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CROSS TALK

総合職×研究職 対談

産総研の研究開発は、
総合職と研究職の連携によって進められています。
日々どんな想いで仕事に向き合っているのか、
お互いの関わりとはどんなものなのか、
そのリアルを語り合います。

PROFILE

総合職

高石 雅貴
2019年入所
研究事務

人間拡張研究センターの研究開発に関わる事務業務を担当。主に年間予算計画の策定および予算管理、研究開発・事務業務に携わるスタッフの雇用手続き、受託研究等の外部資金に係る報告書類の作成および検査への対応など多岐にわたる業務に取り組んでいる。

研究職

髙橋 顕
2011年入所
材料・化学領域
ナノ材料研究部門

主に有害物質を集めて有効利用するための吸着濃縮技術を開発。自分がやりたいオリジナルの研究テーマは山ほどあり、その中でも「自分の技術を使ったら、間違いなく世界で一番になれる」と思ったことから現在の開発テーマにつながったという。

Chapter 01

「技術の社会実装」
その強い想いが
モチベーションに

髙橋
大学では基礎寄りの研究室に所属していました。しかし、ふと人生を考えた時、研究ができる期間が30年くらいならば、その間に自分の研究を世の中に活かしていくのは難しいなと考えるようになりました。そんな中、最短で世の中に貢献する研究を実現できる研究機関はどこだろうと探していたとき、産総研を見つけ「ここだ!」と思い、入所しました。
高石
私も理系の研究室にいました。その中で、疑問に感じたのが、例えば、研究で使う器具や装置が外資系大企業の高額なものばかりだったことです。これは良くない傾向だと感じ、研究開発の場から日本の産業構造を捉えていく必要があるなと。その点、産総研は、自らが研究開発に取り組みながらも、標準化の推進や戦略的な知財マネジメントなど幅広いことに取り組んでいたので、面白そうだなと思いました。
髙橋
日本の産業構造を憂えていたんですね。
高石
日本はものづくりで発展してきた国で、技術力があると言われている割に、最近モノやサービスとして広まるものは外資系ブランドが増えてきていますよね…。本当は日本でできることはまだまだあるんじゃないかと思っていました。
髙橋
確かに。僕みたいに研究成果を、実際に世の中に役立てたいタイプは、研究しているだけでは満足できないです。研究を進めながら、どうやったら社会に活かせるかを、常日頃考えています。僕ら研究職は、産総研という組織の中の生産者であり、いわば農家のような存在だと思っています。農家もJAや流通、販売店があって初めて生産物を世に出せます。それと同じで、産総研は、研究職がつくった技術を社会へ出す体制を整える努力をしている組織ですよね。
高石
そうですね。産総研の役割は単に技術を産業界に橋渡しするということだけではありません。技術は人について回るものですから、技術の担い手を探して育成したり、また、産総研の技術が社会から受け入れてもらえるように魅力をアピールしたり、そうした面で総合職として、技術の社会実装の一端を担うことができるのが、業務に取り組むモチベーションになっています。
髙橋
技術の社会実装に向けては、社会課題解決も大きなテーマですね。喫緊の課題であるエネルギー・環境問題などは、物理や化学といった自然科学を使わないと解決できません。そこは研究職として貢献していかなければならないと思っています。
高石
先ほど橋渡しという話をしましたが、髙橋さんの様な研究職が生み出した、最先端の技術の社会実装をサポートするのが総合職の最大の役割だと思っています。研究職を近くでサポートすることはもちろん、技術を社会のニーズと結びつけることにより、社会課題解決に貢献できると確信しています。

Chapter 02

キーポイントは、
新しいことにチャレンジできる
土壌づくり

髙橋
産総研は、研究職だけだとその技術が社会に出るまでに途方もない時間がかかるものをぐっと近いところに引き寄せてくれる組織なんです。もちろん、研究職が一生懸命やっていればいつかはたどり着きます。でも、技術の社会実装を掲げている産総研で研究開発に取り組んでいると、たどり着くスピード感が違います。
高石
そうした産総研の強みをもっと広く社会に認知してもらうことが大事ですね。一般の方々には産総研という組織自体、あまり知られていないのが現状ですから。産総研が何を目指している組織なのか、提供できる価値は何なのか……。しかし、技術は具体的な製品に結びつかないと価値が見えにくいものなので、その価値を上手く伝えていくことが大事だと思います。
髙橋
社会にもっと認知してもらうためにも、新しいことにチャレンジできる環境をつくっていくことが大事だと考えています。社会がどんどん発展していく中で、時代の流れを読んで発展していかなければ、組織は相対的に退化していきます。そんな中、研究職としては、「いかに研究に没頭するための時間を増やすか」が日常的な課題の1つだと思っています。
高石
研究職にはとにかく研究に専念してもらいたいと考えているので、どんどん頼っていただきたいです。そして同時に、私たち自身の業務も効率化していき、その分、生まれた余剰を、技術を社会へ実装するところにどれだけ振り向けていけるか。それが今後、産総研が価値を世に出していくためのキーポイントになってくると思います。折しもDXを推進中で、事務作業はかなり効率化されています。それをさらに加速していき、技術の社会実装により近い仕事のウェイトを増やしていきたいですね。
髙橋
業務の効率化に関しては、僕が入所した当初よりだいぶ改善されたなと思います。
高石
そう感じていただければありがたいですね。でも、まだまだ足りないことも自覚しています。例えば、総合職は2〜3年でジョブローテーションしていくことから、異動当初は業務習得までにどうしても時間がかかってしまいます。だからこそ、各部署でノウハウを蓄積し、RPA(Robotic Process Automation:コンピュータで行っている作業を、ロボットで自動化する技術)により業務プロセスを簡略化して、産総研全体に横展開していくことにはすごく価値があると思っています。
髙橋
大賛成です。総合職の皆さんがそう思っているならいい方向にいくと信じています。その意味でも若手総合職の裁量はどんどん増えていきますね。

Chapter 03

日頃の
コミュニケーションから
生まれる高い価値とは

高石
私は日頃から研究職の方たちと積極的にコミュニケーションをとっています。例えば、研究職の方から「今日これをやりたい」と言われてもすぐに叶えることはできないケースもあります。きちんとステップを踏んでいこうとすると部署間のやりとりが必要で、どうしても時間がかかるんです。しかし、普段から対話をしていると、研究職の方が近々やりたいことを事前に準備できて、スムーズに進めることができます。あらゆる情報を把握するためにも、研究職の方になんでも相談してもらえるような関係性をつくることが重要ですね。研究職の方の中には、「こういうことを総合職に頼んだら迷惑かな」と遠慮される方もいるのですが、私たちの立場としては、できるだけ気軽に相談してもらいたかったりします。研究職の方と接しているとそれぞれの人柄が見えてきて、「この方はギリギリになるまで相談してこないなあ」という方には、こちらから働きかけたりします(苦笑)。
髙橋
すみません確かにいますね(苦笑)。研究職も十人十色です。
高石
そういうところも含めて、総合職の出番だと思っています。私は今、常勤の研究職40名、非常勤の研究職とアシスタント延べ70名の方をサポートしていますが、研究職一人一人に合わせて対応の仕方を変えています。例えば、メッセージの伝え方一つとっても、「この方にはこう言うと通じるかな」とか。私自身はそこに面白さを感じています。
髙橋
そんな配慮をしてくれているのですね。いろんな意味で総合職の方にはいつも助けられています。
高石
相談に対して有益な提案ができた時に、研究職の方に喜んでいただけるのはうれしいですね。先日は知財に関する相談を受けたのですが、以前いた部署での経験が活きました。研究職の方がやりたいことを制度面でどういう風に実現されるかを、ジョブローテーションを通して幅広く熟知しているのは私たち総合職ですから、そこはいつでも頼っていただきたいです。
髙橋
僕の場合、最近は総合職とあまり顔を合わさず、電話やメールで依頼することがほとんどになっています。しかし、僕は担当者に依頼する部分までしか見えておりません。見えていない部分で、そのあとの作業を総合職の方が頑張ってくれているから成り立っているのだと、こういう対談をすると改めて実感します。僕らにはわからない苦労がたくさんあると思っています。
高石
研究職にとって総合職はいないとものすごく不自由だけど、いて当たり前。それでいいと思います。

Chapter 04

産総研を
どうデザインするか?
それが総合職の仕事

髙橋
総合職と研究職は技術の社会実装という同じ目標に向けてタッグを組む仲間。総合職の方に、研究職の仕事をもっと知ってもらえれば、さらに産総研の活性化につながると思い、コロナ禍前は研究室の見学会を実施していました。
高石
私たちとしてもできるだけ多くの研究職の現場を見ることが、産総研全体を見て業務に取り組む上で大事だと思っています。髙橋さんにはいろんな研究職の方を紹介していただいて感謝しています。また、毎年春に、私が総合職の1年生を、髙橋さんが研究職の1年生を連れてきて、4人で一緒にご飯を食べる会をやるのもいつも楽しみにしています。
髙橋
先ほども言った通り、研究職だけでは技術の社会実装という大目標は達成できないと思うんです。だから、一緒にやっていきたいと思うし、その意味でもお互いを知る機会をたくさん持ちたいです。
高石
私も同じ思いです。総合職と研究職の距離がさらに縮まっていくことと、産総研が技術の社会実装を実現していくことは、かなりイコールに近いと思っています。私たち総合職にとって、研究職は社会に向けて貢献していくパートナーです。だからこそ、必ずしも研究職がしたいことを全部聞き入れるのではなく、私たちとして社会のためにどうあるべきなのか、そのバランスをうまくとるセンスを磨く…そこに総合職の醍醐味があると思っています。
髙橋
組織は変化し進化し続けないと退化していきますが、変化するにはエネルギーが必要です。だからこそ、総合職からは、「こうした方がいい」とエネルギッシュに提案してほしいです。特に期待しているのは、産総研そのもののデザインです。僕ら研究職は世の中を良くするための研究をしていますが、総合職にはそのためにすべきことを明確にして変化を起こしていってほしいです。やってくれるよね、高石くんなら!
高石
はい。やれることはいろいろあります。夢というか、未来に向けて妄想を抱かせるような雰囲気づくりが重要だと思っています。研究職の方々からも、もちろん社会からも「産総研、面白いね!」と思ってもらえるようにしたいです。
髙橋
各家庭に産総研発の技術が当然ある、という風になればいいですね。もちろん僕がつくったものも。
高石
ぜひ実現しましょう!

Message

学生へのメッセージ

高石
この1、2年はコロナ禍でなかなか大学生ならではの活動ができなかったと思います。実は産総研は、大学みたいな感じで、人の輪を広げてさまざまな活動ができる楽しい職場です。一緒に楽しく働く仲間が増えたらうれしく思います。
髙橋
「世の中が変わっていけばいいな」ではなくて、世の中を変えていきたいと思える人と仕事がしたいと思っています。我こそはと思う方にぜひ、産総研の門を叩いてほしいです。