Surface Interaction Design表面機能

自然界の機能創成に学び、
形状特性や材料特性の融合による高機能部材開発

About研究の取り組み

自然界には、形状と材料の両方の特性を融合することで、光機能、濡れ性制御や摩擦制御など特徴的な機能を発現しているものが多く存在しています。
私たちは、これら自然界がもつ機能や形状を模倣し、材料特性や形状特性だけでは達成することが出来ない高機能部材を実現する研究開発や新たな物理現象の創成、また、これら自然界のもつ科学現象を産業へ利用できる形態にするプロセス技術開発を行っています。
表面特性制御にフォーカスして、さまざまな機能部品の高特性化に貢献できるよう研究活動を行っています。

Pointsポイント

  • 1形状・材料特性と異分野プロセスを融合させた高機能部材開発
  • 2光機能、濡れ性や摩擦特性などの機能を制御
  • 3自然界の特徴的な創成機能を工業利用化するプロセス技術開発

Feature研究の特色

研究作業風景の写真 研究作業風景の写真 研究作業風景の写真

製造技術研究部門では、超精密金属加工技術、レーザー加工技術やMEMS半導体微細加工技術など異分野技術を融合させた新しい微細加工プロセス技術、射出成形法やナノインプリント法などの超精密成形技術、無機薄膜材料技術・有機・ポリマー材料技術を融合させて、光・濡れ性・摩擦特性など、さまざまな表面機能が制御された高機能部材の開発を行っています。
また、これら多岐に渡る専門技術領域を集約したチームの研究開発活動により、他に代わりのないオリジナルな高機能部材の創出を目指しています。また、開発した研究成果は、社会実装を通じて橋渡しを行う一貫した研究活動を行っています。

Result研究成果

  • 1.光制御ワイヤーグリッド型偏光素子の開発

    これまで応用が難しかった分野への展開を目指し、ナノインプリント技術と印刷技術をうまく組み合わせることで、従来手法では実現困難な低反射率・高耐久性ワイヤーグリッド偏光シートを開発しました。
    真空成膜ではなく、銀ナノ粒子インクで構造を形成し、適切な焼成により、偏光度99 %以上、反射率5 %以下を実現しました。

  • 2.光制御反射防止光学素子の開発

    材料合金技術と薄膜真空技術を融合して、ナノ構造体付きの曲面金型を実現しています。
    また、射出成形やナノインプリントを用いて、成形だけで反射防止機能を実現する技術開発を行っています。本技術により、世界最高レベルである60度まで反射低減が可能な広角の低反射性と防曇性を兼ね備えた光学部材の開発を行っています。

  • 3.摩擦制御防カビ技術の開発

    カビによる居住環境、食品、医療器具などの汚染や動植物への感染を抑制する技術に対する社会的関心・需要が高まっています。
    表面の化学的特性を制御したコーティング技術により、カビの表面への接着を抑制し、金属、セラミック、ガラス上で増殖したカビを簡単に水洗い除去が可能な技術を開発しました。

    クロカビの拭き取り結果
  • 4.摩擦制御表面テクスチャリング摩擦制御技術開発

    表面に微細構造を形成することで、撥水特性や光学特性、熱特性を制御できることが知られていますが、摩擦特性も制御することができます。
    摩擦面にディンプルや溝を加工することで、流体潤滑領域や混合潤滑領域で摩擦を低減し運動特性を向上することができます。

  • 5.複合加工DEEL(Deep Electrochemical Etching with Laser assistance)複合加工

    加工原理を複数効率的に適用、従来に比べ飛躍的な機能、効果を持つ複合加工技術の創成を行っています。さらに同加工技術を用いた従来に無い機能を持つデバイスを開発しています。DEEL複合加工機では「おかもち」に入る極小サイズ、低消費エネルギーでありながら従来では難しい狭幅、深溝金属加工を、デブリなど加工影響無しに実現することができます。

  • 6.濡れ性制御ナノ凹凸による親水性・撥水性制御

    凹凸構造体による表面粗さに応じて、濡れ性の効果が増大できるWenzelの理論を用いてプラスチック樹脂の親水性・撥水性制御を実現しています。
    ナノ構造体の微細成形技術だけで、水を弾く樹脂基板を構造体付与により水膜形成できる樹脂に変化させる事ができます。本技術を用いてピペットを作製した場合には、構造体により毛細管力が発現できます。

  • 7.界面接着制御ナノ凹凸による変形レス流路チップ

    反射防止ナノ構造体の開発で得たナノ構造体の微細成形技術を用いて、ナノ構造体のもつアンカー効果を用いて、微細流路チップなどの樹脂基板を低温で熱溶着接合する接合技術の開発を行っています。
    本技術を用いる事で従来のプラスチック樹脂溶着接合に比べ、接合時の変形が1/10以下に実現でき、微細構造体の超精密接合が実現できます。

  • 8.光制御プリンテッドメタマテリアルの研究

    ナノ粒子インクの印刷形成によるメタマテリアルを研究しています。簡便に作ることができるだけでなく、焼成条件によりメタマテリアル構造を構成するナノ粒子の形状が変わることを利用することで、成膜プロセスによるメタマテリアルとは異なる光学特性が得られます。