース繊維の指標

内容
 ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)は、木質組織(細胞壁)をほぐして(解繊)して製造されます。機械的な処理のみで到達できるナノセルロースの幅は約15nm程度までです(実際には、さらに微細なナノセルロースも生成します)。TEMPO触媒酸化処理を組み合わせると、幅3nmまで微細化できます。しかしながら、太いセルロース繊維を段階的に解繊していくため、途中では、様々な形態やサイズのナノセルロースが存在しています。
 当研究グループでは、一部がナノ化したセルロース繊維(部分ナノ化セルロース)によって、ゴムの特にい低伸張領域の物性を向上できることを明らかにしています。ナノ化の程度は、比表面積の値で評価することができますが、直感的ではありません。
 そこで、当研究グループでは、部分ナノ化セルロースを示す指標として「ナノ化率」を取り入れています。ここでは機械処理で得られるナノセルロースを対象として、次のように計算しています。
 機械処理のみで得られる標準的なナノセルロースの形状を、幅15nm、長さ1μm、比重1.5とした場合、原料の全てがこのサイズまで解繊されると理論比表面積は179m2/gとなります。木粉を原料とした場合、製造したナノセルロース(部分ナノ化セルロース)の比表面積から、原料木粉の比表面積を引き、その残り全てが上記理論サイズで存在するとして、ナノ化した割合を計算します。

「例」
・木粉の比表面積=5m2/g
・製造したナノセルロース(部分ナノ化セルロース)の比表面積=100m2/g
 ナノ化率[%]=(100-5)/(179-5)×100=54.6 %

※ナノ化率は、当研究グループで、解繊度合いを明確化するために便宜的に使用している値で、学会等で公認されているものではありません。

参照:「研究紹介」−「完全にナノ化しないナノセルロースの効果(ゴム補強)」
ナノセルロースの用途適正/部分ナノ化セルロースの活用

ナノセルロースは、原料や製造方法によって様々な形状やサイズが存在しています。きれいな1本のナノセルロースもあれば、枝分かれしたナノセルロース、比較的太いセルロース繊維の表面にナノの毛羽立ちをもったものも存在しています。あらゆる用途に対応できる万能なナノセルロースは存在していません。用途に合わせて、最適なナノセルロースの特徴を把握し、そのナノセルロースの効果的製造方法を構築して利活用することが重要です。ナノ化率は、完全にナノ化していないナノセルロース(セルロース繊維)を取り扱う上で、直感的に分かりやすい指標と考えています。

参考資料
NEDO「セルロースナノファイバー利用促進のための原料評価書」2020年3月公開

追記事項

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