Additive Manufacturing

製造業への適用を目指した
Additive Manufacturing の総合的研究

About研究の取り組み

Additive Manufacturing (AM)は、多種変量生産や軽量化、高機能化など、新たな製品価値の創出が期待される新しい製造技術です。
当部門では主に金属部材製造に関するAMを対象として、材料、装置、加工、評価や、これら一連の工程から創出されるAM製品の新たな可能性探索なども含めた総合的な研究開発に取り組んでいます。

Pointsポイント

  • 1金属材料のAdditive Manufacturing 技術に重点をおき、原料粉末の処理技術から装置、加工技術、評価技術までのプロセスチェーンを意識した研究開発を実施
  • 2AMを用いた新しいものづくりを実現する技術の開発により、新たな製品価値の創出とAMの製造業への適用に貢献
キーワード

Additive manufacturing(AM), 粉末プラズマ処理, Powder bed fusion(PBF), Directed energy deposition(DED), ワイヤDED, 鋳造用高速砂型3Dプリンター, 複合プロセス

Feature研究の特色

研究作業風景の写真 研究作業風景の写真 研究作業風景の写真

当部門では、高速大型化を目指した鋳造用砂型3Dプリンターの開発や、材料の合金化や3次元微細積層構造化をはじめとする従来の加工技術では実現不可能なレーザDED技術開発など、様々な種類のAM技術の開発を行っています。
また、AMの原料粉末の改質技術、加工技術や評価技術の開発も行っており、材料から完成品までの幅広い技術領域を総合的に研究開発する活動を行っています。また、国家プロジェクトや企業との共同研究を通して、産官学一体となって川下から川上までのバリューチェーン体制を構築し、AM技術の産業化推進や活性化などの活動にも取り組んでいます。

Result研究成果

  • 1.プラズマを用いた異形金属粉末の高品位化技術

    積層造形用金属粉末の材料種多様化、コスト低減、リサイクル技術の確立を目的に、プラズマを利用した粉体処理技術の研究開発を実施しています。水アトマイズ粉末や破砕粉末、造粒粉末などAM適正の乏しい粉末をプラズマ処理し、高流動性/高充填性/低欠陥性を付与するなど、AM利用に適した粉末に加工することに成功しています。

    図【左】プラズマ処理後に粒子形状が球状化(流動性向上)、加えて粒子内の欠陥を低減、【右】重量200gの粉体体積が処理後に大きく低減(粉体密度が向上し充填性を改善)。

  • 2.真空LB-PBF技術の開発

    レーザを熱源に用いる粉末床溶融結合(LB-PBF: Laser-Based Powder Bed Fusion)型のAMは、一般的に不活性ガス雰囲気が用いられますが、雰囲気の圧力やガス種を変えることで、造形時の溶融凝固の挙動や造形物の機械的特性が変化します。当部門では、 0.01 Paオーダーの真空雰囲気でも造形できるLB-PBF装置を開発し、真空を活用した造形物の機械的特性改善の研究をしています。

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  • 3.鋳造用高速砂型3Dプリンターの開発

    バインダジェット法3Dプリンターの技術を活用して、薄肉複雑形状の鋳造品を実現できる砂型用の高速大型3Dプリンターを開発しました。世界最速レベルの造形速度10万CC/hを実現して自動車エンジン部材等の量産も可能です。建設機械や航空機エンジン部材等への活用も進んでいます。

  • 4.微細・異種材用レーザDED装置開発

    指向性エネルギー型3D積層造形 (Directed Energy Deposition:DED)法は、大きな部品を高速で造形するのに向いています。当研究部門では、精度のさらなる向上や複数の所望の材料を造形可能にするための研究開発を行っています。

  • 5.レーザを熱源とするワイヤ供給型積層造形技術の研究

    金属ワイヤは金属粉に比べて保管や取扱いが簡単で安価であり、加工点まで固体で供給できるので、迅速な積層加工が期待できます。そこで、高速大体積のAM技術としてワイヤ供給型AM技術を研究しています。ワイヤを常温で供給する場合、積層速度は約4kg/hでしたが、ワイヤを高温で供給するホットワイヤ式にした所、8.1kg/hを達成しました。

  • 6.積層造形と圧延の複合プロセスの開発

    積層造形後の後処理として、塑性加工である圧延を複合させたプロセスの開発に取り組んでいます。塑性変形を付与することで材料の内部組織を有意的に変化させ、高強度かつ高延性など卓越した機械的性質を有する素形材の製造技術の確立を目指しています。

  • 7.レーザ超音波によるインプロセス評価技術

    レーザ超音波(LU)はレーザビームを使い非接触に超音波を励起・検出する技術です。LB-PBFとLUを組み合わせたインプロセス評価技術の開発を目標としています。積層しながら検査することにより、表面波を使った精度の良い検査が期待されています。