独立行政法人産業技術総合研究所

サービス工学研究の進め方

本プロジェクトでは、経済産業省が策定した「サービス工学分野の技術戦略マップ」に沿って、研究を進めています。この技術戦略マップでは、サービス工学研究の骨幹をなす技術は、観測−分析−設計−適用のサイクルで進められるとなっています。

サービスを利用する人々、提供する人々、さらにはサービスを提供するプロセスを、定量的・客観的に観測し、そのデータをモデル化して新しいサービスの設計を支援し、設計された新しいサービスを現場に適用して、再び効果を観測するという「PDCAサイクル」をなしています。

サービス工学研究の進め方

研究の基本的アプローチ

研究の基本的アプローチ

ここでは、観測の部分をさらに2つに分けています。理解とセンシングです。理解とはサービスを利用する人々や提供する人々が、どのように感じどのように考えて行動しているかを「知る」技術です。インタビュー、アンケート、生理計測を用いたサービス行動理解技術(CCE:Cognitive Chrono-Ethnography)を開発しています。この理解技術は、人の行動を深く知るのに強力なツールですが、大規模なデータをとるには適していません。そこで、理解した上で、どのようなデータをどのような手段で観測すべきかを考え、実際のサービスを通じて利用者、提供者、プロセスのデータを持続的に大規模に蓄積していくのがセンシング技術です。身につけるセンサ、環境に埋め込むセンサなどを活用しながら、効果的なセンシングを行います。

分析の部分では、センシングによって得られた大規模なデータをモデル化する技術を研究します。利用者の行動選択(価値)とサービス要素に単純な直線的関係が見つかれば、その直線的関係を表す数式がモデルとなります。残念ながら、実際のデータは単純な直線的関係で表現できるわけではありません。複雑な相互作用があり、数式表現できる関係を見いだせない場合もあるでしょう。そこで、われわれは、ベイジアンネットワーク技術などの確率統計論を活用します。

設計の部分でのわれわれの仕事は、設計支援技術を用意することです。設計そのものはサービス業の方々と一緒に行うことになります。将来的には、われわれの設計支援技術を使って、サービス業の方々が独自に効率的な設計を行えるようにしたいと考えています。サービス設計支援技術でもっとも重要なものは、サービスプロセスを記述し、そのプロセス上の設計要素を変更したときの、提供者もしくは利用者の行動をシミュレーションする技術です。われわれは、分析の時に活用した確率統計モデルに基づいて、このようなシミュレーションを実現します。

適用の部分では、実際のサービス業の方々と連携して、設計したサービスを現場に適用します。この効果を観測することで、設計の妥当性を評価できます。こうして、実際のサービス現場に「観測に基づいて、(顧客の価値を向上できる)新しいサービスの仮説を立て、それを設計し、適用した結果を観測して仮説を検証していく」という「仮説−検証サイクル」を定着させていくこと、これが「科学的・工学的手法の普及」であると考えています。

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