当研究グループで得られた知見や開発した技術の例をご紹介します。
完全にナノ化しないナノセルロースの効果(ゴム補強)
- 内容
- ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)により、ゴムは効果的に補強することができます。本研究では、どのようなナノセルロースがゴムを最も効果的に補強できるのかを明らかにするため、パルプを原料として、解繊処理方法を変えることで、様々なサイズ(主に幅)のナノセルロースやセルロースナノファイバーを調製しました。これらを用いてゴム補強効果を調べた結果、完全にナノ化(幅約20nm)したナノセルロースではなく、部分的にナノ化したセルロースファイバー(サブミクロンファイバー)が最も効果的に補強できることを明らかにしました。特に、低伸張領域での、物性向上が顕著です。剛直な主ファイバーの表面に、ナノのフィブリルが存在することで、ゴムマトリックスとアンカー効果により複合化し、剛直ファイバーにより弾性率も大きく向上すると考えています。
部分的にナノ化したセルロースファイバー(部分ナノ化セルロースファイバー/サブミクロンファイバー)で補強効果が最も良いと言うことは、補強用ナノセルロース(部分ナノ化セルロースファイバー)の製造コストは劇的に低減できると考えています。
参考:「研究紹介」−「ナノセルロースによる天然ゴム補強技術」 - 参考文献等
- Akio Kumagai, Naoko Tajima, Shinichiro Iwamoto, Takahiro Morimoto,Asahiro Nagatani,Toshiya Okazaki, Takashi Endo, International Journal of Biological Macromolecules, 121, 989-995 (2019), "Properties of natural rubber reinforced with cellulose nanofibers based on fiber diameter distribution as estimated by differential centrifugal sedimentation"
- 説明図
追記事項
セルロース材料グループ