部門付
研究課題
研究課題1:ナノ材料を駆使した細胞の機械的解析および操作技術の開発
研究担当者:中村 史
生きた細胞やオルガノイドの解析と操作を目的として、ダメージを与えないナノ材料を用いた技術を開発しています。本研究では、原子間力顕微鏡AFMを用いて、ピコニュートンからマイクロニュートンの微小な力を測定し、抗体と標的膜タンパク質の相互作用や、生きた細胞の弾性、接着力を明らかにするセルメカニクスを基盤技術としています。具体的には、直径200 nmのナノニードルを用いたゲノム編集、新規がんモデルの構築、がん治療抗体の開発などに取り組んでいます。

研究課題2:生体模倣システムと多種幹細胞技術を活用したヒト生体環境の再現・再構築、ならびにNAMsのDX化による予測型安全性評価モデルの開発
研究担当者:木田 泰之
医薬品などの安全性や機能性を評価するバイオ試験法の高度化は喫緊の課題です。ヒトや動物の生理機能を含む生体反応のしくみを指す「バイオシステム」の評価は、これまで主に動物実験に依存してきましたが、近年はその代替技術への転換が世界的に進み、「バイオシステム代替学」という新たな学術領域の確立が求められています。 私たちは、新規アプローチ手法(NAMs)、オミクス解析、in silicoシミュレーションなどを活用し、ヒトに近い予測性と再現性を備えた評価プラットフォームの構築に取り組んでいます。
本研究では、生体模倣システム(MPS: Microphysiological Systems)と多様な細胞や組織を組み合わせることで、ヒトの生体環境に近い高度な評価系の構築を目指します。従来の評価系では捉えきれなかった自律神経系・免疫系・血管系を介した生理応答や薬剤作用のメカニズム解析を可能にします。MPSを含むNAMsと、オミクスデータ解析・in silicoシミュレーションなどのデジタル技術を融合し、化合物の作用を予測可能な安全性評価システムの開発に取り組んでいます。
また、ヒトiPS細胞に加え、ラット・マウス・ウサギなどの実験動物由来のiPS細胞や幹細胞も活用し、動物実験の代替となる評価系や種間比較が可能な新たなモデルの構築を進めています。 加えて、本研究では、 このシステムは、創薬や食品分野にとどまらず、住環境ソリューションへの応用も視野に入れており、建材・内装材・家電製品に含まれる化学物質の安全性評価を、in vitro × in silico 手法で実現することを目指しています。
これにより、動物実験に依存せず、かつヒトへの影響をより的確に予測できる革新的な評価技術として、規制対応の迅速化や製品開発における信頼性の向上に資する研究開発を推進します。こうしたバイオ技術・バイオ製造プロセス・バイオ評価手法は、バイオものづくりを含むバイオ産業全体の高度化・持続可能性の向上にも大きく貢献することが期待されます。

グループの構成メンバー
顔写真 | 所属・役職および名前 | 専門分野 | その他、etc |
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総括研究主幹 中村 史 |
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部門付(兼務) 木田 泰之 |
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