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茂呂 竜太郎
2018年入所
産学官・国際連携

基礎的な研究から社会実装を目指す研究まで、様々なフェーズの研究が多様な分野で進められていることに興味を持ち、それらの研究を支える仕事がしたいと思い入所。入所後、国家プロジェクトの受託研究契約担当を経て、現在、民間企業・大学との共同研究契約を担当。

宮下 東久
2011年入所
産学官・国際連携

研究の成果を社会に役立てる仕事がしたいと思い入所。入所後、研究現場の事務マネージャー業務・国家プロジェクトの契約管理業務・人事制度設計・新卒採用担当など研究所の幅広いマネジメント経験を経て、現在、企業と産総研の大型連携プロジェクトを企画立案する部署に所属。連携コーディネートや連携戦略の策定に従事。

大石 勲
2007年入所
産学官・国際連携

入所後、セルエンジニアリング研究部門にてニワトリ遺伝子工学技術の開発を開始し、ニワトリゲノム編集に我が国で初めて成功。その後、バイオメディカル研究部門にて、低アレルゲン卵を産むゲノム編集ニワトリ作出などを実現。2020年より現部署で企業連携企画業務に従事。

総合職座談会
技術を送り出す業務編

産総研から技術を送り出す。
それは日本社会の未来を創造していくこと。
技術を社会に送り出す役職を担う3人に、
その魅力とやりがいを聞いた。
※一部業務については、株式会社AIST Solutions(産総研100%出資により設立)と実施。

Term - 1

新しい技術を広く社会へ
送り出す業務のやりがいとは?

超一流の研究成果を、
世の中で花開かせるのが我々の仕事です。

宮下
一番のやりがいは研究の世界と社会を結びつける仕事であるということですね。産総研は世界のトップランナーの技術や、企業よりも先の未来を見据えた技術を持っています。現在は、カーボンニュートラルや自動車CASEなど大きな社会変化を受けて、新たな事業や開発をしなければいけないものの、企業がその分野の知見や技術者を持っていないケースも少なくありません。そんなときに、産総研の高い技術力と知見を生かした連携を作ることで、企業や社会を導くことができます。とはいえ、簡単にはいきません。企業のビジネスの世界と、研究の世界は人材もカルチャーも違うから、すぐに意気投合して協業できるわけじゃない。両者の言語や考え方を翻訳して結びつけていくところが、私たちの腕の見せ所であり醍醐味です。
茂呂
宮下さんの仕事は、連携をゼロから生み出していくいわば営業、企画の仕事ですが、私は生み出された連携を契約書へ落としこむことが主な仕事です。いざ連携しようとなっても、相手企業の特性、お互いの目的、研究開発のフェーズなどさまざまな事情、思惑がある中でご破算になってしまうケースもあります。契約担当としては、そうした双方の意図を汲みながら丁寧に契約内容を調整し、連携を着実に形にしていくことにやりがいを感じています。
大石
私は研究職ですが、研究は研究職がいればできるというものではなく、お二人のようにそれを支えてくれる方々がいるからこそ力を発揮できると実感することが多々あります。今私が企画業務に従事しているのも、研究現場の知見を活かし、大型連携プロジェクトを企画することももちろんですが、総合職の皆さんや組織全体の考えをしっかり理解することも目的です。それをマネージャーとして研究室に持ち帰り研究現場に伝えることによって、研究職と総合職が垣根なく同じ方向を向いて、より円滑に研究室を運営し、連携を推進していきたいと考えています。
宮下
大石さんが研究室のマネージャーとして戻られたとき、本部で多様な分野の研究トレンドや研究所の運営手法を理解したことも役立つと思います。産総研に外部機関との連携に理解のある研究者が多いのは、大石さんのように研究職でありながら、本部組織でマネジメントに従事する制度があることも大きいですね。
大石
研究職は、自分の研究に没頭したいという面はもちろんあるのですが、私を含め産総研の研究職は研究した上でそれを社会で役立ててほしいという意識の高い人が多い。そんな中、産総研は組織全体として技術の社会実装に取り組んでいるのが心強いです。外部の方々にも大いに頼りにされていて、総合職の方々がしっかり支えてくれることによって、同じような夢を見ている外部の方々と一緒に研究を推進していく取り組みができる。それは他では味わえない刺激的な環境だと思いますね。

Term - 2

産総研だからこそ
できることとは?

研究職と手を取り合い、
大規模な産学官連携を実現できるのが産総研です。

茂呂
大学や複数の企業がかかわる垂直、水平連携のプロジェクトを実施できるのは、日本最大の研究機関である産総研ならではだと思います。大規模な産学官連携が多い故に、契約を調整していて困難に直面することは多々あります。例えば、大学、企業2社、産総研という、複数者間の契約について要望を受けたときは、上長や知的財産室と連携して、どういうリスクがあるかなどを洗いだすことからはじめ、調整に半年以上かかりました。しかし、その苦労のすえに、同じような連携が出てきた際に参考になる契約ができたと思います。
宮下
外部連携の実績が非常に多く、契約部隊がしっかりとやってくれているので、そのようにあらゆる連携に対応した契約形態がケーススタディとして蓄積されているのが産総研の隠れた強みの一つですよね。他の連携が少ない大学や研究所だと、新しいケースが出てきたとき、なかなか対応できなくて、共同研究そのものがご破算になってしまうこともあり得ますから。
茂呂
自分の仕事の存在意義を再認識できました。ところで、宮下さんが大型連携で苦労されていることはなんですか?
宮下
新しい大型連携プロジェクトを企画するとき、もっとも苦労するのは研究職を集めることです。実は企業のニーズに応えることってそれに比べれば簡単なんです。ビジネストレンドや市場性、採算性などは分析手法も体系化されていて定数化しやすいですから。それよりもいかに研究職の方にWINのある研究を提案し、プロジェクトに参加してもらうかの方が実は難しい。その点、大石さんが近くにいて、「これだと研究職の方はうれしいですか?」「これだと魅力を感じてもらえないですかね?」などとすぐ聞けるので、参考にさせていただいています。
大石
研究職というのは、得てしてオタク気質でわがままなもので(苦笑)、総合職の方々にせっかく大きなプロジェクトを企画してもらっているにも関わらず、こだわりの強さ故に、いまひとつ協力的でなかったり、迷惑をかけていたりすることがあるかもしれません。でも、総合職の方々が苦労されている姿を見ていると、我々研究職も総合職の想いにしっかり向き合うことで、真に社会に貢献するインパクトのある研究につながり得るのだと、今では強く思います。
宮下
大石さんが今おっしゃったように、産総研の場合、研究職が総合職をとても尊重してくれていて、お互いに良好な関係で仕事に取り組めるのが、大学や他の研究機関との大きな違いだと思います。私は「大石さん」と呼んでいますが、大学ならば、「大石先生」と呼ばれる方ですからね。呼び方ひとつでも良好な関係にあるのが伝わるかなと思います。本部に数年間異動して仕事している研究職もたくさんいて、一緒に机を並べて働く機会もあり、研究職の意見やセンスも反映することができるので、研究マネジメントの面では非常によいと思います。また、企業との連携では、技術をベースにした共同研究だけでなく、最初の研究開発戦略を定めるビジョン策定からコミットしたり、人材育成も含めたスキームを提供するなど、先進的な連携手法を駆使できるのも産総研ならではだと思っています。
産総研は産学にとどまらず、大学・研究機関から外国機関・さまざまな業種の企業・省庁まで幅広いネットワークを持っています。だからこそプロジェクト立案時にこれらを糾合し、日本や産業界規模の課題に向けた大テーマを推進していくポテンシャルがある。これは他の研究機関・大学・企業にはなかなかできないことだと思います。
茂呂
外部機関との連携の成果が最大化できる制度設計を模索しつつ、未来社会を見据えた研究を推進していく。それは産総研だからできることであり、使命でもありますね。

Term - 3

ジョブローテーションが
活きる場面とは?

ジョブローテーションを
活かすも殺すも自分次第なんです。

宮下
私はこれまでジョブローテーションで大きく分けて4つの部署(本部)を経験し、さまざまなフェーズで研究プロジェクトや研究所のマネジメントに携わってきましたが、それらの経験がすべて今の業務に活きています。制度設計などをするときは、研究現場や総務本部での経験を踏まえて、より多面的な視点から実効性のある制度を考えることができます。また、連携をコーディネートするときは、これまでの業務の中で構築してきた研究者とのネットワークを生かしてどこにどんな技術、志向を持つ研究職がいるかわかっているからこそ、企業のニーズに応えた上で、適切に研究職をチームアップできています。
茂呂
私は現在入所4年目ですが、異動を1回経験しました。前部署で国の研究プロジェクトの契約を担当していた際に培った情報を整理する力が、今、共同研究契約を調整する上で役立っています。国のプロジェクトでは、膨大かつ複雑なルールを守ることが重要であるため、そのポイントを押さえて整理して、現場の研究職に伝える必要がありました。その経験を活かし、契約調整の際、条項の修正を受け入れると何が変わるかなど、情報をよく整理しながら研究職の皆さんと調整を進めています。
宮下
茂呂さんは、これから経験したい部署などはありますか?
茂呂
研究職の近くで支援できる研究事務グループなどの部署に異動したいと思っています。研究職の生の声を聞いて、研究職の課題を産総研としてどう解決していくか考える良い機会になるのではないかと考えています。
宮下
良い心がけですね。ジョブローテーションを活かせるかどうかは自分次第だと思っています。各異動先で漫然と仕事に取り組んでいるだけでは、自分のキャリアに活せるような力は身に付かないと思います。私自身、それぞれの部署の専門知識を短期間で死ぬ気で勉強してアウトプットしてきたことが今につながっていると感じています。
茂呂
肝に銘じます。これから異動した先々でも専門性を磨く意識で仕事に取り組みたいと思います。
大石
素晴らしいですね。総合職の方々はみんな志が高いですよね。そういう人たちの期待に応えられるよう、良い研究をしていかなければいけないと感じます。

Term - 4

社会の期待に応え、
産総研が
これから挑むべきこととは?

研究界のトップランナーとして、
社会からの大きな期待を向けられています。

茂呂
契約を含め、連携のスピード感をもっと高めていく必要があると思います。社会変化が激しく、新しく開発した技術も数年後には陳腐化しているかもしれません。そんな中、いかに早く共同研究を開始できるかが、研究成果を社会実装に近づけるための大切な要素の一つだと思っています。契約担当としては、連携の目的や得られる成果を念頭に置きつつ、研究者をはじめとした関係者と相談して素早く判断し、双方にとってより良い契約を作ることを心がけています。
宮下
私は産総研の研究を安売りしないことを意識しています。日本は産学連携の後進国で、企業も活かし方をわかっていないし、研究側も価値の高さを理解しきれていません。本当に価値ある研究であることを、企業にきちんとわかるように説明し、きちんと研究職にベネフィットが還元されるような連携をつくる必要があります。そうでなければ継続的に日本のイノベーションエコシステムが育って行きません。そうして産業界やイノベーションの全体の視点から見ていい連携をつくることが連携担当者の使命だと思っています。また、価値の高い研究を作るためには、産総研の強みである幅広い研究領域を横断できる土壌をつくっていくのも総合職の仕事です。
大石
宮下さんがおっしゃったように、領域横断的に研究しやすい土壌をつくっていくことは、これからも必要です。産総研の中にはこれから伸びていく研究分野がたくさんあると思っています。よく陥りがちではありますが、自分の過去の成功体験にこだわったり、自分の価値観だけで他の分野やテーマを評価すると見誤ることがあります。さまざまなことに興味を持ってアクションを起こし、総合研究所の強みを活かした、領域を跨いだプロジェクトを推進していくことが、これからの産総研の重要な使命ですね。
宮下
日本の研究職の環境をもっと良くしていきたい。それが私の願いです。欧米に比べるとやはり、日本の研究職の環境は見劣りします。そんな中、産総研がトップランナーとしてやるべきことは山積みです。今後、研究職を支援する人材のレベルアップを図り、もっと社会に価値を送り出していけるような組織にしなくてはなりません。最終的には日本全体の研究支援者の高度化をしたいのですが、まずは産総研がそれをリードしたいと思っています。
茂呂
気持ちは同じです。将来的には、研究現場が効率的に回るような制度や仕組みをつくっていきたいと思っています。
大石
研究成果が産業になって国としての魅力が向上する。そういう意味で、単なる研究ではなく、その先を実現することが我々産総研の仕事ですから、それを意識して一生懸命やっていかなければなりませんね。
宮下
技術で国力を向上させ、日本の未来をつくることに関わっていると思うと、責任を感じるとともに、期待に胸が高鳴ります!

/ MESSAGE /

学生へのメッセージ

茂呂
学生時代は今までやったことのないことに挑戦してほしい。それも一人ではなく、他の人を巻き込んで目標達成を目指してください。そうした体験は必ず自分を成長させてくれますし、産総研で働く上でも必ず活きると思います。新しいことにチャレンジする姿勢、まわりを巻き込んで活躍できる方とぜひ一緒に働きたいです。
宮下
産学連携の仕事ってあまり注目される分野ではなくて、スポーツでいうとマイナースポーツかもしれません(笑)。一方、学生さんが注目する総合商社やコンサルは、スポーツでいうと競技人口の多いサッカーとかだと思います。でも、この産学連携っていう競技は日本のイノベーションを変えるポテンシャルがあります。特に今は社会変化も大きく、企業の外部からの知の取り込みの重要性が指摘されている中で、非常に価値があって、すごく面白いタイミングです。この競技で自らがトッププレイヤーになり業界を牽引していく同志を求めています。
大石
科学技術が好きな人、科学技術に信頼を寄せられる人には、ぜひ産総研に興味を持っていただきたいと思っています。そして共に科学技術をとおして日本の未来をつくっていく仲間になってくれたらうれしいです。