産総研 東北 Newsletter
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 先進機能材料チームは、2010年5月に設立した産総研コンソーシアム「Clayteam」に参加する民間企業との共同研究により、高性能で多機能なシート材および粘土膜原料を開発しました。今回、開発したのは、@従来のアスベスト製品の使用温度域をすべてカバーし、発電所・化学プラントなどのガスケットに用いられる耐熱シール材、A機械的強度に優れ、LED照明や太陽電池の保護カバーに利用できる透明不燃シート、B生活空間や医療現場での空気清浄化に用いるインフルエンザウイルスの不活性化に効果的な光触媒−粘土フィルター、C太陽電池などの防湿シート用として期待される水蒸気バリア膜用粘土です。
 これらは、産総研の持つ粘土膜技術を民間企業に技術移転した成果であり、引き続き共同開発を進め半年から2年以内の製品化を目標としています。
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研究キーワード 新連載となるこのコーナーでは
今号に掲載された専門用語を簡単に解説します。
キーワード
 粘土は、整然とした層状構造をもった含水ケイ酸塩鉱物の結晶が主体となったもので、その化学成分は、主にケイ酸・アルミナ・水で、Fe・Mg・Ca・Na・Kなども含まれます。粘土鉱物として、陶磁器材料のカオリンやスメクタイト・バーミキュライトなどがあります。これらは、高い活性や可塑性、吸水性を持つため、様々な工業材料として用いられています。

キーワード
 発電所などで石炭を燃焼させたときに生じる排煙中の灰で、集塵機で回収されるシリカ・アルミナを主成分とした球状の微粒子で、大きさは1〜100μm程度です。かつては産業廃棄物でしたが、現在はコンクリートの骨材や埋め立ての土質改良材として用いられています。

キーワード
 ケラチンというタンパク質からできている皮膚の一番表面にある死んだ細胞の層です。この角質は外からの刺激や雑菌から防壁となって真皮を保護しています。その他にも体内から水分が外に出るのを防いでくれています。
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 産総研で開発した高機能性粘土フィルム "クレースト"。粘土を主成分とし、柔軟・耐熱性・ガスバリア性に優れた、新しいフィルム材料です。
image クレーストをコーティングしたメンテナンス性の高いアスベストフリーガスケット(写真)を実用化したほか、プラスチック材料と組み合わせて、水素ガスをほとんど通さない燃料電池自動車向けの軽量水素タンクや太陽電池の劣化を防ぐシート材料などを開発しています。

キーワード
 鎖式化合物の分子構造で、最も長い炭素原子の連鎖(主鎖)から枝分かれしている部分や環式化合物の環に接合している鎖式炭化水素基を側鎖と言います。広義には、構造上の主鎖から枝分かれしている部分を指します。


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