Theme個別研究課題
低反射率で高耐久性のワイヤーグリッド偏光シートの研究開発
研究のキーワード
偏光素子、ナノインプリント、印刷、金属ナノ粒子、インク
研究の目的
偏光素子は、光を利用した製品において重要な偏光制御技術を支える光学素子です。車載機器や液晶プロジェクターなどでは、高温高湿の環境や常に高輝度の光が照射される環境での使用が想定されるため、製品を構成する偏光素子にも高い耐久性(耐熱性、耐湿性、耐光性)が求めらます。一方、液晶プロジェクターやディスプレーなどの光学系では、迷光を抑えるため、反射率の低い偏光素子が求めらます。しかし、これまで高い耐久性と低い反射率を兼ね備えた薄型の偏光素子をつくることは難しく、このような偏光素子を実現できれば、これまで応用が難しかった分野への展開も可能になり、偏光素子の新たな局面を迎えることが期待できます。
研究の成果
ナノインプリント技術と印刷技術をうまく組み合わせることで、従来手法では実現困難な低反射率・高耐久性ワイヤーグリッド偏光シートを開発しました。真空成膜ではなく、銀ナノ粒子インクで構造を形成し、適切な焼成により、偏光度99 %以上、反射率5 %以下を実現しました。
参照情報(外部発表や特許、関連リンクなど)
- 低反射率で耐久性の高い偏光シートを印刷技術で実現 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20201124/pr20201124.html
- 微細構造の毛細管力を利用した超高精細・厚膜印刷技術を開発 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070423/pr20070423.html
- R. Hokari, K. Kurihara, N. Takada, and H. Hiroshima, “Development of simple high-resolution embedded printing for transparent metal grid conductors,” Appl. Phys. Lett., Vol. 111, pp. 063107-1–063107-4 (2017).
- R. Hokari, K. Takakuwa, H. Kato, A. Yamamoto, Y. Yamaguchi, and K. Kurihara, "Low-reflective wire-grid polariser sheet in the visible region fabricated by a nanoprinting process," Sci. Rep. in press.