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メタンハイドレート開発システムグループ

環境調和型の持続可能な社会を構築するという社会課題の解決とエネルギーセキュリティ確保のため、非在来型エネルギー資源であるメタンハイドレート(MH)からメタンガスを生産する技術やハイドレート機能活用技術の研究・開発を行います。

研究内容

【技術開発】

1) 砂層型MHおよび表層型MHの研究開発に必要なコア分析、貯留層解析

アラスカでの陸上産出試験や将来の海洋産出試験において、砂層型MHを減圧法により効率的に分解しガスを生産する技術開発を、MH21-Sのコンソーシアムメンバーとして大学・企業等と連携して行っています。 表層型MHを効率的に回収するための要素技術開発を大学・企業等と連携して行っています。表層型MHの海洋産出試験の候補地について検討するため、海洋調査や海底地盤調査も実施しています。

2) MH開発に有効なハイドレート生成阻害剤(インヒビター)の評価と作用機構の解明

MH胚胎層からガス生産を行う際に、分解したメタンガスと水が地層あるいは回収システム内で再ハイドレート化(MH再生成)し流路を閉塞することを防ぐため、インヒビターの性能評価を行うとともに作用機構を解明し、新規インヒビター開発に繋げる研究を行っています。

3) カーボンニュートラルに資するハイドレート利用技術の検討

産総研がこれまで培ってきたハイドレートに関する技術をCCSやCCUSに応用し、2050年カーボンニュートラルの目標達成へ貢献します。

4) ハイドレートの蓄熱・ガス分離特性の探究

ハイドレートの機能を活用する技術の利用を推進するため、ハイドレートの熱物性や結晶構造、結晶成長に着目し、新規物性・機能の探索および応用技術の研究開発を行っています。また、大学・企業等と連携して、天然ガス輸送・貯蔵技術やセミクラスレート等を用いた蓄熱・蓄冷技術、およびガスの分離・分析技術、効率的ハイドレート生成法について検討しています。

【技術協力について】

国内外の大学、企業等の研究者に、産総研が培ってきたハイドレートに関する技術(特許・ノウハウ)に是非興味を持って頂きたく考えております。また、出張講義、見学・取材等にも可能な限り対応致します。



最近の研究成果

  • [誌上発表 国際誌]
  • 1) Sanehiro Muromachi, Toru Abe, Tatsuo Maekawa, Yoshitaka Yamamoto, “Phase equilibrium for clathrate hydrate formed in methane + water + urea system”, Fluid Phase Equilibria, 2015/07, 398, 1-4.
  • 2) “Thermal properties of a supercooled synthetic sand-water-gas-methane hydrate sample”, 村岡 道弘, 須々木 尚子, 山口 寛子, 辻 智也, 山本 佳孝, Energy Fuels, vol. 29, pp. 1345-1351, 2015.2
  • 3) Time-resolved x-ray diffraction and Raman studies of the phase transition mechanisms of methane hydrate, 平井 寿子, 門林 宏和, 平尾 直久, 大石 泰生, 大竹 道香, 山本 佳孝, 中野 智志,JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS,142-2,pp.024707-、2015/01
  • 4) Thermal properties of methane hydrate-bearing sediments and surrounding mud recovered from Nankai Trough wells, 村岡 道弘, 大竹 道香, 須々木 尚子, 山本 佳孝, 鈴木 清史, 辻 智也,JOURNAL OF GEOPHYSICAL RESEARCH,119-11,pp.8021-8033、2014/12
  • 5) “Growth Pattern Dependence of Tetrahydrofuran Hydrates in Glass Beads of Two Sizes on Growth Rate and Glass Bead Mixing Ratio", 村岡 道弘, 長島 和茂, Cryst. Growth Des., vol. 14, pp. 3813-3824, 2014.6
  • 6) High pressure X-ray diffraction and Raman spectroscopic studies of the phase change of D2O ice VII at approximately 11 GPa, 平井 寿子, 門林 宏和, 松岡 岳洋, 大石 泰生, 山本 佳孝,HIGH PRESSURE RESEARCH,34-3,pp.289-296、2014/05
  • 7) S. Muromachi, S. Takeya, Y. Yamamoto, R. Ohmura, “Characterization of tetra-n-butylphosphonium bromide semiclathrate hydrate by crystal structure analysis”, CrystEngComm, 2014, 16, 2056–2060.
  • 8) S. Muromachi, K. A. Udachin, K. Shin, S. Alavi, I. L. Moudrakovski, R. Ohmura, J. A. Ripmeester, “Guest-induced symmetry lowering of an ionic clathrate material for carbon capture”, Chemical Communications, 2014, 50, 11476.
  • 9) S. Muromachi, T. Abe, Y. Yamamoto, S. Takeya, “Hydration structures of lactic acid: characterization of the ionic clathrate hydrate formed with a biological organic acid anion”, Physical Chemistry Chemical Physics, 2014, 16, 21467.
  • 10) Characterization of Tetra-n-butylphosphonium Bromide Semiclathrate Hydrate by Crystal Structure Analysis, 室町 実大, 竹谷 敏, 山本 佳孝, 大村 亮,CRYSTENGCOMM,16-,pp.2056-2060、2013/12
  • 11) Phase changes of filled ice Ih methane hydrate under low temperature and high pressure, 田中 岳彦, 平井 寿子, 松岡 岳洋, 大石 泰生, 八木 健彦, 大竹 道香, 山本 佳孝, 中野 智志, 入船 徹男,JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS,139-10,pp.104701-1-104701-8、2013/09
  • 12) S. Muromachi, H. D. Nagashima, J.-M. Herri and R. Ohmura, “Thermodynamic modelling for clathrate hydrates of ozone”, Journal of Chemical Thermodynamics, 2013, vol. 64, 193-197.

  • [誌上発表 和文誌]
  • 1) メタンハイドレートで被覆された単一メタン気泡の3次元挙動,佐藤 康晴, 清野 文雄, 小笠原 啓一, 山本 佳孝, 佐藤 徹, 清水賀之,資源・素材学会誌,129-4,pp.124-131、2013/04

  • [学会発表 Proceedings]
  • 1) Shimizu, T; Yamamoto, Y; Tenma, N; Narita, H, "Electric-Submersible-Pump Performance under Methane/Water/Methane-Hydrate Pipe Flows", Proceedings of the Twenty-fifth International Ocean and Polar Engineering Conference, ISOPE, Kona, Hawaii, USA, June 21-26, 2015, pp.132-138.

メンバー

 
鈴木 清史
Kiyofumi SUZUKI
研究グループ長 専門:堆積学(検層解析、堆積物物性評価)、構造地質学(断層評価)
最近の研究:MH貯留層評価、MH海洋調査や海底地盤調査を実施中   
竹谷 敏
Satoshi TAKEYA
上級主任研究員 専門:物理化学、結晶構造解析
最近の研究:ハイドレートに係る機能活用技術(ガス貯蔵・分離、新規構造の探索等)の研究開発や計測技術の高度化(X線CT等)を実施中
村岡 道弘
Michihiro MURAOKA
主任研究員 専門:結晶成長学、凍上学、形態形成、コア熱物性測定
最近の研究:MH貯留層の熱物性・浸透性の研究、一方向凝固法を用いたインヒビター評価等を実施中
工藤 久志
Kushi KUDO
プロジェクト研究員 専門:地球科学、物理化学、分析化学
最近の研究:MH堆積物の粒度分析・鉱物組成の解析、ガスハイドレート生成に伴う堆積物中の間隙水組成の変化と鉱物生成の評価を実施中