
サービスの研究の難しさは、サービスの主要となる部分をとりだして実験室のコントロールされた環境で研究することができない、と言う点にあります。ここが製造業との違いです。サービスというのが、基本的に無形で、消滅してしまうものだからです。したがって、われわれは技術開発を進めるにあたって、具体的な連携先を必要とします。
ここでは、3つの分野を選択しました。
第一は大規模集客です。たとえばプロ野球観戦のようなサービスです。どうして野球を観戦しにスタジアムに行くのか、観客全員が同じ価値観を持っているわけではなさそうです。そのような利用者の価値と行動を明らかにする技術の研究に、この大規模集客プロジェクトは適しています。
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第二は小売サービスです。たとえばスーパーマーケットでの食品販売サービスです。このような小売業では、POS(Point Of Sales)というシステムで、どのような利用者がどういう商品をいつ買ったかというデータを収集しています。特に、近年では、各店舗が会員カードを発行し、利用者の個別情報とヒモ付けて購買情報を収集しています。このような大規模な購買行動データをモデル化するための技術の研究を進めるのに、小売プロジェクトは適しています。
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第三はトータルヘルスケアサービスです。病院だけでなく、予防医療としてのフィットネスクラブなどの健康増進サービス、治療後の回復という意味での介護サービスなど一貫したヘルスケアサービスの支援を対象とします。ここでも、利用者の健康診断・診療データが蓄積されており、これらの分析にも大規模データモデリング技術を活用することになります。また、ヘルスケアではさまざまな医療専門家が連携してサービスを支援しています。その専門家の間で効率的に情報を共有する手段を研究します。これは、ヘルスケアサービスの効率化だけでなく、情報伝達に起因するヒューマンエラーの予防にも効果があると考えています。
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- これらの3つのプロジェクトを通じ、
- (1)利用者・提供者を理解する技術
- (2)サービスを通じたセンシング技術
- (3)大規模データのモデリング技術
- (4)設計支援のための利用者行動シミュレーション技術
- (5)提供者間の情報共有技術を汎用的な技術モジュール
として確立します。
