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産業技術総合研究所 東北センター

年頭所感
東北センター所長  加藤 碵一

べてこともなく東北センターが新玉の春を迎える喜びを寿ぎ、まずは「明けまして おめでとうございます」。旧年中は、全所員の八面六臂の活躍により、産総研内外において本センターの令名をなお一層高めえたことは、本職の欣快とするところであり、ここに厚く感謝する次第であります。
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左から 梅原仙台市長、
加藤所長 (仙台市長室にて ,10.25. )

はさりながら、産総研第 2 期中期計画2年目にあたり、私たちの研究成果や活動結果がいかように社会に還元されるや否やについて世間の目が一段と厳しく光っている状況を諸氏には深くご賢察願いたいと存じます。例えば、2006年度からの第 3 期科学技術基本計画についての新聞の論調をかいま見 ます に『次期計画は研究開発の成果を新市場や産業競争力にどうつなぐかに焦点が移る。背景には、40兆円近い過去10年の研究投資の成果が十分に結実していないという反省がある。』(日経2005. 12.19 )との指摘があります。産総研においても全く同様の指摘がなされうるかもしれません。個々に優れた研究成果を挙げることはいわば必要条件を満たしているにすぎず、なぜ産総研で実施しなければならないのか?産総研独自の優位性とは何か?という十分条件をも満たして世間が納得しうる説明内容でなければなりません。つまり産総研の存在意義が問われ、それに対する説明(し続ける)責任があるのです。

1期中期計画においては、吉川理事長の提唱した「本格研究」の旗印の下、特に産総研の持つほとんど あらゆる鉱工業分野における研究ポテンシャルを生かした第2種基礎研究を重点に基礎から製品化への道筋を考慮した研究展開を図り、A評価を得ることができました。第二期中期計画においては、この 「本格研究」を継承し深化させていくとともに、より組織的・統合的かつ明示的な研究戦略の確立が望まれます。昨年来、産総研で検討を重ねている「イノベーション・ハブ」の議論はこれを踏まえたものなのです。この中で、「イノベーション」が、単なる狭義の「技術革新」にとどまるものではなく、社会・経済に抜本的な影響を与える広義の「技術革新」、いわば「技術維新」とも言えるものであるとの認識は共有できたと思います。 し かし産総研が、その目指している「持続可能な社会構築」のために、とりわけ東北センターが「実用化を意図した環境産業技術の開発拠点」として、この「イノベーション」の「ハブ」たりうるか、その真価が問われようとしています。さいわい、梅原 克彦 新仙台市長は旧工業技術院との関わりも深く、産総研についても良くご理解されています。地元の地方自治体とのより一層堅固な連携を通じて東北センターの「ハブ」活動も強化されうることを大いに期待し、年頭所感として筆を置く次第です。


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