![]() |
|||||
|
|||||
![]() |
|


![]() |
サービスを介して収集、蓄積される大規模データをモデル化し、利用者行動シミュレーションにつなげるための基盤技術整備を目的として、大きく2つのフィールド研究を実施した。第一は、大規模小売店舗で収集、蓄積されたID-POSデータをモデル化して利用者行動をシミュレーションするための基盤技術開発である。第二は、飲食店での提供者スキルの理解とそれに応じた利用者行動のモデル化を進めるための基盤技術開発である。双方に共通している特徴は、サービスを介して得られる大規模データをモデル化し利用者行動シミュレーションにつなげる点、さらに、そのモデル化を単に情報学的手段によるのではなく、利用者や提供者の行動を理解する心理学的手段を統合する点である。 小売業には、大規模小売店舗のように利用者自身が独力で商品閲覧、選択をするスタイルだけでなく、提供者が商品を推奨するという、いわゆる「接客」を伴うスタイルも多い。前者は大規模データをモデル化して自動的に商品推奨を行う(デジタルサイネージシステム)などで対応できるが、後者については、接客を行っている提供者自身にスキルが蓄積されている場合が多く、利用者のみならず提供者の理解とモデル化が不可欠である。第二の飲食店での提供者スキルの理解の研究は、これを目的に進めた。ここでは、スキルの高い提供者の接客行動を観測するとともに、提供者、利用者への個別もしくはグループインタビューを実施して、接客スキルの構造を明らかにした。この結果、サービス提供者の「気づき」の差によって、サービスの質にどのような差異が生じ、それが「当たり前品質」または「魅力的品質」としてどのように受け止められるかが明らかにできた(図1-7)。なお、このような技術を水平展開して行くには、サービス提供者の行動観測を簡易化するセンシング技術が不可欠である。特に、観測環境(店舗)に多数のビデオカメラを設置するような方策は展開が難しく、少数のカメラとサービス提供者に装着できる小型のセンサによるセンシングが求められた。平成21年度ではこれに対応するセンシング技術を独自開発し、あらかじめ知識として持っている店舗マップと対応させることでサービス提供者の動線を記録、可視化することに成功した。 |

